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中学生のフィジカルトレーニングにおいてウエイトトレーニングをすべきか?

こんにちは。
東京、埼玉、岐阜を拠点にパーソナルジムSharezを運営している岡崎秀哉(@hide_sharez)です。

このnoteでは、フィットネス、スポーツに関する自分の考えなどの情報を幅広く発信しています。
今回は「中学生の部活動、クラブ活動において、ウエイトトレーニングはすべきなのか?」というテーマでいきたいと思います。

1.結論から「中学生のフィジカルトレーニングにおいてウエイトトレーニングをすべきか?」

結論、すべきだと考えています。
ただし、もちろん個人差はありますし、段階的導入が前提となります。ここが結構見落とされている点でもあると思います。
「何かをした方が良い!」「これが良いらしい!」という情報だけ受け取って、それらをどのように導入するか?どんな段階を追って取り入れるのか?が見落とされており、いきなり導入してしまうパターンです。
その辺りも踏まえてまとめていきたいと思います。
また、ここでいうウエイトトレーニングとは、ダンベルやバーベルを使ったトレーニングを意味しています。

2.なぜ導入すべきと考えているのか?

僕自身が導入すべきと考えているか?について説明していきます。
ここは僕のようなトレーナーの立場でも意見が分かれるところかもしれないので、全然異論があって良いと思いますし、そういった方々の意見も聞いて勉強したいです。(お気軽にご連絡ください!)

2-1.発育、発達の観点から

まず、発育、発達の観点から、中学生の段階からウエイトトレーニングを導入した方が良いと考えています。
これを考える上で代表的なものが「スキャモンの発育、発達曲線」というグラフです。(以下のイメージ図)
中学生、もっというと小学生の段階は「神経型」の発達が著しく、これが運動との関連が深いことから、この時期にいろいろな運動経験を積んだ方が良いとされています。
そういった点でいろんな運動の一つとして、ウエイトトレーニングも必要だと考えています。(もちろん低負荷、低難度からのスタート)

スキャモンの発育発達曲線

発育、発達曲線を、年齢別に運動に特化し、アレンジしたグラフが以下のイメージ図です。

引用元:発育・発達パターンと年齢別運動強化方針(宮下充正、他編:子どものスポーツ医学 1987-1988)

こちらの方がスポーツ、トレーニングという観点では理解しやすいと思います。小学生の時期に「動作の習得」などが発達しやすいので、いろんなスポーツや運動をさせた方が良いとされ、「ゴールデンエイジ」と言われています。そして一般的には中学生はこのゴールデンエイジ後の時期といえます。このグラフでいうと、粘り強さ、力強さが発達する時期であり、まさに筋肉量や筋力も伸びる時期なわけです。

2-2.スキルの上達はフィジカルがベースにあるから

次の理由として、「スキルの上達はフィジカルがベースにある」という考えからです。
様々なスポーツにおいて、その競技に必要な技術の習得していくわけですが、これらはフィジカルがベースになっています。
もちろん、その競技の練習をしていけばその競技に必要なフィジカルが身についてくる、という考え方もあると思うのですが、それは非効率だといえます。
例えば、「バレーボールのアタックを強化したい!」と思った場合に、ひたすらアタックの練習をする、ジャンプの練習をする、といった形でもジャンプ力は徐々に上がっていくと思いますし、アタックもうまくなっていくと思います。しかし、それにはそれなりの時間がかかりますし、同じような練習の繰り返しで怪我のリスクも高まります。
しかし、そこにフィジカルトレーニングを加えたとしましょう。下半身の筋力強化、体幹部の強化、肩関節の可動性アップ、上半身の筋力強化などを行うイメージです。また、高く飛ぶためのスキルトレーニングや、アタックを強く打つためのムーブメントトレーニングも実施します。

どちらにしても時間はかかるのですが、筋力や可動性はフィジカルトレーニングを行った方が早く向上します。そして、その状況でアタックやジャンプの練習をした方がアタックのパフォーマンスは向上しやすくなります。

こんなイメージ

やはり、練習はスキルやテクニック向上が目的であって、フィジカル自体の向上にはフィジカルトレーニングを行った方が良いし、フィジカルが高い方が当然スキル、テクニックも良いものが身につけられます。

2-3.負荷をかけないと筋力向上しないから

ウエイトトレーニングをした方が良い理由として、負荷をかけたい、というシンプルな理由もあります。
トレーニングの原理・原則として、

過負荷の原理、特異性の原理、可逆性の原理
漸進性の原則、全体性の原則、反復性の原則、個別性の原則、意識性の原則

といったものがあります。
このうち、過負荷の原理、漸進性の原則、全体性の原則、個別性の原則、反復性の原則はウエイトトレーニングの有効性を物語っています。

ウエイトによって、過負荷、漸進的な負荷をかけることができますし、トレーニング種目を工夫することで、全身、様々な機能を高めることができるので全体性もあり、個別のアプローチもでき、反復も可能です。

これらの理由から、僕は中学生の段階でもスポーツのパフォーマンスを高めたいのであれば、ウエイトトレーニングを導入すべきだと考えています。

3.では、どのように導入するのか?

「じゃあ、どんどんウエイトトレーニングをやろう!」という話かというとそうではありません。
やはり、まだ身体も多くが成長過程ですし、ウエイトの扱いにも慣れておらず、筋力レベルも大人と比べると低いので、徐々に導入していく必要があります。

3-1.まずは自重トレーニングがしっかり行えること

自分の体重、負荷や四肢が正しくコントロールできないのにそれ以上の負荷や動きは難しいです。まずは自重のトレーニングからスタートするのが良いでしょう。
腕立て伏せ、スクワット、腹筋、背筋、逆立ち、鉄棒、ダッシュ、ジャンプなどが安定した動きで反復できる状態になりましょう。
目安としては、回数を行うものは20-30回はフォームが崩れない形で反復できるようにしましょう。
それができるまでは自重のトレーニングのみでOKです。

3-2.簡単な種目からスタート

ウエイトトレーニングを導入できる段階になったら、まずは種目の選定です。いわゆるビッグ3(スクワット、デッドリフト、ベンチプレス)をベースとして取り組むのがオススメです。
ただし、ここに関しては、競技によって違いもあるので、一般論として説明していきます。(競技別に関しては個別に聞いてください)
個人的には、ビッグ3にミリターリープレス、チンニング(懸垂)、スプリットスクワットあたりをプラスするのが良いと考えています。
まずは、これらを正しいフォームで行えるようにしましょう。

3-3.最初は20-30回反復できる負荷からスタート

次に負荷についてです。
ウエイトトレーニングの導入時は、正しいフォームで反復すること、トレーニングボリュームに慣れること、が大切です。
重いものを挙げること、筋力を高めること、はスタート段階で求めることではありません。ですので、フォームが崩れてしまったり、崩れそうになったらそこでストップでOKです。
トレーナーやフォームを理解している人に見てもらう、自分で動画を撮るなどし、正しいフォームを身につけていきましょう。目安としては、20-30回反復できる重さからスタートするのが良いでしょう。各種目、60-90秒ほど休みながら、2-3セット行います。
理由としては、これくらいの負荷であれば、フォームを気にしながら、修正しながら動くことができるからです。また、それなりの回数を反復するので、動作の学習にもなりますし、トレーニングのボリュームにも慣れて、トレーニング量をこなす下地作りになります。

3-4.徐々に負荷を高めていく

慣れてきたら、徐々に負荷を高めていくわけですが、これも一気に上げてはいけません。
漸進性の原則にもありますが、効果の面でも、安全面を考慮しても、少しずつ高めていく必要があります。
ダンベルであれば、1-2kgずつ、バーベルであれば、2.5kg-5.0kgずつ高めていくようにしましょう。反復回数は同じく1セットあたり20-30回を2-3セットです。
中学生の段階では、10回以下の反復回数には持っていかなくて良いと思います。(かなり高レベルな選手であればあるかもですが)

3-5.種目を追加、変更していく

反復性の原則にもあるように一定期間同じトレーニングをした方が良いですが、慣れてきたら少し種目を追加、変更していっても良いです。
トレーニング効果が出るのには、3ヶ月ほどはかかるので、それくらいのタームで見直しを図りましょう。

4.トレーニングの環境がない場合はどうしたら良いの?

ここまで中学生でもフィジカルトレーニングとしてウエイトトレーニングを導入した方が良いということで、つらつらと書いてきましたが、そもそも中学校にウエイトトレーニングができる環境は少ないと思います。
近くのジムに通ってウエイトトレーニングを指導者がいるもとで行えれば一番良いですが、なかなかそんな環境はないと思います。
ちなみに、弊社Sharezの高山店では、スポーツをしている中学生、高校生もパーソナルトレーニングに通ってくれていますし、我々が学校に出向いてトレーニング指導したりもしています。

とはいえ、トレーニング環境がない、指導者がいないというところがほとんどだと思いますので、そこでできる工夫についてここでは解説していきます。

4-1.まずは自重トレーニング

これは先ほどと変わりません。まずは自分の体重や自分の四肢をコントロールできるようにトレーニングしていきましょう。
種目も上記同様、腕立て伏せ、スクワット、腹筋、背筋、逆立ち、鉄棒、ダッシュ、ジャンプなど。

4-2.強度の高める工夫した自重トレーニング

ここでいう工夫とは、段差を利用したり、身体の向きを変えたり、
具体的には、以下のような工夫が挙げられます。

・スクワット → ブルガリアンスクワット、ジャンピングスクワット、シングルレッグスクワット
・床での手押し車  → 階段を上がる
・その場でのジャンプ → 立ち三段跳び、バウンディング
・バックエクステンション → ステージなどの高さを利用する
・フラットな地面でのダッシュ → 登り坂、下り坂でのダッシュ
・プランク → 片手、片足でのプランク
・サイドプランク → 高さを利用したサイドプランク

少し環境的な条件と、トレーニングレベル、フィジカルレベルが必要にはなりますが、自重トレーニングの次の段階としてぜひ取り入れたい工夫です。

4-3.徒手抵抗トレーニング

自重トレーニングがある程度できるようになってきたら、徒手抵抗トレーニングがオススメです。徒手抵抗とは、パートナーの力や体重を利用して負荷をかけることを言います。ですので、ペアになって行うトレーニングです。
道具などを使わずできるので、どこでも導入しやすいのがメリットです。
具体的には以下のような種目が挙げられます。

・レッグカール(ハムストリングス)
・レッグエクステンション(大腿四頭筋)
・シットアップ(腹直筋)
・アダクション(内転筋群)
・アブダクション(中臀筋)
・クラムシェル(外旋六筋)
・ヒップリフト(大臀筋)

デメリットとしては、抵抗を加えるパートナーの技術がある程度必要であることや、負荷を数値化しづらいので強度の調整が難しいことです。

4-4.バンド(チューブ)トレーニング

いろんな部活動やクラブチーム、スポーツ選手を見ているトレーナーにヒアリングしたところ、簡易的に導入できるアイテムとして「バンド」「チューブ」が多かったです。
ここでいう「バンド」はエクササイズバンドの類で、足首や膝にセットするイメージのものです。
ゴムタイプのものや布タイプのものがあります↓↓

使い方としては、以下のようなパターンがあります。

・クラムシェルやアブダクションの強度アップとして膝に巻く
・膝や足首に巻いて中臀筋のトレーニングとして使う
・膝や足首に巻いて内転筋群のトレーニングとして使う
・手で持って肩のインナーマッスルのトーニングとして使う

「チューブ」はトレーニングチューブで、エクササイズバンドよりも長く、強度が高いものとします。「レジスタンスバンド」と呼んだりもします。体に巻きつけたり、引っ張ったりして使います。
こちらも、ゴムタイプのものや布タイプのものがあります↓↓

使い方としては、以下のようなパターンがあります。

・ローイングとして使う
・ショルダープレスとして使う
・サイドレイズ、フロントレイズ、リアレイズとして使う
・チンニングの補助として使う
・ダッシュの負荷として使う(牽引)
・ジャンプの負荷として使う(牽引)
・体に巻きつけてスイング、ツイストの負荷として使う

5.どれくらいの頻度、ボリュームで取り入れるの?

最後に、上記で説明したようなフィジカルトレーニングをどれくらい取り入れるのか?という量、ボリュームの話に移っていきましょう。
部活動やクラブ活動が週3回あるとしたら、週1回30-60分程度から取り入れていくと良いでしょう。仮に週4-5回あるとしたら、週1日1-2時間程度はフィジカルトレーニングに当てて良いと思います。

6.まとめ

まとめると、中学生からウエイトトレーニングを段階的に導入すべきではあると思うのですが、なかなかその環境もないと思うので、工夫しながら強度を上げたトレーニングを行っていきましょう、ということです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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