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翻訳ツールを活用したライティング活動

翻訳ツールの精度が非常に上がっています。今や、翻訳ツールを使わないデメリットの方が大きく、この影響は無視できないほどです。これからは翻訳ツールもうまく活用した学習がより重要になってくると考えられます。そこでここでは、ライティング活動における翻訳ツールの活用法について紹介します。

おすすめの翻訳ツール

お勧めはDeepLです。これは現時点ではかなり高精度な翻訳ツールです。他の翻訳ツールとは比べ物にならないほど、自然な英語を作ってくれます。以下では、このツールを使います。

翻訳ツールの活用目的とその効果

通常、翻訳ツールは日本語を英語にするために使います。しかし、私がおすすめするライティング活動での翻訳ツールの活用法は、①自分で書いた英語の文章を日本語に直す、②その日本語を英語に再度変換し自分の書いた英語と翻訳ツールの英語との違いを比べる、というやり方です。このような使い方をするメリットを、以下で具体例とともに説明していきます。

①英語が自分の意図した意味になっているか確認ができる

英語を日本語に直すメリットは、自分の書いた英語の意味を確認できることです。自分の英語が意図した意味になっているかを確認することは、自分だけでは非常に難しいです。また、たとえ教師や他の学習者に読んでもらっても、誤解が必ず明らかになるとは限りません。

英語が正しくても異なる意味の英語を誤解して書いていては意味がありません。そのため、英語が本当に意図した意味になっているかどうかを確認できることはメリットになります。意図した意味でないことに気づくこと自体が大きな学びになるからです。

筆者が適当に作成した英文(誤り含む)を、DeepLで日本語に翻訳してみた結果がこちらです。My friend to enjoy bored(意図:友達はスノボを楽しんだ). と I fool a lot(たくさん転んだ). が意図した意味になっていないことを知らせてくれます。

英語を日本語に翻訳した結果 一部が意図した意味になっていないことに気づく

②フィードバックを受け、自然な表現を学ぶことができる

自分の書いた英文の日本語訳を再度英語に直すメリットは、自分の書いた英語との比較ができることです。自分の英語が自然な表現になっているかどうかを確認することは、これも自分ひとりの力では非常に困難です。教師に添削してもらうことも可能ですが、添削結果が戻ってくるまで時間がかかったり、必ずしも添削が正しくなかったり、教員の負担が大きく添削をしてもらえなかったりすることがあります。

高精度な翻訳ツールが生成した日本語を英語に直すことで、自然な表現の英語を知ることができます。ここで、別の表現が使用されていることに気づくと、『もしかしてこれは不自然なのでは』と気づくことができます。また、別の語彙や表現を知るきっかけにもなります。

筆者が適当に作成した英文(誤り含む)の日本語訳を、意図した意味に変えて再度英語に変換してみた結果がこちらです。I went to play ski. や I was fun. が適切な表現に直されています。また、修正した日本語『スノーボードを楽しんだ』などが適切な英語に訳されています。

翻訳した日本語を更に英語へ変換 不適切な表現が自然な英語に直っている

さらに上のレベルを目指すために

翻訳ツールの結果そのままを写して書き直すだけでなく、さらに上のレベルを目指しましょう。

ブラウザ版のDeepLは英語にマウスカーソルを合わせると表現の選択肢を提示してくれます。もし自分の選択したものでない表現で英訳された場合、選択肢を確認してみましょう。自分が選んだ表現が選択肢に含まれていれば元の表現でも良いかもしれません。

DeepLが候補の表現を提示 winter breakはwinter vacationでも問題はないと分かる

さらに、疑いを持った表現については辞書等で詳細を調べることも重要です。名詞や動詞の意味(ニュアンス)を誤解していないか、動詞のSV、SVO、SVOOなどの使い方を誤っていないか、語と語のつながり(コロケーション)の点での不自然さはないか、などを疑ってみましょう。ライティングでよくある不自然な英語表現は、基本的な文法ミスに加えて、語彙のニュアンス(see と watch の違い等)やコロケーションの逸脱が殆どです。

まとめ

翻訳ツールを学習者に使うことを許してしまうと、英語を書かなくなるのでは、との懸念は根強くあります。しかし、ツールは使い方次第でメリットを生むことができます。今回紹介した使い方では、自然な表現や語彙のフィードバックを学習者が各自の状況に合った最適なものとして受けることができます。このような使い方をすれば、ライティング力を効果的に高めることができるはずです。

なお、DeepLには添削機能(DeepL Write β版)が最近公開されています。こちらを使ってみると、やや正確性に難ありだったため(以下画像を参照)、これからの開発に期待したいところです。

DeepL Write の添削結果 I played skiing やMy friend to enjoy bored.I enjoyed a lot. など元の英文の正確性が著しく低いと適切な添削はしてくれない

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