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中世では使われてた?危険性の高いコモンタンジー  𝕳𝖎𝖑𝖉𝖊𝖌𝖆𝖗𝖙𝖊𝖓 𝕹𝖔𝖙𝖊

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179)は、著書“フィジカ”の中で、コモンタンジーを咳や風邪、胃腸の不調などの症状に、スープやケーキに入れて使うことを推奨しています。タンジーの汁をワインに混ぜると「尿意を和らげる」とされていました。

コモンタンジー(reynfan)は熱くて少し湿っていて、すべての余分な体液や流れている体液に効果があります。また、カタルに悩まされている人、咳をしている人は、タンジーをスープや小さなタルトに入れたり、肉と一緒に食べたり、その他の方法で食べるべきである。それは体液の増加を抑え、それらは消滅する。(フィジカより)

しかし、現在ではその“危険性”が確認されているため利用法は限られています。

コモンタンジーは全体的に毒性があり、コモンタンジーの精油は毒性のある成分ツヨンの含有量が多く強い毒性(神経毒性)を発揮します。
かつては内服薬や料理の香りづけに使われることもありましたが、現在では、飲食を含め内用は危険とされます。毒性作用は痙攣・嘔吐・子宮からの出血があり、重篤な場合は呼吸停止・多臓器不全に至る可能性があります。

また、キク科植物にアレルギーがある場合は、接触性皮膚炎の報告があるので注意が必要です。

アロマテラピーで用いるブルータンジーオイルは、コモンタンジーとは別種の植物(タナセタム,ブルータンジー)から蒸留されます。コモンタンジーの精油は、内用、外用どちらに使用しても猛毒であり少量でも致命的です。

コモンタンジーは日本では【ヨモギギク】と呼ばれる、キク科の多年草です。シダに似た形状の深緑色の葉と、1cmほどの黄色い鮮やかな花が特徴的な植物です。

コモンタンジーは、ヨーロッパやアジアが原産ですが、北米を含む世界中に広がっています。荒れ地や道端によく見られる植物の一つで、鉄道の線路網でも根を張って線路の床を傷けるほど。ドイツではほとんどどこでも見かけることができる植物です。

キク科の多くの種類とは異なり、コモンタンジーの黄金色の円盤状の花は光線状の花びらに囲まれていません。数十個の筒状の花が花籠を形成しており、その数は様々で傘のように脇芽に集まっている。開花時期は7月から10月。種子には飛翔体はなく、小さなコロラがあるだけです。

鮮やかな黄色のボタンのような花が傘のように並んでいるのが印象的です。別名としてバチェラーズボタン・ジンジャープランツ・ビターボタンと呼ばれることもあります。

現在は毒性があると言われるコモンタンジー。けれど、中世から薬草として使用されていた⁉︎

コモンタンジー(Tanacetum vulgare)は、その毒性にもかかわらず、昔は一般的な薬用植物として使われていました。民間療法では月経を誘発するとされる女性のハーブとしても扱われていました。昔の言い伝えでは、この植物は実際に避妊薬として使われていたようです。 

花も葉も強い苦味がありますが、コモンタンジーは料理用ハーブとして長い歴史があるようです。中世の時代からヴィクトリア時代に至るまでお茶として、お菓子の風味付けとしても利用されていきました。
コモンタンジーの少量をプディングやオムレツの風味付けに用いていたとも言われています。

イギリスでは、イースターにコモンタンジーのプリンを食べた16世紀のジョン・ジェラードは美味で胃によいと記述しており、古くは、葉で風味を付けたケーキやプティングは〈タンジーズ〉と呼ばれて、イースターに食べる習慣があったようです。また、生葉をサラダなどに利用されました。
※現在は有毒成分が含まれていることがわかっているので、食用は避けましょう。

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中世には主にお腹の中の虫下しに使われていたため、Wurmkraut、Wurmfarn、Wurmtodという古い名前がついています。そのため、黄色い花をミルクやワインで煮ていました。
そのほか、歯痛止めのマウスウォッシュとしても使われていたようです。

植物学者のヒエロニムス・ボック(1498-1554)は、コモンタンジーの筒状の花を種と考え、「コモンタンジーの種は、蜂蜜やワインと一緒に飲めば、虫を追い出し、腹痛を鎮め、汗を追い出すことができると流行っている」と書いています。

また、スイスの薬草学者キュンツレ(1857-1945)は、コモンタンジー茶を虫の排出や胃の疝痛に勧めています。
彼はハーブのチンキを腫れ物に対して外用しました。オイルに抽出されたコモンタンジーは、リウマチや痛風に対するリニメントとして使用されました。

このように、医療や科学の日進月歩により、日々、植物療法も変化しています。聖ヒルデガルトの薬草園を作り、フィジカの内容を学びながらも、現在の植物療法と照らし合わせて学ぶ講座も開設していっています。
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