コラム ここ2ヵ月でnoteを37書いて分かった事 前篇

前回(「ここ1ヵ月でnoteを20書いて分かった事」)はこちら。


1,500~3,500字までの制限で2日に1記事以上のペースを保って書けるかどうかというトライアルがどう展開しているかとかどうでもよくなる重大事があったのでまずはそれから。というか個人的に設けている字数制限のせいでこの記事にはこの話題しかありません。ご容赦ください。

・note運営は利益を出す事を考えている

当たり前だろ、と思います? でも利益の出し方にも幾つかあって、いい方法でやらないと上手くいかないもんです。何でもそうですが。

で、noteの場合はどうか。「コラム 宇野常寛PLANETS、note参入の衝撃!!!」でも書きましたが、かなり微妙な動き方をしているのではないでしょうか。宇野さんは震災後に僕が送った原稿叩き台にして『リトル・ピープルの時代』を書き上げようやく「震災に対応していない」という批判を払拭できた人で、それがなかったら面目丸潰れでその後リトピー本関連取材で露出を増やす事もなく、NHKの番組に出る事もAKB論者になる事もなく、イベントも出来ずテクノロジー関連に目をつける事もなく、『魔法の世紀』も世に出る事はなかったし「オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト」どころかPLANETSを出しても買ってもらえるような状況にはとてもならなかったはずなんですよね。

そういう人物ではあるんですが、一方でnote運営側としてはどうもそもそもゼロ年代批評のプレイヤーと縁があるようで、cakesで定期的に東浩紀のインタビューを載せていまして、見てみると宣伝用の所謂提灯記事でしかなく、「PV稼ぎたいのは判るけどその内容だと有料分の中身の程度が疑われて購入者減るんじゃないかなぁ」と思わされ。今回宇野さんもcakesでインタビュー受けてましたが全く同様の提灯記事で、インタビューアにやる気が感じられないというか。noteの掲載記事もニコニコの使い回しでnoteユーザーのニーズにマッチしているとは思えないし(毎日毎日1万字超のインタビューとか宇野さんのラジオの書き起こしとか読まないでしょ普通。うっすい情報をダラダラ読まされるなんてタダでもやらないのでは)。

「コラム noteはなぜ批評家を支援しないのか」を読んで単純に知り合い呼んじゃっただけなんじゃないかなって。内容や文量を考えず転載してもらえば利益出るかも、出なくてもリスクは低いし、って感じで。

そういう運営姿勢から見えてくるのは、noteの方針は既存のプロをこのプラットフォームに集める事であって、このメディアで人を育てる事ではない。最良のシナリオはファンがいる全てのプロが今すぐnoteに参入しコンテンツを有料配信する事であって、noteから育ったクリエイターがnoteからデビューし世の中を面白くする事ではない。ライティングにおいてもそうで、とにかく既にデビュー済みのプロを、すぐに有料記事が売れる見込みがある業界人を優遇しおすすめに載せ、多くの手数料を取りたい。素人はクリックしてPV増やして購入してくれればよい。求めているのはプロが売り、客が買い、自分達が手数料を得られる状態であって、表現する場所を求めて群がった素人やワナビを相手にする気はない。

今回の動きはそういったメッセージを発していますよね。

それがどういう事なのかというと、noteの運営は無策でやっている。「cakesクリエイターコンテスト」で提示された「求めるコンテンツ像」に「まだインターネット上にない種類のもの」というのがありましたが、そういう種類のものを見分ける眼力を持っているタイプの編集者ではなく、「とにかくどうにかしてプロの参入を増やしたい」「その為にPVを増やしたい」「大勢の利用者・消費者を集めたい」この辺りに汲々としていて、使い辛いUIを改良する気もなく、最終的なアウトプットの精度を出す為に必要な処置もせず、いつまで経っても粗さがなくならない。そういう態度を取り繕おうともしない。

noteのシステム上最も効率的な利益追求方法に出来るだけ接近する事を目指すのは営利組織として正しいのかもしれませんが、一般利用者や消費者を馬鹿にした態度が透けて見える時点でメディアやサービスの発展にブレーキがかかりやすくなり、見込みや希望を失った人達がサービスから離れ始めたらもう終わりの始まりです。今はまだそこまで行かないどころか拡大・発展段階ではあるものの、決して順風満帆ではなく、将来に不安を残していると言えるでしょう。

大体、自分1人で仕上げ切れなかったリトピー本がかなり売れちゃったもんだから次の単行本のハードルが上がっちゃって、でも今度は都合良く叩き台に出来る物がなくていつまでも次の単著が出せないまま今更書けませんまとめ切れませんとも言い出せないからインタビューと編集だけしてなんとか生き残ろうと必死なのを誤魔化す為に「クオリティ管理だけやりたい」と言いながら素直に裏方に回ったら目立てなくなるから表には出ていたいという身勝手な業界人をおっとり刀なのに鳴り物入り風で引き込んで来ている点で、センスがないと思われても仕方がない。そもそも批評に興味のあるネットユーザーなら消費者の態度をレイプ・ファンタジーと批判しながらAKBを褒め始めたり映画『ゼロ・グラビティ』評を書いた時点で見放している論者なのだけれど、何故今? と思わざるを得ない。

宇野さんはもう措いといて。

noteの運営方針を察した所から考えるに、無名の素人はnoteで頑張っておすすめに載る事を目指したり運営に売り込んだりを目標にするより、どこか外部でデビューして仕事してファンを獲得してからnoteに戻ってくるかどうか考える、くらいの方が良いかもしれませんね。ファン、消費者としてアカウントを取得したのでないのなら。

僕個人の方針としては、今のところブログでやるよりはPVが良くUIは使い辛くとも凝った事をやらなければなんとか続けられるし、なら無理に離れなくてもいいかな、という程度です。サービス内のキーワード検索が出来ない分ハッシュタグに頼ったり、「note」が使用頻度の高過ぎる単語のせいで一般の検索エンジンでもnote記事が検索しにくくなっていたりと不満もありますが、テキストを書き溜めてアーカイブするのに今更ブログでテンションも上がらないしな、という感覚。倉庫としてなら不便もないしね。

と言う事で、僕はもうおすすめに載るとか運営側に評価されるとか言う事は全く目指さず自分の目的の為に利用できるツールとしてnoteを利用する事にします。

それ以外の点については字数の関係で後篇に続く。



#コラム #批評 #クリエイター #noteクリエイター #クリエイターのためのコラム #クリエイターのための批評 #小説 #漫画 #マンガ #まんが  

この記事がお気に召しましたら(いくらでも構いません)サポートをお願いします。サポートして頂けた分は資料購入などに充てさせて頂きます。増えれば増えるほど、活動内容・記事のグレードがアップするはずです。是非。