ほんの一部スイカ　＃毎週ショートショートnote

「兄ちゃん、僕たちこれからどうなるの？」

「俺たちが育って世界も広くなった頃、突然飢饉が来る」

「えっ！なんで？」

「わからない。その日はシューカクと呼ばれている。その後ぐらぐらと世界が揺れ動く。これがシュッカだ」

「やだよ、兄ちゃんどうにかしてよ」

「何もできないよ。俺たちはこの世界のほんの一部でしかないんだから」

「それで、どうなるの？」

「シュッカが起こると今まで暖かかった気候が一気に寒くなる。そして...」

「そして...？」

「怪物のお出ましだ。一瞬眩しい光が溢れて、でもそこで世界は終わりさ」

「僕たち怪物に食べられちゃうの？」

「いや、どういうわけか怪物は俺たちを食べない。たまにバリバリ喰う奴もいるらしいけど。しかも怪物の子供の中には俺たちを喰うと今度は自分の腹の中に俺たちができるって思ってるのがいるらしい。そんなわけないのに」

「へぇ〜怪物って結構バカなんだね」

「そんなこと言ってるとお前なんてまだペラペラなんだから丸呑みされるぞ」

「ひぃぃ」

「だからお前も早く大きく真っ黒になれ」

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