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言葉のスケッチ

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短編ともつかない、「小話」の投稿です。 これをまとめて「物語」を作っていきたい
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#note新エディタ

いのちの尊厳

いのちの尊厳

「ねえ、これ、絶対誰にも内緒で、。」

そう言って彼女は唐突に「1つの書類」を手渡した。

・・終末緩和ケア治療のご説明・・・

「・・え・・?」

一瞬言葉を失った。

「・・うん、そうだよ・・。」

彼女は十数年前に「乳がん」を患い、
思い切った乳房全摘手術と、抗ガン治療で
基本的にその病は克服していた。

はずだった・・。

「これって・・・。」
「うん、うけいれる。歳だしね、
もうああいう

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年寄りは「いたずら好き」

年寄りは「いたずら好き」

結末を提供する「作品」を最近書きたくなくなった。
物語の結末を、読者が期待する、あるいは裏切る。

そいつをこっちから提供したら、
かえって面白くない。

で、あえて「未完」を出す。

読者に内緒で方向性をちょっと示して
また、想像してもらう。

=あざとくやれば、この部分を「有料化する」=

これからの「小説」というのは

そういった双方向性とか、作者と読者の
「駆け引き」なんじゃないか。

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 鬼灯(ほおずき)

鬼灯(ほおずき)

「ほおずきって、漢字だと『鬼灯』って書くんだ。」

唐突に彼女がメモ帳に「鬼灯」=「ほおずき」と書いた。

そういえば、初めて知った。
「漢字にすると、なんとなくやばそうな感じがするなぁ・・。」
「うん、そうだね。鬼に灯りだものね。」

ふっと、、ハロウィンの「ジャック・オ・ランタン」を連想してしまった。

というわけではないが・・。
彼女の今日の浴衣が「ほおずきの柄」なのだ。
この話題はそのせい

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唐突に彼女は現れた

唐突に彼女は現れた

「おにいさん、なにやってるんですか?」

僕は、居酒屋料理紹介の動画を撮影して、動画配信にあげる
そんな作業をしている最中だった。
 
 まぁ、「ユーチューバー」というやつだろうか。
いつものことだが、一人で居酒屋に行っては、
店主の許可を得て、
カメラで動画を撮る。
 
 食レポの最中だった、
唐突に少しハスキーな、女性の声が、
食レポに乱入してきた。

「おにいさん、一人なの? ねえ、なにやっ

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