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【エッセイ】好きなことだけをやって生きて行く

うちの会社のパートさんは変な人が多い。

今日は隣の県のパートさんと
初めてちゃんと話をした。

この人も例に違わず変な人だった。

変というか面白い。

その人はシングルマザーで
3人の子供を育て上げた。

子供たちはもうみんな
成人して就職しているらしい。

子供たちに口を酸っぱくして言っているのは

「好きなことをやって生きなさい。」

ということなのだとか。

だから自分もやりたいことをやって
生きているのだそう。

”やりたいこと”をやって
子供たちを成人するまで育て上げたのだ。

心から尊敬する。

彼女はコロナ前は絵の講師として
生計を立てていたらしい。

美大を出た訳でもなく
何かの賞を取った訳でも無い。

ただ絵が好きで自信があったので
とある絵本作家の方に相談をした。

「私の絵で生計を立てることが出来ますか?」

そして

「絵を売ったり絵そのもので
 お金を稼ぐことは難しい。
 でも技術がしっかりしているので
 誰かに教えることは出来るでしょう。」

という返答。

その一言で彼女は絵の講師になることを決心した。

そこからの行動力に驚く。

まずは公民館に営業をかけに行った。

「絵の講師をさせてください!」

ものすごい勇気と行動力だ。

一件、二件、と断られ
ある場所で次のような提案をされた。

「60人程の人に絵を描かせる事が出来ますか?
 今度そのようなワークショップをするので、
 そこで継続して学びたいという人がいれば
 講師として教室を開いても良いです。」

チャンスを逃すまいとする彼女。

やるしかない。

返答は「YES」。

その後は結構スムーズに話が進んだ。

そのワークショップで生徒を獲得し、

隣町からも教室をして欲しいという話が出て

また他の街からも、、、。

これは彼女の人間力が為せる業であろう。

そうやって自らの好きなことでお金を稼いで
我が子を育て上げたのだ。

私はそういった生き方をしている人に
これまで出会ったことがなかったので
心から感動して
「私にも出来るのではないだろうか?」

と小さな勇気をもらうことができた。

また彼女にはパートナーがいるらしいのだが
結婚する気は今のところはなく
相手もそれを受け入れているらしい。

将来的にそういうことになるかもしれないけれど
今は子供が一番大切だし
経済的に支えてもらう必要もない。

一緒に過ごして楽しい時間を分かち合っていたい。

ただそれだけ。

「それでも良いですか?」

パートナーの方はそれを受け入れ
一緒に居るのだそうだ。

「他人の言葉なんて気にする必要はない。 
 自分が良いと思ったことを信じて進めば良い。」

と彼女は言った。

「そうですね。でも、頭では分かっていても
 心や身体がついていかない事がほとんどです。」

私は答えた。

好きなことだけやって生きて行くこと

当たり前のようで出来ている人は少ない。

「好きなことだけやったって
 生きていられない。」

なんてもしかしたら
思い込みだったのかもしれない。

「私は今本当に幸せなんです。」

彼女はそう言った。

子供たちはほぼ自立して
自分の自由がまた増えた。

それが嬉しくて仕方がないのだ。

では私はどうだろう?

幸せかと聞かれたら幸せだと答えるだろう。

毎日おなか一杯ご飯を食べて
欲しいと思ったものは
そんなに我慢せずに手に入れることが出来て
同僚や友人にも恵まれている。

でも私の好きなことを本当にやれているだろうか。

仕事は別に楽しくない。

つまらないこともないけれど。

のめりこみもしない。

生きる為の手段でしかない。

でも、もしかしたら
好きなことで生計を立てることも
出来るのかもしれない。

やろうとしていないだけで。

小さな光が見えた気がした。

まだまだ可能性は無限大だ。

自分で勝手に狭めているだけで。

分かっていたはずじゃないか。

人生は長い。

何でもできるしどうにでもなる。

たぶん。

きっと。

私は何にだってなれる。


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