組織が大きくなることで情シスが抱えるジレンマ
組織が大きくなると運用整備に時間を取られる
一応言葉の確認ですが、ジレンマとは、
・・・俗に、相反する二つの事の板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態(コトバンクより)・・・
という意味みたいです。はい。
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この記事では、組織が大きくなることで情シスが抱えうるジレンマとそれに対する解決策について考えてみました。
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私はいまIT企業で情シスをしています。
嬉しいことに会社の業績は右肩上がりで成長しており、それに伴って組織全体として積極的な人員拡大を行なっています。
人が増えれば、オフィスも大きくなったり増えたり、社内のインフラ環境や社内システムも比例して拡大していきます。
会社の成長は非常に嬉しいですが、その分社内システムやインフラ(特にネットワーク環境)の重要性は高まり、障害時の影響範囲も大きくなります。
何が言いたいかというと、会社の成長によって組織が大きくなるほど、社内インフラや社内システムを支える情シスの責任も大きくなる、ということです。
これに対する情シスの使命としては、インフラ環境や社内システムの正常運用はもちろん、万が一の障害に備えた対策を用意しておく必要があります。
ただ、そうなると、運用の整備にある程度の稼働を割く必要が出てきます。
運用整備・運用業務に時間を取られると、新たなチャレンジ(攻めの情シスとしての取り組み)が後回しになってきてしまいがちです。
運用整備は嫌いじゃないけどスキルアップには△
私は運用に対して、ネガティブには考えてはないです。
社内インフラの運用整備・運用業務は、情シスとして当たり前の仕事であり、ある意味自分たちを守るためでもあります。
何か障害が起きた際、担当がいないので対応できませんではだめですよね。
そのためには、みんなである程度社内インフラの運用業務をカバーし合える環境が求められてくる(冗長化する)と思います。
ここでいう運用整備とは、言い換えれば「属人化の解消」です。
最低2人以上は、業務を回すことができる環境が整っていることが望ましいですよね。
それを実現するためには人員の確保はもちろん、手順書(マニュアル)等のドキュメント整備や勉強会の実施によるスキルの共有を行う必要があります。
こうした具体的な運用整備内容から解るように、運用整備を行う上で重要なのは「誰がやっても回る運用」状態を作り出すこと。
私はこうした運用整備のことを(勝手に)スキルの標準化といったりします。
このスキルの標準化は、属人化の解消のメリットがある反面、全体のスキルレベルダウンのデメリットがあると思います。
属人化を解消するためにスキルを標準化することは、言い方が悪いですが、技術力が低い・経験が浅い人に合わせる必要が出てきます。
また、運用整備やその後の運用業務に業務の大半を割くと、スキルアップを図る稼働・リソースがなくなります。
そして、それが続くことによるスキルアップを目指さない・目指さなくてもいい雰囲気も生まれます。
このように、運用整備によりスキルを標準化するということは、スキルアップが求められない環境になり、新しい技術検証やスキルアップする必要がなくなるという負の連鎖を引き起こす可能性があるのです。
どうやってこの問題は解決するか
解決方法は3つあると思います。
①運用稼働を減らす
まずはスキルアップのための稼働を確保する必要があると思います。定期的な運用業務に時間を取られているのであれば、どうにかスクリプトによる半自動化や業務フローの見直しで稼働削減を行うべきです。
それこそ、このあとの②で述べるように新しい技術やスキルを通して改善を図ることができれば、新しいスキルにも触れられ、運用稼働も減らせて一石二鳥です。
②業務に関連したスキルアップや新技術導入検証の時間を作る
①で時間が空いたらもしくは①を行うために、スキルアップや技術導入に時間を費やしましょう。
必ずしもそれがいい結果ではなかった(見当外れだったり、本格導入まで至らなかった)としても、いいんです。その学ぶ姿勢や検証時のトライ・アンド・エラーに価値があるので。
ただ、そこに時間をさきすぎて、本来やるべき運用業務がおろそかにならないよう注意しましょう、本末転倒ですから(笑)
③スキルアップ・チャレンジを共有する
②でやったことは、周囲の人に必ず共有してフィードバックしてもらいましよう。
共有はアウトプットになりますし、人からの質問・FBは自分が理解して人に説明できるか、理解度を図る上で有効です。
また、こうした共有やFBは、相互に人の学ぶ意識を高めることに繋がりますし、こうして相互に刺激し合うことが、現状維持維持というぬるま湯を熱湯に変える材料になると思います。
やりがいを得ることはスキルアップにならない
現状の私の経験も踏まえ、ジレンマと解決策を駆け足でまとめてみました。
幸いいまの会社・部署は、スキルアップや新システム導入検証に積極的なので上記で挙げた問題点は心配はしていません。今も楽しく仕事ができています。
スキルアップを阻む他の問題点として「やりがい」があります。情シスの仕事は、この「やりがい」を感じやすい仕事だと思います。
例えば、ヘルプデスクだったり、社内システムの運用だったり、会社を回す上で重要な役割を持っているので、やったことに対して人から感謝されることも多いです。
でも、情シスは会社に直接利益をもたらすわけではないし、他の部署営業や開発が商品を作って売ってくれて初めて会社の利益に繋がります。つまり、情シスの仕事は「やりがい」を感じやすいのです。
ただ、当たり前ですが、いろんな部署や人がいるから会社が回るわけで、情シスが特別重要というわけではないのです。
そして、なにより「やりがい」はスキルアップをもたらすものではありません。むしろ現状維持を歓迎する悪魔の囁きかもしれません(←ちょっと極端すぎ?)。
もちろん「やりがい」を感じることは仕事のモチベの上でも大切ですが、それに満足して現状維持を選択してはいけないということです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。