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組織における「物語」の重要性

株式会社ブレーンバディ執行役員CHROの永井です。今日は、組織に重要な「物語」について考えていきます。カルチャー浸透を行う際に、創業ストーリーのような形で、その会社の歴史をストーリー的に語るケースが多々あります。また、リーダーが何かの戦略やメッセージを伝える際にストーリー性を重視するなど、人を動かす際にも「物語」はよく活用されます。
本日は、なぜ組織に物語が必要なのか、そして、スタートアップにおける物語の重要性についてみなさんと一緒に考えていければ嬉しいです。

物語がなぜ重要なのか

”人・組織の領域でなぜ物語が重要なのか”という問いに対して、僕の中でシンプルな回答としては、「人の感情を動かすから」です。人は、感情で動く生き物です。理解ではなく腹落ち・納得で動きます。そのため、物語性がなく単に事実を並べた場合、理解したとしても納得しないケースが発生し、結果、人は動かないことがあります。また、ある程度動いてくれたとしても、爆発的なエネルギーを発揮してくれないケースがあります。一方で物語として語られ、意味意義を感じた場合、人は納得しエネルギーを発揮してくれます。
また、物語論でも説かれている通り、物語の中の過去・現在・未来という構造は、人の主体的体験に近いため、人は登場人物の体験を自分のもののように感じる生き物です。組織に落とし込んで考えてみると、戦略をストーリーとして語り全員に共有することで、一人ひとりがその物語の登場人物となり、自分の一挙手一投足が物語(戦略)にどのように関わっているか感じながら日々の仕事に臨めます。そのため、『ストーリーとしての競争戦略(楠木健氏著)』でも言われている通り、『優れた戦略は思わず人に話したくなるような面白いストーリー』であり、物語(ストーリー)として戦略を伝えることで人を動かし一つにまとめることができます。

具体的な例を考える時、宗教で考えてみるとすごくわかりやすいです。「聖書」は世界で最も読まれている物語です。この聖書を元にその宗教は理念を浸透させ、人の心を動かし一つにまとめています。
ビジョナリーカンパニーの中で、時代を超える8つの生存法則の一つに【カルトのような文化】と書かれています。宗教を作る際に教典などを用い物語を流布させる行為は、多くの宗教で用いられているのではないでしょうか。(善悪は別にして)その物語に共感し、自分もその物語の一員となることで自分や大切な人の人生がより良くなると感じたり、救われると感じることでいつしか物語の一員(信者)となっていきます。もちろん物語だけでカルトをつくれる訳ではないですが、それくらい物語は重要であるように感じています。

個人のストーリーと会社のストーリーが重なり合うこと

会社の中には様々な物語が存在しています。会社の物語、チーム単位の物語、一人ひとりの物語など誰を主役(主観)にするかによって見える物語は変わってきます。そうした時に、働く個人が描くストーリーと会社のストーリーが重なり合うことは双方の幸せを考える際に非常に重要な観点です。会社の物語を聞いた時、その物語に参加したいと思えるか。または、個人の物語視点で考えた時に会社が物語の中に出てくるか。もしどちらもなく、「ただお金のために働く」などと考えていた場合、双方にとって中長期的な幸せはない可能性が高いと思います。
よく面接で、「もし入社したら当社でどのようなことをしたいですか?」というような、仮に入社した時にあなたはどうする?という問いをされるケースがあると思います。これも一つの物語が重なり合うかを確かめる質問の一つだと思います。そのため、会社・個人にとって双方の物語に共感できないケースやその物語に参加できないと感じる場合は、一緒に働かない選択をした方が中長期的な両者の幸せがあるのではないかと感じています。

ブレーンバディのストーリー文化

ここまで組織における物語の重要性を考えてきました。ここからは当社のカルチャーでもあるストーリー文化について少しご紹介していきます。当社のストーリー文化はこれまでも何度かご紹介いたしました。当社では、成果や人生の結果は、熱意×考え方×能力の3要素の掛け算で決まってくると考えています。(稲盛和夫氏の考え方を参考にしています)

根っこと人生の夢・目標をストーリーが繋いでいる状態が、熱意を生む状態だと考えています。根っこは、その人が持つ使命や存在意義のようなものです。その根っこと夢をストーリーでつなぐことで、自分が今何をすれば自己実現や自己超越などの欲求を満たせるのかが見えてきます。そして、日常の無機質な事象に意味意義を感じられます。そのため、自分のパフォーマンスを最大化できるという構造です。
ストーリー制度は、創業初期から導入し、大切に育てている文化の一つです。その理由は、人材ポリシーに基づき、一人ひとりが自分の人生の主人公となり、自己実現をして欲しいと願っているためです。特にスタートアップ環境はカオスな状況も非常に多いです。そのため、仕事を自分ごととして捉えられないと、あまり幸せに過ごせる環境ではないかもしれません。だからこそ、一人ひとりが自分の人生に向き合い、夢・目標を実現するためのストーリーが生まれ、そのストーリーが会社と重なっている状態を今後もつくっていきたいです。そして、個人のストーリーが前に進むことで、会社が成長する。会社のストーリーが前に進むことで、個人が自己実現できるという相互依存の関係であり続けたいです。


<参考文献>


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