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週あたりの授業削減=教員の負担減!?①

 皆さんこんにちは!または初めまして!
 公立小学校教員歴19年目のヒデと申します。

 先日ネットをぽちぽちしていたら次のような記事を目にしました。

 要は一週間あたりの授業時数を減らして、その分放課後に次の日の授業準備やその他の仕事ができるように負担を減らしましょう、ということ。
 なるほど、言っていることはもっとものように見える。

 現状、4年生以上は基本的に週に29時間(以下コマと数える)授業を入れている学校が多いと思います。(月〜金までの5日間、1日だけ5コマでそれ以外6コマ)
 その29時間を減らして、放課後の時間を拡充しようと言っているのだから、我々教員の、そして子ども達の負担減につながるかもしれません。しかしそれにはカラクリが見え隠れしています。
 では、以下具体的な数字で検証してみましょう。


▶︎小学校4年生の算数で見てみると【現状】

 まずはこちらが現状。

 

 学校で指導する教科や領域については年間標準時数といって一年間で授業すべき時数が学習指導要領によって決まっています。4年生の算数では175コマと決まっているので、それを一年間で最低でもこれだけ授業しなさいよとされている35週で割ってみましょう。
 すると、一週間あたり5コマは算数の授業をしなければいけない、という計算になります。
 僕たちはこの計算をもとに、時間割を作っているのです。
 あくまでも最低ライン、については後ほど述べます。

▶︎週あたり1コマ減らしてみると

 あくまでも単純計算。算数だけ週あたり1コマ減らしてみるとこうなります。

 

 今度は計算式を少しいじって、年間175コマ達成しなければならない算数を、週あたり4コマやったら何週間かかるか計算してみました。
 結果は上のスライドの通り。
 週1コマ減らしただけで9週も増えました。
 9週っていうと2ヶ月ちょいです。算数で1コマ減らしただけで、ですよ。

 とはいえ、4年生以上の算数を週1コマ、つまり35コマも削減することは現実的ではありませんし、その他の教科・領域にも手をつけなければならないので単純にこの計算通りにはならないでしょう。それにしたって、児童にとっての登校日や教員にとっての出勤日が増えることには変わりがないと思います。
 果たしてこれで負担減につながると言えるのでしょうか。

▶︎長期休業をねらっている?

 以下の図はすごーく簡単に1年間の教員の仕事を可視化してみたものです。
 本当はこんな単純ではありませんよ笑

 

 週あたりの授業時数を減らしたところで、授業週数が増えるだけというのはこれまでに述べてきた通りです。
 そのことをこの図に当てはめてみると次の通り。

 

 皆さんお分かりであろうか・・・では、もう一度・・・と言いたくなります。
 確かに縦軸は減ったかもしれませんが、横軸、特に夏休み・冬休みの部分をご覧ください。
 増えた週数がこちらを圧迫しています。
 ここで押さえておきたいのが「長期休業(夏・冬やすみ)」は子ども達にとっての休みであって、我々教員は休みではないということです。だいぶこの辺りの認識は広がってきたように思いますが、いまだに「え?そうなんですか?」と驚かれることも多いです。

 ただ、子ども達が登校してこない分、普段はなかなか使えない有給をまとめて使う先生が多いので、そう勘違いされることが多いのです。

 また、文科省や我々教員の世界のことなので、この負担減になった時間にその分余計に研修や会議、勉強会などを入れてくる未来しか見えませんが。

▶︎これが文科省のねらいか!?

 以上のことから、週あたりの時数を単純に減らしただけでは授業週数が増えるだけなので負担は減らないどころかむしろ増える!ということがお分かりかと思います。そして増えた授業週数を消化するには長期休業に手をつけなければならない、という現状も。
 ただ、僕はここに文科省のねらいがあるように思えて仕方がないのです。

 昨今、「夏休みを減らしてほしい」「夏休みは不要」という意見が出てきています。

 夏休みは必要か不要かといった議論は後日書くこととして、このような保護者の意見に文科省は反応したのではないか、という疑念が僕は拭えません。
 学校は保育施設ではないのです。
 その子は誰の子ですか。

こう言いたくなります。

▶︎保護者を責めるだけでは解決しない

 とはいえ、保護者だけを責めても仕方ないのかな、とも。
 近年政府が共働きを強く推奨しています。しかし学童などの拡充は後手後手。
 やっていることがチグハグだなあ、と。
 つまりこの社会の構造をきちんと見直し、子どもを取り巻く環境を整備した上でやっていかないと、どこかにこのような皺寄せがきてしまうのではないでしょうか。

▶︎解決策は

 これについては多くの人が声を上げている通り、
①授業内容や教科の精選(削減)
②学校における人員の倍増

しかないと思います。

 どうにも文科省や国はこの二点からは顔を背けたいようで・・・・

▶︎まとまらないまとめ

 ということで、一見「おお!?」というようなことでもじっくり考えなければならないなあ、という話でした。
 僕も「え?負担減るの?」一瞬騙されかけましたが。
 僕の中での格言で、
「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を利用する」
というものがあります。
 きちんと数字として検証してみないとわからないこと、ありますね!

 普段は仕事と子育て、趣味に忙殺されていますが、入院中は暇なのでキーボードが進みます!笑


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