満月ガスとバス #毎週ショートショートnote 裏お題
「これ、月に行くバスですか?」
「えぇ。次の出発は3日後です」
「えっ3日後?」
「当バスは満月の光を燃料にしておりますので、満月の日しか運行しておりません」
三日月ファストパスやら満月ガスのバスやら、色々ありすぎて何が何だか。でも、美香のチケットを買ったせいで僕はこの一番安いバスしか手が出せなかった。
3日後の夜、バスに乗り込むと乗客は僕1人。
「お客さん、お急ぎですか?」
運転手が空を昇りながら言う。
「彼女が三日月ファストパスの帰りのチケットを持たないで行ってしまって...」
「そりゃ大変だ。でも今日はスーパームーンなので特急で着きますよ」
大きな月の光に照らされ、バスがぐんぐん進んでいく。
僕は運転手の言葉に、動揺を隠せない。
スーパームーン?もしや...いやまさか。
バスはあっという間に月に到着した。
僕を見て美香が駆け寄ってくる。
「満〜!もう一生帰れないかと思った〜!三日月ファストパス持ってきてくれたんだよね?ね?」
後ろから運転手の声がする。
「ご乗車ありがとうございました。それでは次回のスーパームーンの日に」
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