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トピックス(日本)

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2021年1月の記事一覧

パステルカラーの恋 6

1話から読む 5話に戻る  有沢飯店でわたしが倒れてしまったのは睡眠不足と暑さのせいで目眩を引き起こした事が原因だと思う。ワンピースのベルトを少しきつめに締めていたのもあまり良くなかったみたいだ。あやうく救急車を呼ばれ搬送されてしまうところをすんでの所で堪えた。咄嗟に病院送りを拒否してしまった理由は、心と体の性の不一致を第三者に暴かれてしまうのを怖れたからかも知れない。事態を大袈裟にしたくないという心理が働き、周囲の人達に迷惑をかけた。お恥ずかしい限りだ。有沢飯店の方

パステルカラーの恋 5

1話から読む 4話に戻る  朝、目覚めると美和からメールが届いていた。中身を開いてその文言にドキリとした。ジュリアが私とのツーショット写真を撮った時、まさかその先の事まで頭が回らなかった。たかが記念写真の一枚のつもり、その時のノリではしゃいでしまった。  仕事で急遽、東京に出張した事、ツイッターでそれを呟いてジュリアから食事の誘いを受けて待ち合わせをした。それらを美和に言ってなかったのは何も隠しだてしようとした訳ではない。仕事の話はあまりこれまでして来なかったし、ジュ

パステルカラーの恋 4

1話から読む 3話に戻る  電車のドアが閉まる瞬間、わたしは思わず「さくら!」と叫んでいた。車内にチラホラと他の乗客がいたにも関わらずに。さくらは動き始めた電車を追い掛けホームの端まで走って来たが、行方を遮られて立ち止まった。次第に小さくなってしまうさくらの姿を見詰めてわたしは涙が頬を伝わるのを感じていた。  今のわたしはさくらを中心に世界が回っている。朝起きてはさくらを想い、仕事をしていても、ご飯を食べても、街を歩く時、テレビを観て、部屋で一人音楽を聴いていても、常に心

パステルカラーの恋 3

1話から読む   2話に戻る  二度目のデートはK駅での待ち合わせになった、この場所は丁度私の家と美和の街との中間地点にあり、私は車、美和は電車でやって来る。どちらか一方に負担を掛けてしまう交際はお互いにとってあまり良くないのではないか、という判断である。もちろんそれはこれを基本にという事で、たまには私が美和の街に出向く事もあるだろうし、逆に美和が私の街に来るというケースもある。あるいは別の場所にしようかと、そんな場合もある。月に一度は会おうという事が当面の二人の約束事だ。

パステルカラーの恋 2

「パス恋」①↓ https://note.com/sakiueno/n/nc6ce0c52371d  わたしがそもそも自分自身の心に違和感を覚えたのは小学校へ入学した当初に遡る。それまで仲良く一緒に遊んでいたお隣のミコちゃんや近所のユウコちゃん達は小学校に上がると可愛いお揃いのピンクのランドセルを背負った。髪にはリボンの飾りまで着けていて、いいなあと思った。わたしはと言えば黒のランドセル、髪は短く耳上と後頭部を刈り上げられ、前髪は眉の上2cmの辺りで真っ直ぐ揃えたお坊っちゃ

パステルカラーの恋 1

 この物語は一般男性と女性装者として生きる事を決意したトランスジェンダーとの恋物語である。  私の名は香山桜という。女性っぽい名前だけれど普通の男であることに間違いはない。私はこれまでごく普通に生きて来て、初恋も同級生の女子だったし、その後に付き合った相手もそれぞれ皆、普通の女性だった。しかし私の恋愛はどれも長続きせず、あまり社交的と言えない私は女性から言わせれば、見た目は悪くないと思うが面白みに欠けるという。つまり容姿に釣られて付き合ってみたものの案外つまらない男だったと

1000人の話

住野よるですー。 noteのフォロワーさんが1000人! 1000人!! 皆さまありがとうございます。 1000人以上の方がこんな取り止めのない話をしてる場所を見てくださってるなんて、ありがたい限りです。 調べたら、1000人キャパのライブハウスは東京の恵比寿リキッドルームや、名古屋のダイヤモンドホールだそうです!大きい! 特に1000人こえたからといってなにがあるわけでもありませんが笑 ゆるくやっていきましょう( ͡° ͜ʖ ͡°) ここんとこしばらくはコメ

2030年 10年ひと未来【2030年】

テレビをつけると、選挙速報を伝えるアナウンサーの顔と名前に見覚えがある。中学の時の同級生だった。些細なきっかけで時は中学生の頃の自分に遡る。蘇る記憶。中3の今頃、両親の意見で希望していたのとは全く違う学校を受験することになる。あの時自分で道を選んでいたら今は何をして生きているんだろう。 ぼんやりと昔を振り返り、ハッと我に返る。堂々と原稿を読んでいる彼はあの時から夢に向かって進んでいたんだろうか。そして夢をつかんで今この場にいるんだろうか。少し白髪の混じった髪と皴の出始めた顔

【1週間日記Vol.64】 文芸部『ふみのわ』/東京は空が狭い/少しずつ手放した1ヶ月

毎週日曜日にお届けする「1週間日記」。 どんな1週間だったのか、振り返りましょう。(先週はこちらから↓) 文芸部『ふみのわ』の活動がスタートしました 先日noteでもご紹介した通り、文芸部『ふみのわ』の活動がスタートしました! 『ふみのわ』は、創作が好きなメンバーたちが集まり、「自由に、ただただ楽しく創作をする部活。定期的に出される課題に各々が取り組みます。 ※ちなみに、今回のお題は、「黄色」「鞄」「さみしい」です。この3つのキーワードを入れた創作作品をそれぞれが作る

誰かのために記事を書けること。/クラウドカレッジ「WEBライターコース」メンター日記 ♯3【クラウドワークスnote】

先日書いたnote、「Googleスプレッドシートに入力した文字が消えてしまった時の復元方法とは?」 を読んで「助かった!」という声を、いただきました!直接、うれしい声をもらえて、自分の記事が誰かの役にたった瞬間を知れて、「書いて良かった」と心から思えました。「スキ」してくださった方、読んでくださった方も、ありがとうございました! この記事は、私がメンターをしている「クラウドカレッジ」の「ライタープログラム」の課題シートをGoogleスプレッドシートで管理していることから

スバルに乗りたいと君が言うから

冬晴れ、という言葉があるかどうかは知らないけれど、雪の残る真冬の晴天は信州の魅力の一つだと自信を持って言える。 放射冷却といって晴天時は地表の空気が逃げるから冷え込みも厳しく、雪景色にキラキラと反射する太陽の光は美しさとともに残酷さも伴って、それはもう最高に輝く。 期限が1月末までのイタリアンレストランのクーポン券を口実に、食事に誘った彼女とのドライブデート。 愛車を溺愛しているその友人は車内泊セットも常備するほどの弾丸系遠出好きで、「どうせならあそこにもここにも行って」

息子

息子はとにかくよく動く子だった。そして転び、けがをし、服を破く。で、また走る。 子育てには動体視力も必要なんだと、わたしは息子を追いかけながら思った。 あっという間に視界から消える。 公園で遊ぶときは必ず派手な色の服を着せるようにしていた。 紐をつけておこうかと本気で思ったという話を夫の叔母にすると、 「私、昔、柱に紐でつながれてたよ」 と笑いながら言った。叔母は4人兄弟の3人目だった。 「だって、しょうがないもん、ママさん大変だっただろうし」 親が嫌だろうなと思っても、子供

ちょっとした振り返り。考えを練りすぎるより動き出したい

1月31日。もう1月が今日で最終日だなんて、信じられる? 今年に入ってもう1ヶ月が経ってしまうなんて、どのように月日の流れを感じたら良いのだろう。 振り返ってみると瞬く間に時が過ぎていたことに気が付く。 行動に移すときさすが「風の時代」。 なんて、流行りに乗っかるみたいで使うつもりはなかった言葉だけど、そうとしか説明のつかない世の中の流れや動きを肌で感じる。 わたし自身のことを考えても、今年に入ってからファッションコンサルティングをスタートしたし、それとは別で動き出したい

ファッションご試着日記

昨年夏の終わりから、私はファッションを考え直す事になって、あれこれやっているわけです。 まずは、大量に着ていない服を捨てた。 そして新しい服を探し始めた。 気軽にお高いブランドも試着する元年2021何かと本店・旗艦店で買いたがる私ですが、新型ウイルスの影響もあってか店頭の形がちょっとピリピリしている気がする。 とはいえ。ハイブランド系もユニクロや無印と同じように見て回らなくてはいけないという事に気が付いてから、ちょっと勇気を出して気軽に見に行くようにした。 なんとなく街

有料
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