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「Uターン最新事情」 ①現状 震災文脈とは違う人の流れ

 日本中、どこもかしこも移住ばやりである。コロナ禍でリモートワークが広がったことも追い風となり、石巻地方には平成23年の東日本大震災以降、さまざまな人たちが移住し、まちの活性化に寄与してきた。

 一方、Uターンした人たちの活動も目覚ましいものがあった。あれから10年。ここへきて、Uターン人間が再び増えていないだろうか。震災後まもなく実家や古里の窮状を救うべく帰ってきた人たちとは違う流れが。自分自身の体験を含めて最新のUターン事情を深掘りしてみよう。

 石巻市の人口統計によると、転入と転出を比較した社会増減は15年以上マイナスが続いている。転入者は平成28年以降3千人以上をキープしているが、Iターン(移住)かUターンか分けた統計がないため、Uターンの実態は正確には把握できない。

 石巻観光協会など4者の共同事業体「コンソーシアム ハグクミ」が今年3月に発行した事業報告書によると、市内のローカルベンチャー事業者28社へのアンケートでは、全社員446人のうち21.1パーセントにあたる94人がU・Iターンだった。また、市から委託を受けた移住の相談窓口「まちのコンシェルジュ」が昨年行った震災後移住者へのアンケートでは、回答者143人のうち20.98パーセントにあたる30人がUターン。30年に開催された討論会「石巻会議2025」では「IターンよりもUターンが増えている」との声があがった。

 まちのコンシェルジュに採用されたのをきっかけに28年に東京からUターンした矢口龍太さん(38)は「コロナで一回止まってますけど、Uターン者は着実に増えてますね」と実感を明かした。そして、震災直後とは違う潮流があるという。

 「震災文脈というより、自己実現のために来るという流れは増えてますね。Iターンした人たちの面白い動きを見て、地元でも何かできるかも、と思ってUターンする人が増え、さらにIターンが増えて、またUターンする人が出てきた」

 とはいえ、仕事が決まらなければ帰る決断はなかなか難しい。矢口さんが「(自分は)タイミングが良かった」と話したのと同様、私もたまたま出た採用募集に応じて石巻日日新聞に職を得なければ、今年1月のUターンには至らなかった。両親は他界していたが、実家は残っていたので住居には困らなかった。

 ネックは就職先。だが、そんな課題を軽々と克服したUターン者がいた。


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