『ミライの授業』と『君たちはどう生きるか』

瀧本哲史先生の著書『ミライの授業』を読みました。

これからの「ミライ」を作っていく、14歳の中学生を対象とした講義形式の本です。「ミライ」を変える法則を5つに分類し、過去の偉人から現在の偉人まで、日本や外国の偉人がどうやって「ミライ」を変えたのか、具体例をもって説明しています。中学生にもわかるように大変平易な言葉で書かれており、やはり本当に頭の良い人はこのような文章も書けるのだなぁと思い、思わずうなってしまいました。「ミライ」を作る具体的なエッセンスが凝縮されており、大人でも本書を読むと色々得られるものが多いのではないかと思います。

ちなみに、最後の参考文献の中に記載がありましたが、本書は、21世紀の『君たちはどう生きるか』(著・吉野源三郎、岩波新書)を目指したとのことです。『君たちはどう生きるか』は、「コペルくん」という15歳(旧制中学2年生)の主人公の体験と、コペルくんに対するおじさんからのメッセージで構成される本です。自分も大人になってから改めて読みましたが、社会科学的なものの見方が中学生の視点からわかりやすく説明されていて、本当に名著だと思います。

現代世界の様子を踏まえて、古今東西の色々な偉人から「ミライ」の作り方を学ぶことができる本書は、まさに、21世紀の『君たちはどう生きるか』としてふさわしいのではないかと思います。ただし、個人的には、中学生には、ぜひ『ミライの授業』と『君たちはどう生きるか』を両方読んでほしいと思いました。なぜなら、『君たちはどう生きるか』は、人としての価値は何か、友を裏切ってしまったときにどう考え対応すべきなのか、一歩踏み出さなければと思っていたにもかかわらずそれができなかったときの葛藤等、友人関係の中で直面する倫理的な話も多く含まれているからです。

『君たちはどう生きるか』を読んで、人としてどうあるべきなのか考え、『ミライの授業』を読んで、具体的に、自分の行動を変えていく。部活に勉強にバイトに忙しいかもしれないですが、そんな勉強ができれば素敵だと思いました。

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