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ユッタの死が影響⁉︎反禁欲主義の聖ヒルデガルトの登場 𝕳𝖎𝖑𝖉𝖊𝖌𝖆𝖗𝖙𝖗𝖓 𝕹𝖔𝖙𝖊

聖ヒルデガルトは[修道女たちの生活万般における極度の禁欲主義を批判した]と言われています。
それは、聖ユッタと共に過ごした日々と聖ユッタの死が影響しているのではないかと感じています。

中世において修道院は女性がわずかばかりの自立と自由を得られる唯一の場所でしたが、同時に教会の階層構造はとても家父長的・教条主義的だったからこそ、幻視による神の導きから本来の聖書の導きを理解していたのかもしれませんね。

禁欲主義の聖ユッタと違い、中庸を説いた聖ヒルデガルトは、まるで悟りを開いたブッダのようですね。

ディシボーデンベルグ修道院での聖ユッタと聖ヒルデガルトの軌跡を追う


聖ヒルデガルトの青春時代、この時期については、ほとんど知られていません。

1112年11月1日、万霊節の日、ユッタが20歳になった頃、ヒルデガルト(当時14歳)はもう一人の若い女性と一緒にディシボーデンベルグのベネディクト修道院に隣接された庵に幽閉され、ユッタの世話を任されました。

ーー松明を灯して、この場所の修道院長と修道士たちによって、この世から本当に死んだかのように埋葬されたーー

※アンカライトだったユッタの世話係も兼ねていたと推測します。アンカライトに召使いを付けることが出来ていたので、ヒルデガルトもアンカライトのユッタの身の回りの世話係を兼ねていた可能性も高いでしょう。


1113年、正式にベネディクト派修道女になります。

オーデルンハイム・アム・グランという小さな町の近くにあるこの山には、ベネディクト派の修道院があり、そこには女性のための庵が併設されていました。
道は急な坂道を登り、修道院跡とそれに隣接する女人禁制の庵にたどり着きます。

彼らが住んでいた庵、いわゆるインクルージョンには、外界との接点として窓が二つしかなかったと言われています。
ヒルデガルトはこの地(ディシボーデンベルグ)で青春時代を過ごしました。

ヒルデガルトの作品には、詩篇だけでなく、聖書の他の書物、特に預言者への言及だけではなく、また、ベネディクト会の規則、通常の聖書注解書、典礼のテキスト、ジェローム、アウグスティヌス、グレゴリー、ベデなどの西欧の教父やその他多くの作家についても言及しています。
ヒルデガルトがギリシャ語やアラビア語の医学書を入手していたこともうかがえます。

ユッタがこれらの本を独房に持っていたとはとても思えません。ほとんどの場合、これらの本はディシボーデンベルグの修道士から彼女に貸し出されたものであろうと推測します。
ユッタ・フォン・シュポンハイムは、外見上は親しみやすく、頭も良く、人脈も多く、人気者でした。

ユッタは、厳しい禁欲生活を自らに課していました。このような理由で、また、体調が悪かったこともあり、ユッタは急死してしまったのです。


ユッタは、彼女は当時の改革運動の精神に基づき、彼女は肉を食べず、宗教者以上に質素で厳しい食事をしていました。また、朝方まで祈り続け、しばしば断食を行いました。ユッタは非常に多くの断食を行い、聖ベネディクトの規則が定めているよりもかなり長く続けました。

断食だけでなく、彼女は衣服の下に懺悔的な自虐的な行為や鉄帯の着用し、ドイツの冬の極寒の中で裸足で祈り、歯のついた鎖のようなものを肌に当てて、ひどい傷をつけていたと言います。

中世のカトリックでは、道徳的・精神的な完成を目指して、快楽や物質的な快適ささえも断つ習慣を持っていました。厳しい食事制限や頻繁な断食が特徴で、鞭打ちによる死を伴うこともありました。
このような修行スタイルによって精神的な完成を求める人の禁欲主義は様々な宗教や教義にも見られます。ユッタのように、中世には多くのキリスト教徒が体罰や鞭打ちを伴う禁欲主義を実践していました。

ヒルデガルトはユッタの厳しい修行に気づくのは遅く、気付いたのは、1136年12月22日にユッタが亡くなり、葬儀の準備のためにヒルデガルドが彼女の服を脱がせたときだと言われており、その体験がヒルデガルトを深く永遠に傷つけました。

大人になったヒルデガルトは、中庸を教えることになるのです。

ヒルデガルトは、ユッタが1136年に亡くなるまでの23年間、文字通りレンガで囲われ、外の世界と関わることができない状態でユッタと暮らしていました。
孤独な環境にあったにもかかわらず、多くの巡礼者がユッタのもとに相談に訪れたことから、ヒルデガルトは後に精神的なリーダーシップのモデルをユッタに求めたのでしょう

祝福された女性として崇拝されたユッタのこれまで知られていなかった伝記によって、ヒルデガルトの若い頃に影響を受けることで育んだ『包括的で多様な精神性』を垣間見ることができますね。

聖ユッタとの関係性から聖ヒルデガルトとしての道がさらに開けていきます。

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