マガジンのカバー画像

書評

7
運営しているクリエイター

記事一覧

【書評】広田照幸『学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか 』(ちくまプリマー新書)

教育分野に関わり始めてから初めの頃は教育論や学校論等は読んでいたのですが、かなり被る内容も多く感じたので、しばらく読んでいませんでした。しかし、広田照幸先生のご著書は「日本人のしつけは衰退したか」「現代日本の少年院教育―質的調査を通して」を読ませていただいてとても斬新だったので、たまたま以下の本を本屋で見つけて、今回も期待して購入しました。

結論から言えば、さすが広田先生のご著書、やはり今回も名

もっとみる

『学校ハラスメント 暴力・セクハラ・部活動─なぜ教育は「行き過ぎる」か 』

以前、愛知に研修講師として伺った際に、ご献本のために内田良先生の研究室にご訪問したら、逆に内田先生の最新刊『学校ハラスメント 暴力・セクハラ・部活動─なぜ教育は「行き過ぎる」か 』ご献本いただいてしまいました。
別の内田先生のご著書の『教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」』を拝読させていただいた際も思いましたが、誰かを批判するのではない、データに基づく冷静な分析は本当に素晴らしいです

もっとみる

【書評】『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』

杉原里美さん(@asahi_Sugihara )の『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』を読了しました。色々な活動の取材や、人々へのインタビューをとても分かりやすく取りまとめられています。

https://www.amazon.co.jp/%E6%8E%83%E9%99%A4%E3%81%A7%E5%BF%83%E3%81%AF%E7%A3%A8%E3%81%91%E3%82

もっとみる

【書評】グローバル・ジャーナリズム

共同通信で記者をされている澤様から頂いたご著書『グローバル・ジャーナリズムー国際スクープの舞台裏』を拝読しました。

https://www.amazon.co.jp/グローバル・ジャーナリズム――国際スクープの舞台裏-岩波新書-澤-康臣/dp/4004316537

パナマ文書をはじめ、世界に衝撃を与えた記事が取材され報道されるまでの過程は、まるで映画・小説のようで読んでいてドキドキします。今の

もっとみる

訴訟は社会課題解決の手段になるのか〜『政策形成訴訟』を読んで〜

 最近、中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団が、訴訟から最終的に自立支援の立法を勝ち取るまでを書いた『政策形成訴訟』という本を読みました。

アドボカシーの第一人者として非常に尊敬している方から「鬼澤さんもしっかり昔のことも学ばないといけない」というご指導をいただきました。そのため、今までの弁護士の活動ももっと学ぶために、弁護団活動に熱心な友人に聞いて、この本を読みはじめました。

実は、多くの弁護

もっとみる

『ミライの授業』と『君たちはどう生きるか』

瀧本哲史先生の著書『ミライの授業』を読みました。

これからの「ミライ」を作っていく、14歳の中学生を対象とした講義形式の本です。「ミライ」を変える法則を5つに分類し、過去の偉人から現在の偉人まで、日本や外国の偉人がどうやって「ミライ」を変えたのか、具体例をもって説明しています。中学生にもわかるように大変平易な言葉で書かれており、やはり本当に頭の良い人はこのような文章も書けるのだなぁと思い、思わず

もっとみる

有川浩『明日の子供たち』(文庫版)

有川浩『明日の子供たち』(幻冬舎文庫、2018)を読了しました。単行本としてはすでに2014年に出ていたようですね。恥ずかしながら知りませんでした。。。児童養護施設で働き始めた新人職員、そこの職員及び子どもたちを主人公とした物語です。

他にも児童養護施設を(も?)テーマとした小説もありましたが、あくまで主人公の人物設定としてしか描かれていませんでした。しかし、この本ではまさに「児童養護施設」が舞

もっとみる