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男子宝石 #毎週ショートショートnote

日野笙 / Sou Hino


「あの人またあれ買ってったわね」
「こうなると神様も立場ないわよねぇ」

社務所からそんなやり取りが聞こえる。
子宝に恵まれると有名なこの神社には男子宝石、女子宝石というお守りのような石が売られている。



「お義母さん。これ神社の、買ってきました」

「こんなに神頼みしても子ができないなんてねぇ。あきらはあの嫁でよかったのかい?あたしゃご先祖様に顔向けできないよ。それともなかなかできないのは、あんたの血かねぇ」

「...神棚に、置いてきますね」

高齢になり、一日の記憶も朧げになりながらも義母ははは毎日のように嘆く。
結婚してから明を産むまでに、何度も何度も聞いた言葉。
義母の「家を継ぐ男子を産め」というプレッシャーは、今は孫の明とその嫁であるかおりさんに注がれている。

義母ももしかすると同じ苦労をして夫を産んだのかもしれない。
でも、2人には私と同じ思いはさせたくない。
義母に寄り添って同じように願うフリをして、小言は私だけが聞いていればいい。

男子宝石なんて義母をなだめるためのお守りでいいのだ。
明と香さんには、2人が決めた人生を歩んでほしい。
そう思いながら、私はいくつ買ったかわからない石の入った包みを戸棚にしまった。


(495字)


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日野笙 / Sou Hino

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