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10年先の不安とどう戦うか

フリーライター&イラストレーターの陽菜ひなひよ子です。

30歳くらいのフリーランスが「将来が不安」と書いているのをよく目にする。その「将来」ともいえる年齢にいる自分なのだが、以前はそれがピンとこなかった。最近になって、彼らの思う「不安」がわかってきた。

特にフリーランスが生涯現役で仕事をし続けて行くためには、どのような対策が必要かを考えてみた。


年を取れば誰もが尊重されるわけではない


年を取ると、肩書なしで生きるのがとてもしんどくなる。年を取っている人がふんぞり返っていられるのは、「肩書があるから」だ。

実際に何者でもない「ただの人」は、年を取ったらその分、若い人より記憶力や瞬発力、体力などの「能力」は確実に落ちる。ふんぞり返るどころか、下手すれば地べたを這いつくばらねばならない。

劣化した能力を補う経験があればよいけれど、それもなければ、若い人と比較して仕事をもらえるポテンシャルはなくなる。

どれほど自分が若いころに有能だったとしても、今の技術やトレンドについていけなければ、厳しい言い方だが現在の現場ではお荷物でしかないのだ。


自分をアップデートし続ける


だとすれば、アップデートすればよいのではないか、と考えて来た。自分の能力を高めるしか、対抗する手立てはないのではないかと。

さいわい、わたしは若いころIT系の仕事についており、Webには強い方だ。画像ソフトだって15年以上の暦がある。技術的なことで不自由を感じたことはほとんどない。

その点は、やはりある程度努力する必要はあると思う。オフィスワーカーとしてやっていくなら、Officeは必須だし、Googleドキュメントが使えればいうことない。

関数や細かなグラフまでできなくてよい。文字入力や表の集計くらいできれば、大体の仕事はこなせそうだ。あとは、わたしもよく知らないけど、kintoneだとか便利なソフトが出ているので、現場で必死に学べばどうにかなるだろう。


唯一無二の自分になる


それだって限界がある。

どれほどソツなく事務的な仕事ができたところで、同レベルの若い人がいれば、そちらが選ばれる。仕方がない。逆に自分が発注する側だったら、無駄に気を使わねばならない年長者より、気軽に頼める若者に依頼するだろう。

若者を差し置いて年長者に頼むケースがあるとすれば、それはもう「この人しかいない」と思われるしかない。

テクニックでも仕事のやり方でもなんでもよいが「ココはこの人に任せておけば安心」「この人にしか頼めない」というポジションを、自分が獲得するしかない。

年を重ねた人が安定して仕事を得るには「唯一無二」の何かを持つことが必須となるのだ。


積み重ねてきた時間を信じる


誰もが「唯一無二」のモノを持つわけではない。「そんなものない!」という人はどうすればよいのか。

今までのクライアントとの信頼関係を大切にするしかないのではないか、と思う。仕事って、なんだかんだ言って「積み重ねてきた期間」が大事だったりする。もうそこをひたすら大切にしていくしかない。

新しい人と仕事をするのは不安がある。何より怖いのは、途中で逃げたり納期に遅れたりすること。だとしたら、この人に頼めばキチンとやってくれる、というだけで、十分ほかの人に勝てる要素となりうる。

営業に行って「あなたの作品に問題はないんだけど、今お願いしている人を断れないから、新しい人を入れる余裕がない」と断られたこともある。それだけ「すでに仕事をしている」のは強みなのだ。


「重鎮扱い」に注意せよ


関係性を大事にするといっても、実は結構厄介な問題がある。自分はそんな気がなくても、周りが「重鎮扱い」してくるケースだ。

持ち上げて使ってもらえればよいけれど、持ち上げたまんま、スーッとフェードアウトされたら、地面にたたきつけられるしかない。

わたし自身、この業界に入ったのが30代半ばだったせいか、かなり時間がたった今も、自分は新人のような気がしている。

でも残念ながら、周りはそうはみてくれない。

ありがたいことに、クライアントにも恵まれて、経歴がそれなりに華やかだ。懇親会などで知人に初対面の人を紹介されるときに、リップサービスはあれど「すごい作家さんなの」などと紹介されることも増えた。

しかし油断は禁物。先日も、きらびやかな経歴を持つ先輩が「年齢はナイショ。年齢を知ったらわたしに仕事頼みづらくなるでしょ」と言うではないか。こんなスゴイ人でも年齢を気にするんだ!と驚いた。

仕事上で以前より修正が入ることが減った気がするのは、わたしの力が上がったからなのか?ただ遠慮されているだけだとしたら・・・。考えすぎかもしれないが、「言いやすい関係」を築くのは大切だと思うのだ。


人生は「ちょうどよく」できている


最後は人と人の関係。誠意をもってやっていけば、何とかなると信じている。相性もあるので、うまくいかないことがあってもあまり落ち込まないことも重要だ。

年を取ることは諸刃の刃。悪い点ばかりに目が行きがちだが、いい点だってある。

わたしだけかもしれないが、10代20代の頃は無駄に悩んでいた。先のことがわからず、やみくもに不安だった。不安がそのまま悩みの深さに直結した。

年を重ねると、できなくなることが増える不安はある。でもうまくできていて、人は年を取ると肝が据わるようになっているのだ。

経験から、自分は大丈夫だと思えるのかもしれない。過信は禁物だけど、「自分を信じる」ことは結構大事だ、と思う。不安からうまくいかなくなることは意外と多い。

と、ここまで、50代になってから対策を考えたわたしでも、どうにかなりそうなことを並べてみた。

若い人は、「自分を信じる」ための「根拠」を早いうちから積み重ねていくとよいと思う。「唯一無二」の能力・魅力でも、「大抵の人とうまくやれる」といった対人関係での自信でもいい。その積み重ねが、きっと未来の自分を助けてくれるだろう。


池袋(大塚)でひとり暮らししていた部屋(11F)から見えた夜景。
不安だらけだったはずなのに、今は楽しかったことしか思い出せない。

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