直感を信じろ、無意識に頼れ
中学受験勉強を始めて以降、「結果を出す」ために勉強してきました。
それは「考えて」、より良い答えが出るように頑張ってきたものです。その結果、難しい問題が解けたり、ややこしいタスクをスピーディーにこなせたりしてきました。
しかし、転職して3ヶ月が経ち、今「考えないこと」の大事さを痛感しています。「積み重ねてきた先にあった、無意識の価値」について、書いてみます。
中々消えなかった受験勉強癖
昔から、(限られた科目だけですが)勉強は嫌いではありませんでした。
しかし、それは「知ることへの喜び」によるものではなく、「難しい問題が解けた時の喜び」や「他者よりも良い結果を出した時の喜び」といったものが原動力でした。
それは社会人になってからもしばらく続き、「今の業務がこなせる様になるため」の勉強はしっかりやってきました。
周囲を見ていても、こういったモチベーションで勉強を重ねる人は少なくないと思っており、それは所謂「受験勉強」の弊害かも知れません。
やたらと資格に拘る人や、資格試験の時だけ勉強する人が多いのも、同じ話だと理解をしています。
「答えのある世界」から「答えの無い世界」へ
「経営」という答えがない世界に触れて変わった価値観
入社して3年目、25歳前後の頃から審査部隊でM&Aに関わり始め、27歳で営業に移り、自分でM&Aを実行するようになりました。
最初に担当したブラジル案件で運よく投資まで漕ぎ着け、「さあPMI(買収後の統合プロセス)だ」と意気込んで、何度目か分からぬブラジル出張に向けて飛行機に乗った時に気がつきました。
過去のNote「M&Aの流儀① M&Aはどれだけの人の人生に影響を与えてしまうのか、考えよう」で偉そうなことを書いてますが、最初の案件の時は投資実行が完了するまで、こんな当たり前のことに気がついていなかったのです。
PMIは、買収した会社の経営に直結します。「AだからB」という単純な答えなどありません。その大変さ、判断の影響力の大きさに気付いた瞬間に本を買い込み、それから7年間、「答えの無い世界」で戦うべく勉強を続けてきました。
考えて考えて、判断をしていたウクライナ時代
「答えがない世界」で極力正しい判断をするべく勉強を重ね、自身の経験と学んだことを掛け算し、分からないことがあるときは他者に聞き、自分なりの判断を行ってきました。
住友商事キャリアの集大成であったウクライナ案件では、買収からPMI完了までの5年間、今振り返っても悪くない判断をし続けてきたと思います。
自分なりに思考を整理し、自己流のM&Aプレイブックや組織文化に関する提言書も作成し、「吸収し、考え、より良いOutputを出す」という点においては悔いのない5年間でした。
考えても分からない、考える時間もない世界線に
3月に転職し、4月からは経営企画部長となり、大きな責務を負いながら、社内の多くの方と接する日々を過ごしています。
私のGoogleカレンダーは、日々ミルフィーユのように詰まっており、事前にブロックしておかないとランチどころか、トイレにも行けないような状況です。
(まだまだ分からないことだらけの中で、大変有難いことです)
「「強くてニューゲーム」と思ったけど、違った」にも書きましたが、携わる仕事、寄せられる相談の殆どが「知らない、経験したことのない」もの。これは今でもそうです。次から次へと新しいことが起こり、新しい相談をいただきます。
そしてこの「強くて〜」には、「ひたすらに考えるしかない」と書きました。しかし、その後1.5ヶ月が経過し、二つのことに気が付きました。
「考えることでOutputのクオリティを上げる」ことに集中する数年を経てのこの状況に、大分混乱しました。が、なぜ①のようなことが起こるのか、そしてどうして一流の経営者達は②のような状況でも決断を繰り返せるのか、という点について自分なりに整理が出来てきました。
直感・無意識の大切さ
直感の方が使ってる情報量が多い
皆さん、人生で学びを得た瞬間や、過去に読んだ本の内容・文面を思い出そうとして、どの程度思い出せるでしょうか。おそらく、殆ど思い出せないのではないでしょうか。
では、その思い出せない経験達や書籍の内容達は完全に忘れ去られてしまっているのでしょうか。勿論そんなことはありません。エッセンスに凝縮され、脳の小箱(大脳皮質)の中に保管されているのです。
そして、何か刺激が発生した際に神経細胞は反応(興奮)し、シナプスを通じて他の神経細胞に刺激を与えます。それがおよそ音速程度のスピードで行われる。
思い出せない情報達も、ちゃんとシナプスが繋がっていれば、ニューラル・ネットワークを通じて使っているのです。
一方、考えれば考えるほど、「思い出しやすい引き出しに入っている記憶・情報」を掛け算していくことになります。その情報をベースとしてのOutputのクオリティは上がっていきますが、中々「新たに思い出す」ことは難しいので、考えても前提となる情報量があまり増えません。
なので、直感の方が使っている情報が多い一方、掛け算のクオリティ自体は「考えた時」に劣る、というのが私の理解です。
積み重ねてきたからこそ、直感のクオリティが上がる
つまり、経験が浅かったり、脳全体に入っている情報量がそもそも少ない時は、直感のクオリティは必然的に低くなります。一所懸命に考え、分からないことは調べる必要があります。
しかし、「思い出せない情報」の量と質が上がってくると、状況は一変します。
掛け算の質は考えた時の方が依然として高い一方、「思い出せない情報のクオリティ>>>思い出せる情報のクオリティ」となることで、直感が思考を上回ることが出てきます。
積み重ねてきたからこそ起きることであり、このことに気付いた時、「これまで考えて続けてきた、吸収するよう努力してきた自分」に少しだけ感謝しました。
直感・無意識との付き合い方
とはいえ、いつでも直感が勝つ訳ではありません。そういうレベルの人もいるでしょうが、私は全くそこには到達していません。
なので、この「直感くん」を頻度高く発動させるように最近は心掛けています。その方法は以下。
アイデア不足の私ですが、結構このアプローチでいろんなものを思いつくようになりました。大事なことは、メモは出来る体制を整えておくこと。直感はすぐに忘れるので。。。
もちろん、「考え抜く」こともいつまでも大切です。ただ、人間生活を送っているとどうしても「思考」「意識」ばかり大切にしてしまうので、意識的に「直感」「無意識」を大事にすることが肝要だと思っています。
おわりに
何度もNoteで書いてますが、「やっぱりDotsだな・・・」と思う日々です。色んなところに無数のDotsを打つ。
思い出せるDotsは思考で掛け算できるし、思い出せないDotsも無意識に使われている。
だから、どんなに忙しくても、朝3時まで仕事をするような時でも、必ず週に一冊は本を読むようにしています。そうしないと、結果的にパフォーマンスが落ちる。(本当は週に2−3冊は読みたいので、早くそういう体制にしたいですが)
6月には書籍の上半期レビューNoteを書きたいと思いますが、このNoteの読者の皆様からのおすすめ書籍、大募集中です!!!
では、また来週お会いしましょう。
細田 薫
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