まつもと城下町湧水群めぐり (2/4)
前回は「お掘りの水をたどる」というテーマで主にお城の東側、北東~総堀~縄手通りまでをご紹介しました。
今回は「時代とともに守られた水」をテーマにご紹介します。
参考にしている「まつもと水巡り」パンフレットは、観光情報センター等で入手できます。裏面の地図も参考になりますので、松本市へお越しの際は、ぜひお持ちください。
~ 時代とともに守られた水 ~
このルートは、松本城南東側、女鳥羽川沿いの湧水をめぐるルートになっています。
まずは縄手通りからスタートです。
縄手通り (ナワテ通り)
2015年1月撮影 縄手通り 中の橋付近
前回のゴール地点が「なわて若返りの水」でした。
この縄手通りはカエルをテーマにした商店街になっています。飲み屋さんや老舗パン屋、古道具屋さんまでいろいろなお店が軒を連ねています。
横を流れる女鳥羽川をカジカガエルが棲むような川にしようという願いから、カエルをフィーチャーしたそうですが、数年前に実際にカジカガエルが確認されたそうです。
鎮神社 (しずめじんじゃ)
女鳥羽川沿いに建つこじんまりとした神社です。
2019年8月撮影 鎮神社
由緒書きによると、松本城主だった石川数正が女鳥羽川の治水のために川の流れを変更し、川の氾濫を文字通り鎮めるために建てられたそうです。
御祭神は、罔象能売命(ミツハノメノミコト)だそうで、水神、農耕神ですね。
鯛萬の井戸
さて、ここまでテーマの湧水なしです(笑)が、やっと登場です。
ルートの裏町は、その昔は花街としてにぎやかな場所で、今でも飲み屋さんが立ち並びます。往時を感じさせる建物がちらほらありますので、散歩の際はお見逃しなく。
2019年10月撮影 鯛萬小道 写真奥の方に井戸がある
裏町から鯛萬の井戸へは、鯛萬小道と言われる細い路地を通り抜けます。ここも昭和の匂いを感じる横丁です。
抜けた先に鯛萬の井戸があります。
2019年7月撮影 鯛萬の井戸 レトロな手押しポンプも現役
1922年(大正11年)に「鯛萬」という料亭が掘られたのが始まりです。今は住宅街ですが、先程通ってきた裏町も含めてにぎやかな街だったのでしょうね。
昔は現在よりも西側(鯛萬小道側)に井戸があったそうですが、2003年(平成15年)に公園として整備した際に、現在の位置に堀り直されました。
50メートルから湧き出す水です。
槻井泉神社の湧水
鯛萬の井戸を後にしたら女鳥羽川へ出て、川沿いを歩いていきます。
清水橋を左折して少し入った先に、槻井泉神社の湧水があります。
2019年7月撮影 槻井泉神社の湧水 神社脇に大欅も
槻井泉神社は美津波廼女命(ミツハノメノミコト)、御井神(ミイノカミ)、諏訪神子神(スワミコノカミ)が祀られています。
松本市のWebサイトによると、諏訪神子神ではなく、鳴雷神(ナルイカズチノカミ)が祀られると記載してあるので、鳴雷神はその特性から諏訪の神様だと認識されているように見受けられます(逆かもしれませんが)。
清水橋からこの神社への道は、江戸時代〜近代まで山辺街道(やまべかいどう)と呼ばれる松本城下から東へ向かうメインストリートでした。
また、この神社も創建不明ですが、平安時代の「三代実録」に記録があるなど、歴史ある地域といえます。
このあたりは清水という地籍で、この湧水からそう呼ばれるようです。
脇に立つ大欅(おおけやき)は高さ20mあり、市の特別天然記念物になっています。
木陰と清浄な雰囲気に、歩いてきた疲れも癒やされると思います。
女鳥羽の泉
今回のフィナーレは、以前も触れた女鳥羽の泉です。
2019年6月撮影 女鳥羽の泉
女鳥羽川のすぐ北側にある善哉酒造の敷地に湧く水で、誰でも利用できるようにしてもらっています。地下30m程から自噴しているとのこと。
この湧水で醸される日本酒も、ぜひ試してもらいたいです。
まとめ
今回は時代とともに守られた水というテーマでご紹介しました。
歩く距離に比べて取り上げた湧水が少ないのですが、テーマの通り、歩くルートには時代を感じさせる道や建物がたくさんあります。
湧水を中心に取り上げたかったので、今回はこういった歴史的な背景を省略しましたが、今後、別途記事を書いて補おうと思っていますので、次回以降もお楽しみに。
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