マガジンのカバー画像

石巻が育てた天才彫刻家たち

32
石巻市複合文化施設「マルホンまきあーとテラス」には、地元出身の彫刻家高橋英吉(1911―1942年)の作品群が展示されています。震災前の文化センターに常設展示され、人々に感動を与…
運営しているクリエイター

#郷土史

引き継がれる文化豊穣

引き継がれる文化豊穣

 私の手元に伊達政宗公騎馬像小品を3Dスキャン・プリントで複製した縮小レプリカがあります。これは第1話で紹介したギャラリー南製作所の「小室達展」で行ったクラウドファンディングのリターン(返礼品)です。その他に図録や絵葉書もありました。

 この企画は、劣化が進む石こう像を支援金で後世まで残すことが目的で、昭和15年作の「童(わらべ)」(息子の穣嗣さんがモデル)がブロンズ化され、柴田町に寄贈されまし

もっとみる
令和2年 もう一つの正輔像

令和2年 もう一つの正輔像

 私の手元に「石母田正輔翁像」(正輔像)の写真があります。住吉公園の像ではありません。

 令和2年1月、正輔の五男達(たつ)さんが、神奈川県でご存命であることが分かり、連絡すると息子の大(だい)さんが対応してくれました。

 家に石こうの正輔像があるというので、てっきり住吉公園の正輔像の原型(石こう像)だと思い説明すると「石巻の正輔像は何度も見ていますが、それとは違うものです」と返ってきました。

もっとみる
昭和28年 市制20周年記念の像

昭和28年 市制20周年記念の像

 私の目の前に昭和28年に撮影された石巻市制施行20周年記念の「石母田正輔翁像」(正輔像)除幕式後の写真があります。

 達の日記が27年11月6日の野田眞一翁像完成で終わり、写真のアルバム、新聞記事のスクラップ帳を見ても正輔像がどうなったのか分かりませんでした。

 ある時、別な資料を見ていると「石母田正輔翁」という文字板が見える見覚えのある胸像の写真が出てきました。記憶をたどると私の石巻生活が

もっとみる
昭和27年 謎が残る最後の日記

昭和27年 謎が残る最後の日記

 私の手元に昨年3月からしばたの郷土館(柴田町)で開催された「小室達生誕120年展」のリーフレットがあります。展示作品には、開催の半年ほど前に発見された6点が含まれていました。

 そのうちの木彫3作品「白拍子」、「一條一平壽像」(白石市の鎌先温泉一條旅館17代目)、「野田眞一翁像」(南郷村の篤志家)は昭和27年の代表作です。それぞれが、どのように制作されたのか日記で調べていると、6月8日に「石巻

もっとみる
昭和12年 今も残るゆかりの場所

昭和12年 今も残るゆかりの場所

 私の目の前に「鶏釜めし」があります。場所は「割烹滝川」です。

 昭和12年7月15日から石巻を訪問した達は、3日目にいろいろな場所に行きました。日記には「木村得太郎氏らと4人で小室十郎君を訪ね、宝印舗に寄った。石母田前市長を訪ね就床中故遠慮し後、毛利コレクションを見学す。三万点のコレクションあるに驚きさらにあらゆる方面の造詣深く全く斯道の学者である。この頃より雨となり此処を辞去して松泉堂支店に

もっとみる