見たことがないスポーツ|つむがれた糸の先に。
「壁と天井がぜんぶ床でできた
部屋に住みたいんです!」
少女は澄んだ瞳ではっきりと告げた
私は業界で十年働いてきたが
天井が床という発想は初めてだった
「壁を走りたいんです」
冗談には聞こえない
切実さ感じた私は
コンクリート打ちっぱなしの
物件を案内した
息を呑んだ
彼女はまるでボルダリングをするように
軽々と登り始めた
でっぱりがない
ツルツルの壁を
瞬間、歴史が動いたことを確信した
彼女の存在は
私の中に
無限の宇宙を生み出した
それから数年
少女は女性へと成長し
全てが床で構成された立方体を
駆け抜けていく
重力を浮力に変えるように
床から跳躍し
天井に舞うように
降り立つ
360度を最大限に
活用した
新しい時代の
バルクールダンス
かつて蜘蛛と少年の出会いがあった
運命の糸
クモっキュー
両手両足に装着して
クモのように
壁や天井を移動できる
クモっキューを生み出した
いつかの少年は
父になった
糸は、娘へと紡がれて
新たな模様を織りなす
20XX年オリンピックの目玉
モクっキュー
(410文字)
たらはかにさんの
【毎週ショートショートnote】
【見たことがないスポーツ】のお題でした。
ショートショート「命乞いする蜘蛛」の
続きを書きたかったのですが
ようやく書けました。
クモっキューを身に着けて
スパイダーマンのように壁や天井を
登れたら楽しそう✨
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
みなさんの毎日が
素晴らしいものでありますように。
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少しでも、あなたの心に残ったのなら嬉しいです。