元マネージャーが「上司部下のない世界」の扉を開けたら、チームでコトに向かう最高の仲間が集まっていた
2023年6月からUbie株式会社でQAエンジニアをやっているMayです。テスト自動化エンジニアからキャリアを始め、テストやQA全般のエンジニアとして活動しています。
Ubieに入って得た知見が既にたくさんあるのですが、今日はその1つである「上司部下のない世界の秘密」をお伝えしていきます。
プロローグ
前職は第三者検証のベンチャー企業で、さまざまな開発現場のQAチーム立ち上げやテストの自動化導入など、提案・見積もりから現場業務まで8年半勤めてきました。社内の教育制度の新設や育成・評価基準の策定など組織横串の活動も行い、直近はQAエンジニア20名ほどのチームのマネージャーをしていました。
会社から自分に求められていることは、メンバーの成長・活躍によって事業を拡大することでした。チームメンバーは新卒からベテランまで幅広く、関わる業界はtoC、toB問わず多岐に渡り、期間もバラバラ。必然的に幅広い知見やスキルを身につけることはできましたが、千手観音のごとく仕事を裁く日々でした。みんなの成長が嬉しい一方で、自身のスキルを深める余裕はなく、エンジニアとしては物足りない気持ちが奥底にありました。
そんな折、会社の転機がやってきました。大手グループ企業にジョインするという話です。ベンチャーという風土が好きだった私は、長く勤めた会社を離れる決意をしました。
社会インフラに変革を起こそうとしているいくつかの企業の選考を受け、最終的にUbieという医療系スタートアップに入社することにしました。症状検索エンジン ユビーやユビーメディカルナビを始めとするプロダクトを持つ会社で、「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げています。
ミッションに感銘を受けて入社を決意したのですが、私が所属するUbie Product Platformという部署は、上司・部下の関係がなく評価査定もないとのこと。イメージができないまま、入社の日を迎えました。
上司・部下なし、評価査定なしの真実
Ubie Product Platformは、いわゆるピラミッド型の組織ではなく「ホラクラシー」という自主管理型の組織を採用しています。そのため、上司・部下の関係がありません。
ホラクラシーには憲法が存在し、会議の種類や進め方も定められており、ちょっとした国のようです。ホラクラシーの世界では、目的ごとに「サークル」というチームに分かれ、それを達成するために必要な「ロール」という役割が作られます。社員はロールにアサインされ、推進していきます。アサインされた人には、ロールを推進するうえでの違和感や課題を「ひずみ」として声を上げる義務と、ひずみを解消するための「アクション」を決める権限が与えられています。議論の場の設定や情報を得るための行動をとるといったアクションのほか、ロールの追加やサークルの形を変えるようなアクションを起こすこともできます。
事業を成長させるために社員全員がいくつかのロールを担い、義務や権限のもと自律的に活動します。情報の透明性は極めて高く、誰もが許可不要で取りに行くことができます。
そして、所属している部署には評価査定が存在しません。Ubieの開発組織では個人に対する評価指標を作って査定をすることよりも、全員がミッション達成というコトに向けて尽力するほうが価値があると考えられているからです。昇給は会社の成長指標の達成によって決まります。要するに、会社を成長させれば給与が上がる制度です。
「それって本当に回るの?」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。私にとっても、前職時代に遠く夢見ていた理想の世界です。
驚くべきことに、Ubieではこれが回っています。Ubieには、当事者意識が高く自律的に動ける人しか存在しません。全員が事業の成長のために意思決定をし、行動しています。誰もが不確実性を減らすための変化を、楽しみながら乗りこなしています。しかも、個人プレイではなく、チームプレイで。
Ubieが強いチームである理由
Ubieの思想や制度はnoteなどで発信されていますが、改めて私の理解を記していきます。
1. 生きたカルチャーが明文化され、浸透している
Ubieにはカルチャーガイドがあり、ミッションをどのように達成するのかが明文化されています。単純に「ミッション」「バリュー」を掲げるだけでなく、実現するための事業や組織について、理解や行動に迷わないよう詳細に書かれています。例えば、バリュー の一つである“Trust & Ownership” を体現するためには、見つけた課題を、個人としてでなくチーム・組織として解決することが求められます。課題発見のオーナーシップと、課題を解決できる人は別であることも多いためです。
同じ価値観のもとで行動するので、判断がぶれません。権限が分散しても同じ方向に進むことができるのは、カルチャーガイドがあるからです。
カルチャーは会社の価値観であり、社員は必ず理解しなければなりません。新入社員にはカルチャーを定着させる専任メンターがつくという徹底ぶりです(おかげでスムーズに立ち上がることができました)。
カルチャーは組織や事業のフェーズによって変化し、更新されていきます。
私はまだ入社して3ヶ月ですが、すでにカルチャーの変更点が少なくとも3つありました。事業が変化・進化している証拠とも言えます。生きたカルチャーが土台となり、一丸となって活動しています。
2. カルチャーに合う人しか採用しない
事業拡大に伴い採用は急務です。とり急ぎ頭数を揃えて教育するという方法もありますが、ゼロベースでカルチャーを身につけてもらうのは容易ではありません。そのため、Ubieではカルチャーをベースにした人材要件を定義し、それを上回った人だけを採用しています。
合う人には合う、合わない人には合わない会社。この採用の考え方を「パクチー採用」と呼んでいます。どんなに技術力が素晴らしくても、カルチャーに合わなければ泣く泣くお祈りメールを送る。これを徹底し続けています。
3. 目標が明確で共有を欠かさない
目標管理は、OKR(目標と主要な結果を定義する目標管理の手法)を採用しています。OKRを意識づける場は複数用意されています。
全社・部署のOKR発表会:四半期ごと
部署OKRの進捗と得た学びの共有会:隔週
全社OKRの進捗共有会:月次
成果共有会:四半期末ごと
自分はどのOKRに関わっていてどう貢献できているのか、他にできることはないのか、当事者意識が高まる場でもあります。月次・四半期ごとの共有会はオフィスへの出社が推奨され、会が終わった後は懇親会に流れ込み、慰労や議論が続きます。
4. パフォーマンスを高める環境を作っている
エンジニアは裁量労働で勤務時間は自由。勤務場所も自由。休む時は休む。遊ぶときは遊ぶ。遊びながら仕事するも、休みながら仕事するも自由。
あまりの自由さに戸惑うところはありましたが、仕事とプライベートの境目をつけたくない私には、とても合っていました。もちろん、境目をはっきりさせることも自由です。パフォーマンスを出しやすい働き方を自分で選ぶことができます。
発言のハードルは極めて低く、透明性は極めて高いです。「本音で話す」「くだらないこと歓迎」がカルチャーに明記されており、ニックネーム呼びにタメ口で会話をしています。事業目標が漫画を例に解説され、ネタを知らない人からブーイングを受ける光景も日常茶飯事です(ちゃんと他の人が補足してくれます)。個人のやりとりにDMは使わず、Slackのtimes(一般には、分報と呼ばれる進捗状況を目的とした個人用公開チャンネル)やpublicなチャンネルが使われます。根回しは皆無で、コミュニケーションに気を揉む必要はありません。
評価査定はありませんが、フィードバックを受ける機会はあります。例えば、四半期ごとの表彰はバリューを体現した人と行動を各自が投稿する形で、投稿数は無制限であり、集まった内容は後日公開されます。自身の行動を認められるのは嬉しいですし、リストには目指すべき振る舞いが集まっていて気持ちが高まります。
チェンジフィードバックの場も用意されています。個人の成長を最大化させるフィードバックの仕組みは日々アップデートしています。
エピローグ
部下が最高のパフォーマンスを出せるよう導くというマネージャー職から、自分自身がパフォーマーとなって事業を進めていくという立場になった私は、戸惑いながらも3ヶ月の試用期間を終えました。今は主に、システムで業務プロセスの最適化を実現するサークルのQAロールを担当しており、仕様の曖昧さを排除する活動に力を入れています。
心理的安全性が高くて強いチームの一員になれた幸運を活かし、QAという職種にとらわれず、なんでもやりたいと思っています。コトに向かうことに集中できる環境で、最高の仲間たちと「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」世界を実現させます。
あなたも仲間になりませんか?
Ubieが目指す世界を実現するには、まだまだ仲間が足りません。コトに向かえず不完全燃焼気味の方も、マネジメントに疲れたリーダーやマネージャーの方も、Ubieで本領発揮しませんか。まずはオンラインでカジュアルにお話しできればと思います。
このお話は2023年9月時点のものです。カルチャーや事業は進化のために変化していきますが、「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」というミッションは変わりません。Ubieのミッションが生まれた背景は阿部のnoteをご覧ください。一緒に世界の平均寿命を伸ばしましょう!