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復興公営住宅の高齢化顕著 健康調査にコロナの影響 社会的孤立や心の問題の悪化懸念

 東日本大震災の発生から11日で10年半となった。復興公営住宅(災害公営住宅)で暮らす人の高齢化が顕著になっており、石巻市が行った令和2年度の健康調査からは、入居者の行事への参加や体を動かす機会が減少傾向にあることが分かった。入居世帯に占める一人暮らしの割合は49.9%と、ほぼ半数。人との接触や外出を避ける新型コロナウイルス感染症の拡大で、身体活動の低下だけでなく、交流の減少による社会的な孤立や心の問題の悪化が懸念されている。

 入居者のうち65歳以上の高齢化率(3月末現在)は45.62%。市全体の33.6%に対して1.3倍となっている。健康調査は入居から1年以上過ぎた3932世帯を対象に、県と共同で昨年11月から今年2月にかけて実施。68.5%に当たる2692世帯の4295人から回答を得た。

 体調が悪いと答えた人は全体の20.9%。何らかの病気がある人は64.1%で、全体に占める割合はわずかに減ったが、高血圧の人の割合は1.7ポイント上昇した。糖尿病や呼吸器疾患も増加しており、生活習慣病や治療中断による持病の悪化が心配される。

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 心の問題は一定の指標以上だった人が7.3%。割合的には前年度から横ばいとなっている。コロナへの不安や生活の変化によるストレスが予想され、今後も心のケアが必要という。

 体を動かす機会は44.8%が減少したと回答。割合は前年度から3.3ポイント増えた。体重が増加した人も0.9ポイントの上昇が見られた。行事への参加がある人は0.8ポイント減少の38.9%。体を動かす機会が減った人は3年連続で増加し、行事への参加は3年連続で減少した。65歳以上の要介護認定者は0.7ポイント増加の17.9%となっている。

 市は同様に沿岸部の防災集団移転団地でも調査。体調が悪い人も心の問題を抱えている人も復興公営の半分未満だった。市は地域とのつながりや何らかの仕事、役割を持っていることで、比較的、心身の健康が維持できていると考えている。

 復興公営では独居だけでなく、2人だけの世帯も31.83%と多い。身近に相談相手がいない人は0.4ポイント上昇して19.8%となった。自宅にこもりがちなコロナ下では、世帯の様子が見えにくくなるため、市は今後も民生委員や関係機関と連携した見守り、支え合いの体制づくりを継続。各種相談窓口の周知を強化し、本人がSOSを出しやすくなるよう努めていく。
【熊谷利勝】


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