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【書籍】AI時代に生き残るミドルの戦略:若手との交流が未来を切り拓くーTHE21樋口恭介氏

 The21 2024年8月号の中で、樋口恭介さんの「若手を支え、交流するマネジャーだけが生き残る」(p62)は大変参考になりました。自身もミドルマネージャーに従事していますが、若手との関係をどうしていくか、というところの課題感があるところです。


 若手との交流は、ミドル世代と若手双方にとって、AI時代に生き残り、成長するための重要な戦略です。互いの強みを活かし、協力し合うことで、個人としても組織としても、より大きな成果を達成できるでしょう。

 ミドル世代は、若手との交流を通じて、自身の価値観や考え方を見直し、新たな可能性を切り拓くことができます。一方、若手は、ミドル世代の経験や知識から学び、自身のキャリアを飛躍させることができます。AI時代を生き抜くためには、世代を超えた協力と相互理解が不可欠となります。

若手にとってのメリット

  • 思考の幅を広がる
     
    ミドル世代との交流は、若手にとって思考の幅を広げる絶好の機会です。ミドル世代は豊富な経験や知識を持っており、若手にはない視点や発想を提供することができます。
     例えば、生成AIを活用した新しいビジネスモデルのアイデアや、過去の失敗から学んだ教訓など、若手の視野を広げる貴重な情報源となります。また、ミドル世代の持つ業界の動向や人脈は、若手にとってキャリアアップのヒントになることもあります。

  • 異物的な存在としてのミドル
     
    ミドル世代と若手では、年齢や経験の差から価値観や仕事の進め方が異なることがあります。しかし、この違いこそが若手にとって刺激となり、自身の成長を促す原動力となります。
     例えば、ミドル世代の慎重な判断やリスク管理の意識は、若手の創造性やスピード感と組み合わさることで、よりバランスの取れた成果を生み出す可能性を秘めています。また、ミドル世代の経験に基づいたアドバイスは、若手が直面する課題を解決する糸口となることもあります。

ミドルにとってのメリット

  • 意識の変化
     
    若手との交流は、ミドル世代が陥りがちな「過去の成功体験」や「固定観念」にとらわれることを防ぎます。若者の柔軟な発想や新しい技術への適応力は、ミドル世代に新たな気づきや学びを与え、自己成長を促すきっかけとなります。
     例えば、若手からソーシャルメディアの活用法や最新のトレンドを学ぶことで、ミドル世代も時代の変化に対応できるようになります。また、若手との交流を通じて、自身の価値観や考え方を再認識し、新たな目標を設定するきっかけになることもあります。

  • 自己客観視
     
    若手との対話を通じて、自身の強みや弱みを客観的に把握することができます。若手からの率直な意見やフィードバックは、自身の能力や適性を再評価し、キャリアプランを見直す良い機会となります。
     例えば、若手からコミュニケーション能力の高さを評価されたミドルは、リーダーシップを発揮する新たな道が開けるかもしれません。また、若手から専門知識の不足を指摘されたミドルは、自己学習の必要性を感じ、スキルアップに励むようになるかもしれません。

  • 異物としての若者
     
    若者は、ミドル世代にとって単なる部下や後輩ではなく、新しい知識や技術、トレンドをもたらす存在です。若者との交流は、ミドル世代が常に新しい情報を吸収し、自己研鑽を続けるモチベーションとなります。
     例えば、若手からプログラミングスキルを学ぶことで、ミドル世代もAI時代に対応できる人材へと成長できるでしょう。また、若者の斬新なアイデアや発想に触れることで、ミドル世代もイノベーションを起こす意欲が湧くかもしれません。

交流の始め方

  • 小さな会話から
     
    雑談やランチ、社内イベントなど、形式ばらない場でのコミュニケーションから始めてみましょう。共通の趣味や関心事を見つけることで、より深い関係を築くきっかけになるかもしれません。
     例えば、好きなスポーツチームや映画の話で盛り上がったり、週末の過ごし方について情報交換したりすることで、互いの人柄や価値観を知る良い機会となります。

  • メンタリング
     
    若手社員のメンターとなり、キャリア開発を支援することも有効です。定期的な面談やアドバイスを通じて、若手の成長をサポートすると同時に、自身も新たな視点や知識を得ることができます。
     例えば、若手のキャリア目標を一緒に考えたり、具体的な課題解決に向けてアドバイスしたりすることで、若手との信頼関係を築き、組織全体の活性化にもつながります。

  • プロジェクトチーム
     
    若手とミドル世代が混在するプロジェクトチームを結成し、共通の目標に向かって協力することで、互いの強みを活かし、相乗効果を生み出すことができます。
     例えば、若手の柔軟な発想とミドル世代の経験を組み合わせることで、従来にはない新しいサービスや商品を開発できるかもしれません。また、プロジェクトを通じて、互いのコミュニケーションスキルや問題解決能力を高めることも期待できます。

AI時代のミドルの役割

  • AI人材を支えるマネジャー
     
    ミドル世代は、AIに関する専門知識を深めるよりも、AI人材の育成やマネジメントに注力することが重要です。若手AI人材の能力を最大限に引き出し、組織全体のAI活用を推進する役割を担うことで、企業の競争力向上に貢献できます。例えば、AI人材向けの研修プログラムを企画したり、AIプロジェクトの進捗管理を行ったりすることで、AI人材の成長を支援し、組織全体のAIリテラシー向上に貢献できます。

  • 若手との連携
     
    若手との積極的なコミュニケーションを通じて、彼らの意見やアイデアを尊重し、新しい技術や手法を積極的に取り入れることが重要です。ミドル世代の経験と若手の柔軟な発想を融合させることで、AI時代に対応した新たなビジネスモデルやサービスを生み出すことができます。
     例えば、若手から提案されたAIを活用したマーケティング戦略を、ミドル世代の経験に基づいてブラッシュアップすることで、より効果的な施策を展開できるかもしれません。

  • アンラーンと変化への適応
     
    AI技術の進化は、これまでの常識や仕事の進め方を大きく変えつつあります。ミドル世代は、過去の成功体験にとらわれず、常に新しい知識やスキルを学び続ける姿勢が求められます。変化を恐れず、柔軟に対応できる人材こそが、AI時代に生き残るための鍵となります。
     例えば、オンライン学習プラットフォームを活用してAIに関する基礎知識を習得したり、AI関連のセミナーやイベントに参加したりすることで、常に最新の情報に触れ、自己成長を続けることができます。

人事の視点から考えるミドルと若手の交流促進ーAI時代の組織活性化と人材育成戦略


 AI時代において、組織の持続的な成長を遂げるためには、ミドル世代と若手世代の積極的な交流が不可欠です。人事部門としても、戦略的な視点を持って、この交流を促進し、組織全体の活性化と人材育成に繋げるための施策を展開する必要があるでしょう。いくつか施策案を考えてみたいと思います。

1.組織活性化と人材定着:多様な視点の融合とエンゲージメント向上

 ミドル世代と若手世代の交流は、単なる情報交換の場にとどまらず、組織文化の醸成やイノベーション創出に繋がる重要な機会です。異なる世代の価値観や経験を共有することで、組織全体の多様性が向上し、新しいアイデアや解決策が生まれやすくなります。

 例えば、若手社員が持つデジタルネイティブとしての視点や、新しい技術に対する柔軟な発想は、ミドル世代の経験や知識と融合することで、より効果的なビジネス戦略やサービスを生み出す可能性を秘めています。また、ミドル世代の持つ業界の動向や人脈は、若手社員のキャリア開発に大きく貢献し、組織へのエンゲージメントを高める効果も期待できます。

 さらに、定期的な交流会やメンタリングプログラムなどを実施することで、社員同士の相互理解を深め、信頼関係を構築することができます。これにより、社員の帰属意識やモチベーションが高まり、組織全体の活性化と人材定着に繋がります。

2.スキル継承と人材育成:OJT、メンタリング、リバースメンタリングの活用

 AI時代の到来により、求められるスキルや知識は急速に変化しています。ミドル世代が持つ豊富な経験や知識を若手世代に継承し、同時に若手世代が持つ新しいスキルや情報をミドル世代に共有することで、組織全体のスキルレベル向上と人材育成を図ることができます。

 例えば、OJT(On the Job Training)を通じて、ミドル世代は若手社員に実践的なスキルやノウハウを伝授することができます。また、メンタリングプログラムでは、ミドル世代がメンターとして若手社員のキャリア 開発を支援し、若手社員はメンターから学びを得ることで、双方の成長を促します。

 さらに、リバースメンタリングを活用することで、若手世代がミドル世代にデジタルスキルや最新トレンドに関する知識を共有することができます。これにより、ミドル世代は時代の変化に対応できる能力を身につけ、組織全体の競争力向上に貢献できます。

3.交流促進のための施策:イベント開催、ツール活用、評価制度の見直し

 ミドル世代と若手世代の交流を促進するためには、人事部門としても、積極的に施策を企画・実施する必要があります。例えば、懇親会やランチ会、ワークショップなどの交流イベントを開催することで、社員同士が気軽にコミュニケーションを取れる場を提供することができます。

 また、社内SNSやチャットツールなどを活用することで、オンライン上での交流を促進することも有効です。これらのツールを活用することで、時間や場所にとらわれず、気軽に情報交換や意見交換を行うことができます。

 さらに、ミドル世代が若手との交流や育成に積極的に取り組むことを評価する制度を導入することも重要です。金銭的なインセンティブだけでなく、表彰制度やキャリアアップの機会などを設けることで、ミドル世代のモチベーションを高め、交流促進を後押しすることができます。

4.課題と対策:心理的障壁の解消、時間的制約の克服、効果測定と改善

 ミドル世代と若手世代の交流を促進する上で、いくつかの課題も存在します。例えば、世代間ギャップやコミュニケーションの難しさといった心理的な障壁、仕事の忙しさによる時間的制約などが挙げられます。

 これらの課題に対しては、研修やセミナーなどを実施して心理的な障壁を取り除いたり、フレックスタイム制やテレワークなど柔軟な働き方を導入して時間的制約を緩和したりするなどの対策が考えられます。

 また、交流促進施策の効果を測定し、定期的に見直すことも重要です。アンケート調査やヒアリングなどを通じて、社員の声を収集し、改善点を見つけ出すことで、より効果的な施策を展開することができます。

まとめ:AI時代に求められる人事の役割

 AI時代において、ミドル世代と若手世代の交流は、組織の活性化、人材育成、そして企業の競争力向上に不可欠な要素です。人事部門としても、戦略的な視点を持って、ミドルと若手の交流を促進する施策を企画・実施し、その効果を最大限に引き出すことが求められます。これらの施策を通じて、多様な視点や価値観を融合させ、組織全体の能力を高めることで、AI時代を生き抜き、成長し続ける組織を構築することができるでしょう。

ミドル世代のマネージャーと若手社員が協力して働いている職場のシーンです。オフィスは現代的で、広い窓、植物、そしてエルゴノミクスの家具が配置されています。ミドル世代のマネージャーが自身の洞察や経験を共有し、若手社員が革新的なアイデアを提供し、デジタルツールを使用している様子が見られます。小グループのディスカッション、1対1のメンタリングセッション、大きなテーブルで共同作業をするプロジェクトチームなど、多様な交流が行われており、相互の学びと成長に焦点を当てた明るくエネルギッシュな雰囲気が感じられます。


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