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まつもと城下町湧水群を分けてみた (1/2)

 お城だけでなく、湧水めぐりもオススメ観光テーマです。
 過去に湧水に関する記事を書きましたので、そちらもご参考いただきつつ、今回はそんな多くの湧水を分類してみよう、という記事です。

 平成の名水百選になっている「まつもと城下町湧水群」。その数、ざっと20箇所以上あります。そのうち、水質検査がされた井戸には検査成績書が掲示してあり、飲用できます。とはいえ生水なので、一度に大量に飲むとお腹が痛くなるったりするのでご注意を。

はじめに

 何かを理解する手段の1つは、ある指標で分類してみることです。そこで、まつもと城下町湧水群も何かの指標で分類してみよう、というのが今回の趣旨で、その1回目です。

 分類指標で思い当たるのは水質ですが、水質といっても色々あるし、専門家でもありません。まつもと城下町湧水群を楽しむためにやるのですから、なんとなく分かったような気になる(笑)指標を選んでみました。

pH値

 自分が学校で習った頃は、「ペーハー」と言ってた気がしますが、今は「ピーエイチ」と言うらしいですね(歳がバレますね)。

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BTB溶液の色変化で見るpH値 埼玉大学のサイトより

 pH値は酸性/アルカリ性といった、水溶液の特性を表す指標です。pH7が中性で、7未満が酸性、7を超えるとアルカリ性となります。
 具体的には、pHは水素イオン濃度の指標で、混じりっけなしの水(純水)であれば水素イオン[H+]と水酸化物イオン[OH-]が同量含まれているのですが、水に溶けている物質によってこのバランスが偏り、[H+]が多ければ酸性(pH<7)、少なければアルカリ性(pH>7)となります。

 身近なところだと、コーラなどの炭酸水は酸性、石鹸水などはアルカリ性を示します。
 飲料水は pH5.8~8.6 と定められており、水道水はこの範囲内にあります。

 このpH値は各井戸の水質検査表に記載があるので、それを参考にします。

硬度

 硬度は水に含まれるカルシウムとマグネシウムの総量の指標です。これらが多く含まれていると硬水、少なければ軟水と言います。
 実は国によって硬度の計算基準や、硬水と軟水を分ける値に差があるので、確認する際には注意が必要です。

 今回は、WHOの飲料水水質質ガイドライン※を参考にして下記のように分けることにしました。

軟水   0~60mg/L未満
中硬水  60~120mg/L未満
硬水   120~180mg/L未満

※WHO/HSE/WSH/10.01/10/Rev/1. Hardness in Drinikng-water. 2011, p1.

 一般的に、軟水はまろやかな口当たりで料理との相性が良く、コーヒーやお茶などに適すると言われます。日本の水はほとんどが軟水や中硬水です。

 硬水はミネラル分の補給するのに向いていますが、硬度が高いものは苦味を感じる場合があります。日本ではコンビニやスーパーで売られているものくらいしか飲む機会が少ないかもしれません。

pH - 硬度分類表

 さて、本題です。
 まつもと城下町湧水群の水質表を参考に、横軸を硬度、縦軸をpH値とした図を作ってみました。

 2019年7月に実際に各湧水を訪れ、水質表に示された値を使用しました。現在では若干値が異なっているかもしれません(そもそも、夏と冬でも若干変動すると思います)。
 また水質表がない湧水は、残念ながら除外しています。

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 これによると、ほとんどの湧水がpH6.6~7.2、硬度60~100mg/L近傍にまとまっている一方、松本神社前井戸のpH値と硬度が突出して違うことがよく分かります。

 また、源地の水源井戸、源智の井戸は他の湧水に比べてやや硬度が高いです。硬度が高めだからといって、この2つの水が苦く感じるかというと決してそうではありませんし、コーヒーやお茶を作っても美味しくいただけますのでお試しください。

まとめ

 今回は、まつもと城下町湧水群の各湧水をpH値と硬度で分類してみました。簡単な分類ですが、従来の記事どおり各湧水で少しずつ違うことが見て取れました。
 これを機に、湧水の傍らに立つ水質検査表も気にして見ると面白いと思います。

 以前の記事で、まつもと城下町湧水群の水で酒やビールを作ったり、コーヒーやお茶に使われています。一概にpHと硬度だけでない、味わいの差が出るかと思いますので、色々と試してみて欲しいです。

 次回はこの表をもう少し掘り下げてみたいと思います。


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