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広報の仕事は「問題発見・問題解決」【研究機関の広報ひとりごと③】

お久しぶりです、みねこです。

だいぶ間が空いてしまいましたが、前回の記事の続きを公開しておきたいと思います。

広報とは何か。

一番始めに、教科書的な定義として教えられるのは、「経営層の理念を、あらゆるステークホルダーに伝えること、ステークホルダーの声を経営層に届けること」的なものだと思います。

ただ、私は、広報担当者として仕事をすればするほど、広報は企業や組織のお知らせを広く皆にお知らせすることだけではなく、組織の課題を発見し、それを解決することも含めて仕事なのだ、と思うようになりました。

私たちが日々周りから求められることって、大半が情報発信やメディア対応(メディアとの関係構築)だと思います。
もちろん、それらも大切。自分たちの組織の成果、商品、イベントなどのお知らせを世に出していくことは、広報担当者が日々対応していくべきメインの業務です。

だけど、肝心なのはそのあと。
ニュースを広くお知らせした結果、社会からどんな反応が得られたのか(あるいは、内部にどんな変化があったのか)を把握することが、広報のお仕事のスタート地点だと私は感じています。

広報担当者は、組織の内部の声も、外部の声も拾える場所にいます。

広報担当者が果たすべき役割は、内部の声、外部の声の双方に耳を傾けること。そして、双方の間にあるギャップ(組織の課題)を見つけ、そのすき間を埋めていくこと。

色々な人が、色々な思いを持って仕事をしている組織のなかでは、取り組むべき課題の背後にたくさんのものが複雑に絡み合っていて、解決策を見出すことも難しく、なかなか前に進まないことばかり。

だからこそ、広報の仕事には忍耐が求められます。すぐに目に見える分かりやすい成果に結びつかないかもしれません。
だけど私は、それが広報の仕事の醍醐味でもあると思っています。


「情報発信」そのものは、手段でしかない。

そして、誰もが発信できるようになった時代において、成果や商品を売ることだけではなく「何のために」という理念をいかに伝えるか、その重要性はさらに高まっているように感じます。

時には「とりあえず何でも出す」みたいな状況を目にすることがありますが、こんな情報過多の時代において、それらは本当に届けたい相手に届いているのだろうか。

誰に、何を、どうやって届けるのか、何のために届けるのかを、もっと丁寧に考えるべきではないかと思うのです。


研究機関が社会の声に耳を傾けるということ。

普段私たちが目にするニュースなどの情報だけでは、世界で起きている問題や発展途上国・新興国の情勢について、きちんと理解するのが難しいときがあります。

様々な国際問題について、専門家(研究者)がどう見ているのか、科学的に裏づけされた知見や視座を提供することが、私たち研究機関の使命の1つ。

メディアでの報道や、うちに来る取材や問い合わせの内容、SNSでの言論などを見て、世間がどういうところを疑問に思っているのか、解説を補うべき部分があるのかを把握する。
それをふまえて研究者とすり合わせをしながら、解説記事やコンテンツを提案していくことも、私の大事な仕事の1つです。

例えば、こちらは、弊所のウェブマガジン。内部の研究者・職員によって構成される編集委員会で運営しています。

内部執筆者からの提案や寄稿によって世に出る記事もありますが、編集委員で時宜にかなった記事や企画を仕込むこともあります。


私たちが、こんな研究に取り組んでいます、こんな研究成果が出ましたと紹介していくだけになるのは、きわめて一方的なことであって。

学術的な意義やそのテーマの重要性は、私たちなら分かるけれど、なるべく、それをそのまま社会に押しつけてしまうことのないように。
少しでも多くの研究を、社会の「なぜ?」に繋げていけるように。

研究の世界と社会の双方の声に耳を傾けながら、両者の間の橋渡し役として広報のしごとに取り組んでいます。


※本記事に書かれていること、このnoteで発信していることは、全て個人の見解に基づくものです。いずれも所属機関の公式見解とは関係ありませんので、どうかご了承ください。


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