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【就活】配属ガチャより上司ガチャ、同僚ガチャ 〜「企業文化」って大事〜

住友商事時代、学生から「商社を志望しているのですが、配属リスクが気になって。。。」という相談をよく受けました。

ですが、「配属リスク」よりも「上司リスク」「同僚リスク」の方が遥かに重要で深刻だと思いますし、その裏には「カルチャー」という大切な要素がある。学生の皆さんにはそこを意識して会社を選んで欲しい。今回は、そんなお話です。

そもそも配属リスクがない会社など、ない。

「業種」の違いではなく、「制度」の違い

総合商社は特に事業ポートフォリオが広く、また各々が独立しているように見えることから、「配属リスクが高い」と思われがちです。
(「海老」と「農薬」とか、「インフラ」と「NFT」とか)

ですが、それは「分かりやすくそう見えるだけ」で、どこの会社も同じです。例えば、トヨタに入ったとしましょう。

製造、経理、総務、IT、営業、調達、物流、、、数多の部署があり、そのどこに配属されるかは、その瞬間の会社の状態と、同時に入社する同期たち次第です。

超大企業であるトヨタを例に出しましたが、これは中小企業だってベンチャーだって、「メンバーシップ型」で採用をしている以上、同じです

逆に中小企業やベンチャーの方が動きが速かったり、安定していなかったりするので、配属後2−3ヶ月で異動といった「転部リスク」まで含めて考えれば、配属リスクは大企業より大きい可能性もあります。

なので、配属リスクを気にするなら自分で会社を興すしかないですし、総合商社や大企業だからそのリスクが大きい、というのも勘違いです

ジョブ型採用の会社に新卒で入るのも、結構なリスク

では、ジョブ型採用の会社に入るのが良いのでしょうか?

その場合、確かに「配属リスク」は無くなります。もし貴方が「自分はこれで身を立てるんだ」というスキルや生き方が定まっていれば、アリです。

でも、そうでないケースの方が多いのではないでしょうか。また、22歳で決めた”ジョブ”が本当にその人に合っているのか、というのも結構疑問です。

最近の大学生の方々は、私には想像も出来ないくらい多様な経験をされています。尊敬出来る方も多く、「私ももっと頑張らねば」と奮起させて貰ってます。

が、それでも社会に触れた期間は数年。大学卒業時点で「ジョブを絞る」というのは私はあまりピンと来ておらず、それがFitする方としない方がいるんだろうな、というのが現時点の結論です。

私は、新卒の方には「配属リスク」を飲み込んでメンバーシップ型で入社し、そこでアンテナを張り巡らせながら、自分にとっての「Best Job」を探し、次の会社でジョブ型で採用してもらう方が良いと薦めています。異論は認めます。

もっと気にするべきは「カルチャーフィット」

部署は会社の一部ですよ

ここ数年で、この「カルチャーフィット」という単語が広まってきた気がしますし、学生の方もご存知かもしれません。ですが、これを会社選定の第一優先事項に置いておられる方は少ないのではないでしょうか?

至極当たり前ですが、どの部署もその会社の一部にしか過ぎません。つまり、その会社の文化に合わなければ、どの部署に行ったところで合いません

例えば、「全てを自社に捧げる人達の会社」に「副業もしたいし、ワーケーションもしたい。目一杯休みを取りたい人」が入ったら最悪です。

また、「出来る限りコミュニケーションをオープンでフラットに」という会社がベンチャー中心に増えています。そういう会社はチャットも含めてフルオープンなので、合わない人は非常に働き心地が悪いでしょう。

なので、配属云々の前に「会社の文化と合うかどうか」を真剣に見極める必要がありますし、それは非常に意味のある行動だと思います。

「上司・同僚」>>「部署」

もう一つ、声を大にして言いたいのが、

「どういう上司・同僚と働くか」の方が、「何をやる部署で働くか」よりも遥かに重要である

ということ。これを言うと「誰と働くかなんて、それこそコントロールできないガチャじゃん」と言われます。そんなことはありません。後で解説します。

人間は、自分が思っている以上に周囲の影響を受けます。進学校の進学成績が良いのも、スポーツ強豪校が常に強いのも、「当たり前のように勉強・練習する人の比率が高い」から。カリキュラムや練習のクオリティは二の次です。

部署同様、上司も同僚も会社の一部です。カルチャーフィットを意識するということは、「どういう目標を持ち、どういう価値観を持っている人たちと働くことになるのか」を意識して会社を選ぶ、ということであり、「どの部署で働くか」よりも遥かに重要だと信じています。

ただ、ここで問題があります。「企業が対外的に自社の文化を発信していたとしても、それが本当に浸透しているかどうか問題」です。

文化が浸透していない会社に入ると、「ガチャ」になる

浸透していない文化は文化じゃない

文化が掲げられていても浸透していないと、社員各人の目指すもの、そして各々の価値観がバラバラになります。

同じ方向を向いているチームで働く場合と、全員がバラバラな方向を向いているチームで働く場合、どちらが成長出来るかは説明はいらないでしょう。後者の場合、最悪チーム自体が崩壊します。

そういう会社に入ると、折角事前に文化をチェックして入ったのに、実際にはその文化に染まっていない人ばかりで、結果として配属先の上司や同僚との「カルチャーギャップ」が起こります

なので、「その会社の文化の中身」に加えて「浸透度」を良く測る必要があります。

文化を測る唯一の方法、PMVVCC

会社が目指している方向はPurpose, Mission, Visionに、その会社が大事にする価値観はValueに現れます。そして、さらにその下にCode of Conduct、日本語で言うと「行動規範」も設定している会社があります。

これを総称して、PMVVCC。当然、文化はこれと無関係には生まれません。ここに書いてあることがきちんと浸透しているかどうか、が唯一の指標になります。

例えば貴方が学生の場合、OB訪問の際にはその会社のPMVVCCを事前に確認し、「それが感じられる人かどうか」という目線で見てください。私だったら「御社のPMVVCCが象徴されるエピソードを教えてください」くらい聞きます。

そして同じ会社の社員複数名に会える場合は、一人目と全く同じ質問をぶつけてみる。その回答の本質が近ければ、「文化が浸透している可能性が高い」と言えるでしょう。

事業の内容を聞くよりも、よっぽど価値のあるOB訪問になるはずです。

文化の浸透度で大企業がベンチャーに勝つのは難しい

大企業はその名の通り、やたら社員がいます。カルチャー浸透の先導者である社長の人数は変わりませんので、相当な覚悟と努力が無ければ、自動的にカルチャーは薄まっていきます

例えば、ユニクロでは定期的に柳井さんの本を読む機会が設定されており、ノジマではPMVVCCに関するテストがあるそうです。そこまでやらなければカルチャーは消え失せてしまう、ということでしょう。

一方でベンチャーは違います。社長との距離も近く、文化がズレ始めたら調整も可能です。そもそもベンチャーは「カルチャー命」みたいな所があるので、それがブレ始めると黄色信号とも言えるかもしれません。つまり、

其々の社員が持つカルチャーのボラティリティは、大企業の方が遥かに大きい

と言えるでしょう。正直、「スキル」という観点では平均値や中央値はベンチャーより高いかもしれません。依然として大企業人気は高いですし、社員教育に掛けられるコストが全然違うから。

「平均点の高い人たちと働きたい」のであれば、新卒・大企業は全然アリだと思います。

しかし、同時に「カルチャーフィットしないかもしれない」という大きなリスクを負うことは、十分に認識してください。それは、配属リスクとかいう小手先の問題ではない、貴方の人生を大きく左右し得るものです。

私は、カルチャーフィットすることが確認できるベンチャーに新卒で入る、というのも間違いなく正解になり得る選択だと思います。

おわりに

住友商事を退職した人が必ず言う、「退社してみて、住友商事の人達って本当にみんな優秀だったんだなと良くわかった」というセリフ。僕もそう思います。というか、辞める前からそれは気付いてました。

一方、部署ごとに文化は全然違いました。申請書にハンコを捺す人達の価値観もバラバラ。だから、ひとつ前の会議と今日の会議で言われることが全く違う。

これはトレードオフだと思っていましたが、セルソースではそうはさせない。大企業になったとしても、一つの文化を最高のメンバー全員が共有している世界線を、必ず実現させます。

では、また来週。

(以下は、私が関与した弊社関連記事です。ぜひご一読ください)


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