ヘルプ商店街①　#毎週ショートショートnote

「君がこの番組の担当さん？」

「はい、商店街を取材してもう2年になります。最近この手の番組も増えてきたので、ちょっとニッチな、と言っては失礼かもしれませんが穴場をどんどん発掘していきたいと思ってまして」

「そりゃうちが最適だ。こんな商店街、なかなかないからねぇ」

「そうですか！どの辺が一押しでしょう？」

「来週撮影に来たら一目瞭然だよ。ちょうど隣の商店街で祭りをやるんだ」

「なるほど...違いもわかるしこの辺一帯が盛り上がるわけですね！」

翌週、再び訪れた男は絶句した。
先週は程々に賑わっていた商店街のシャッターが、全て閉まっている。
男は組合に駆け込んだ。

「会長さん！これはどうしたんですか？」

「え？どうしたって何が？」

「お店、全部閉まってるじゃないですか！」

「そりゃそうだよ。だって今日は隣の商店街の祭りなんだから。うちの連中は総出で助っ人に行ってるんだ。いやぁやっぱり大きな催しがあると壮観だね。人っ子一人いなくなる。こんな粋な街、なかなかないだろ？」

会長はそう言いながらシャッター街を満足気に眺めた。

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