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【五感を解説5】嗅覚の機能について

シリーズ最後!「嗅覚(きゅうかく)」を簡単に解説します。

これで五感は最終章。合理的配慮への第一歩を踏み出しましょう!



においとは・・・においを普段気にするときは身だしなみへの配慮が多いでしょうか?

主ににおいを感知する機能を嗅覚と言いますが、生物学的には食べ物を口にする際に腐敗を調べたりする機能として使われています。
犬や猫の行動をみるとわかる通り、最も本能的な感覚と言われるそうで、
危険から身を守るための外的センサーの役割をします。
そのため寝ている時にも機能しているようです。

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好みも違いがありますし、過敏さや鈍感さもあります。
目に見えない感覚のため、他人の嗅感覚を気付きにくい人が多いのではないでしょうか?

知識を高めてアセスメントにも生かしましょう♪

◎嗅覚と記憶
よくドラマ相棒の冠城くんが「このにおいは・・・あの人の・・・」なんて場面がありますね。
保育中も名前の薄くなって読めない靴下を担任が嗅いで、誰のものか判断するということもありますよね(笑)においは五感の中でも記憶と強く結びつくのは本当です。

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嗅覚以外の五感は大脳を経由して感情を司る「大脳辺縁系」というところに伝えるのですが、上の図のように嗅覚に関してはダイレクトに「大脳辺縁系」へ情報を伝えます。

※ちなみに大脳の部位と他の感覚はおおまかに図ように伝わります↓

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大脳辺縁系とは
自律系の統合中枢で,呼吸,循環,排出,吸収などに関与することから内臓脳ともいわれる。
また情動の形成,個体および種族維持に必要な本能的欲求の形成が行われるので情動脳ともいわれる。

ゆえに、感覚的思考を駆使することになり、においによって機嫌を悪くしたり具合を悪くしてしまったりしてしまうことがあります。
原因不明に泣いたり恐怖感を感じているような場合には嗅覚を刺激されていることも疑っても良いでしょう。

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タバコも気にしない人は気にしませんが、
喫煙者というだけでお付き合いすら拒む方もいるほどです。

これは論理的思考で出た結果ではなく、感覚的思考で出た結果なのでなかなか思いを変えられないことが多いです。どれだけ宥(なだ)めても嫌悪な記憶が強く残っているためでしょう。

嗅覚の発達を振り返ります

嗅覚の発達は胎児期のうちに発達していて生後すぐに機能していると言われています。

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妊娠4週目から5週目の間に鼻が隆起し、形成され始めます。
妊娠7か月頃から嗅細胞の発達が著しく、羊水や母乳のにおいを認識しているようです。
そのため自分の母親の母乳をかぎ分けるとも言われているんです。
なので胎児の間に嗅覚は発達していて生後すぐに機能できる様になっています。

幼児期にも人のにおいを嗅ぐ子がたまにいますね。
これは子どもにとって安全な人かどうかを判断していると言われています。
また、興味の問題もあるのでそれが全てではありませんが不安があってにおいを嗅ぐと言う原因も考えられます。

においを嗅ぐことで相手に嫌悪感を抱かせトラブルになることもあります。
自閉スペクトラム症児にも時折 手のにおいを嗅いだりする子がいます。

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この困り感は安心できるにおいのハンカチや人形などを持ち歩くことで改善されるケースもあるようです。

先ほどお話しした「大脳辺縁系」の中には性行動や快楽にも関与するものもあります。自室で行う分には自由で結構ですが、年齢や性別・その行動を考えた際に集団の場所では行わない等の配慮も本人の社会性を保つために保育・支援者としては必要です。


以前解説した味覚にも関わるのですが
食べ物の好みにも嗅覚は関係あります。
生魚やチーズやヨーグルトなどの乳製品が苦手な子は
加熱調理でにおいを変えると食べられるようになるケースもあります。

においの消すコツは最近、クックパッドにも良く載っているので検索してみるよ良いですよ。
※こんなかんじです↓

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また、保存の仕方や切り方などでも工夫できるケースや同じものでも
生産地や生産工場を変えてみるなどで改善されることも多くあるようです。

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これを機に子どもたちと味わって、色んなにおいも堪能して食事をしてみると良いかもしれません。

お掃除係の実習を体験した保育士さん、きちんとした指導・教育を受けられずも頑張る支援者さん…など現場に困り感を持っている方へサポートすることで、子どもたちに還元されるものがあるのではと信じています。よろしくお願いします。