「　蜉蝣　」

風と共に宙を舞い

時に
風に抗い耐えしのぐ

飛ばされてもなお
地面に這いつくばる姿

命が揺れ、輝く。

大人になった君の寿命は
数時間から約一日

その時間を人間で例え
一年だとしよう、

私の寿命はあと一年。

きっと君と同じように
子孫を残し
眠りにつくだろう。

エピソード➃
「カゲロウの道」

建物の非常用階段。

5月になると彼らは突然
現れます

そう、カゲロウです。

亜成虫がいろんな所にいて
徐々に増えていき

やがて階段は
沢山のカゲロウ達で賑わい

そこに
「カゲロウの道」ができるのです。

彼らを踏まないように
その道を歩くのは
一苦労しますが

種類によっては
透明に近い者もいて

目の前にいることすら
解りずらい子もいます。

カゲロウは成虫になると
口が退化し
食べることができなく
なってしまうことは
ご存知でしょうか。

寿命も種類にもよりますが
長命の種でも数日から約1週間

短命の種だと
数時間から約一日前後程しか
生きることができないのです。

儚い生き物として
彼らはとても有名です。

そんな、命が短く
食べることも
水を飲むこともできず

飛ぶ姿すら弱々しく

ただ、短い時を生きる彼らを
見ると

なんだかとても
守ってあげたくなります。

私は風が強い日には
飛ばされないように

彼等を安全な所に移動
させてあげたりしていました。

私が人間だと知ってか知らずか
たまに足や手に飛び乗ってくる時が
ありましたが、可愛いものです。

彼らについて一つ
とても驚いたことがあるの
ですが

それは、彼らが
約3億5000万年前からずっと
生き続けているという記事を
目にしたことです
とても驚かされました。

成虫になって
死んでしまうまでの短い時間

彼らは
何をするのかというと

子孫を残します。

故に、成虫の時間は
そのためだけに
生きていると言っても
過言ではないでしょう。

カゲロウの寿命が一日として
その一日が

例えば、私たち人間にとって
一年だとしましょう

その尊い一年という時間。

貴方なら
どんな時間を過ごし

どんな生き方をするでしょうか。

私ならやはり
命を繋いでいきたいですね。

そう、カゲロウと同じ道を
歩いて行くでしょう。

カゲロウ自身、短すぎる自分の命の
ことをどう思っているのでしょうか

聞いてみたいものです。