![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/97951765/rectangle_large_type_2_19baade573631f6edcf29278ce2b0477.jpeg?width=800)
【エッセイ】一人称がない
日本語って
一人称が死ぬほどあって面倒くさい。
学生の頃に本気でそう思っていた。
というか今でもそう思っている。
英語なら”I”で全てが済むし
ドイツ語なら”Ich”さえあれば完璧。
何で日本語だけが
こんなにもややこしいのか。
*
私はしっくりくる一人称を持っていない。
仕事の時は”私”という。
先輩や目上の人と話す時は
”僕”と言うこともある。
では友人と話す時はどうか。
出来るだけ一人称を
使わなくて良いような話し方をする。
やむを得ない時は
”私”と言ってみたり
自分の名字で
自分を呼称することもあるがまれだ。
”俺”という言葉は恐らく発したことがない。
一番しっくりこない。
何でそうなってしまったのだろう。
幼いころは自分のことを名前で呼んでいた。
でもあるときそれが変なことだと知った。
確か小学生の頃に
「あー!今自分のこと名前で呼んだ!」
とからかわれたような記憶がある。
「何でこんなにもたくさん
一人称が存在しているくせに
名前で呼ぶのは変なんだ?」
別にそんなこと
思わなかったとは思うけれど
それから自分のことを
何て呼べばよいか分からなくなった。
*
前述のように自分の立ち位置が
明確であればそれに合わせた
一人称を使うことが出来る。
仕事の場だとか立場が下だとかそういう時。
=
「私」という曖昧な概念が
何かの枠にはめられて形を持った時。
私は何者かになることが出来る。
でも対等な人と話すとき。
ラフな状況で話すときは
どの一人称を使えばいいか分からない。
実家で家族と話すときは
”わし”とか”わたし”とか言ってる気がする。
ちょっとふざけまじりに。
甥や姪と話すときは
「ひろくんはさー」とか自分で言っている。
男でもないし女でもない。
ゲイかもしれないけど
それを受け入れられていない。
自分が何なのか分からない。
なんでいちいち性別で一人称を分けるのか。
日本語を作った人に問いただしたい。
*
考えすぎなんだと思う。
でもそういう思考回路に
育ってしまったからどうしようもない。
今のところ一番使いやすい一人称は”私”だ。
文章を書く時も”僕”より”私”が落ち着く。
男でも女でも使う一人称だからかな。
どちらにもなりたくないのかもしれない。
よく考えたら
男なんだからとか女なんだからとか
そういう思考回路や発言が嫌いだ。
だから
性別を明確にしてしまうような一人称が
苦手なのかもしれない。
自分自身のことについて
曖昧な部分が多い。
でもそれでも良いと思う。
何でもかんでも白黒つけたがるな。
グレーに生きても別に良いだろう?
所詮人間が作り上げた言葉で
仕分けしているだけなのだから。
答えや結論ばかり求められても困る。
分からないことだってたくさんある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?