つづき

言葉を紡ぐことは人生を紡ぐこと。波紋のように風紋のように、ぜんぶ過ぎ去ったあとに残るものは言葉だけなのかもしれない。 小さなエッセイや小説など。 2023.1.15文学フリマ京都に出店予定 ツイッターはこちら→https://twitter.com/masa22bluemoon

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    • 小説(短編小説)

      短編小説を集めました。 800字から2000字程度です。

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    交差点(短編小説)

    ベージュのマフラーを巻きなおしながら、幸子は待ち合わせ場所を変えればよかったと首をすくめた。風が思ったより冷たい。待ち合わせの時間までまだ少しある。さっき駅のトイレで確認したところだったが、もう一度、カバンから手鏡を取り出し、口元をチェックする。 40をすぎた女には明るすぎる口紅だった。男に殴られて切れた口の端を隠すにはこれくらいでないといけない。離婚する前から関係のあった男は、近ごろになって暴力を振るうようになった。 もうすぐ中学三年生になる娘と会うのは一年ぶりだ。離婚のと

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      • 文フリ京都、進捗状況など

        結局、2500字程度の短編ばかり、いくつか出来上がった。 あとは前に書いた童話を2つ。別にしようかと悩んだけれど、それぞれ5000字程度なので、全部1冊にまとめてしまう予定。 短編をいくつか書くというのは初めての経験で(ごく短いけれど)、それはそれで楽しいなと思った。 わたしは季節の中に人を置くのが好きなので、季節を追って書いてみた。 しかし。 推敲しても推敲しても、何かしら出てくる。 こいつ、生きてるよな、と思う。 もういいだろうと思っても、必ず何かしら見つかる。 もういい

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        • 土俵の上で

          決してメンタルが強いほうではない。もしかするとお豆腐レベルかもしれない。 昔から小さなことが気になる性格で、最悪のケースを想定して勝手に落ち込んだり、想定からもれてしまった最悪のケースに遭遇してどっぷり落ち込んだりした。 でも、人前では泣かなかった。家族にも隠した。 学校で泣いたことはないし、職場でも泣かなかった(更衣室で泣いたことはあるし、帰りの車を運転しながら泣いたこともあるけど)。 今までの人生で2回だけ、人目もはばからず泣いたことがある。 1度は高校2年生のころ、フル

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          • 小説は?書けない。

            たしか太宰の短編集に小説が書けないときの話があったような気がして、ぱらぱらめくってみた。気のせいだったのか見つからなかったけど、こんなセリフがあった。 「小説は?」 「書けない。」 新聞に谷崎潤一郎は遅筆だったというコラムがあり、彼はそのせいで万年筆ではなく筆を好んだと書かれていた。 墨を磨ったりする時間は必要だと言う。 じゃあ、わたしもパソコンではなくて万年筆で、とは思えない。遅くても書けるなら全然問題ないと思うけど、とひねくれてしまう。 新聞の続きを読んで、洗濯をして、

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            ブナ林に恋をする②

            前回参加した妹のプロジェクト、次も参加しようと決めていた。 天気予報をときどきチェックしていて、週末が晴れだと知った。 けれど、急に雨が降ったらショックだから、あまり期待しないでおこうと弾む心を何となく抑えつつも、心待ちにしていた。 紅葉がどんどん進んできている。ブナ林の秋をどうしても見たかった。 買ったばかりのトレッキングシューズを履き、ダウンコートを着て(今回はフードのファーの部分だけ取り外しておいた)、集合場所へ向かう。 今回は一番下の妹夫婦も来ていた。ということで、珍

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            ブナ林に恋をする①

            ブナの原生林へ行ったのは、先月のことだった。妹のプロジェクトに参加するため、冬物のダウンを着てジーンズをはき、靴は実家で借りて、リュックに水筒を放り込んで車を走らせた。 ウインドブレーカー、トレッキングシューズのような登山用品は全く持っていなくて、もちろんわたし一人、恰好は浮いていた。 いくら山が寒いといっても、まだ秋なのにファーのついた冬物のダウンはなぁと思いながらも、これが持っている中で一番温かそうだったので仕方がない。 わたしは山育ちなので、わざわざ山登りかぁと思ってい

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            じょんがら節

            夫の実家に帰ったとき、義父が、 「ちょっと、みてみ」 とテレビをつけた。ユーチューブで検索をかける義父。 『ましろのおと』とタイトルが出てくる。おぉ、アニメか。最近、義父はアニメにハマっているとは聞いていた。 息子も夫もずっとアニメを見ている。よくもまぁそんなに途切れずにアニメを見続けられるもんだと思うけれど、どんどん新しいものが始まるので世の中うまいことできているなと思う。 「これ、三味線のやつやねん」 「へぇ」 1話をみて、津軽弁いいなぁと思った。もちろん三味線もいい。め

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            母の手(短編小説)

            実家に到着し、玄関のドアを開けるとピアノの音が聞こえてきた。靴を脱ぎながら耳を澄ませる。どうやら母がショパンのワルツを弾いているらしかった。音を立てないようにピアノのある洋室に向かい、ドアの前で曲が終わるのを待つ。最後の音が消えてから、わたしはドアをゆっくり開ける。 「ただいま」 母は顔を上げ、わたしを見る。 「あぁ、お帰り。来てたの」 「すごいね、まだ弾けるんだ」 「そうなの、自分でもびっくりするけど」 母は嬉しそうな表情でもう一度、鍵盤に手を落とす。わたしはピアノの側にあ

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            歌った話

            10月に人生初の弾き語りをしたのだと友人に話した。久しぶりの電話だった。 「えー、動画送って、送って!絶対やで」 まぁいっか、と思い、電話を切った後、LINEに送ってみた。すぐに返事がきた。 〈なんか、すごいな、びっくり。違う人みたいで照れる〉 照れる、は何となくわかる気がした。わたしも自分で聴いていて照れる。 まさか人前で歌う日があろうとは。わたしが一番驚いていると思う。 わたしの声はお世辞にもいい声ではないし、歌声も細い。地声はコントロールが難しくて、音程も不安定になりが

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            文学フリマへ向けて

            出店を決めたものの、まずは書かなくてはと思うのだけれど、どのくらいの量を書けばいいのか、どんなものを書けばいいのか、わからない。 あれこれ考えたあげく、わたしはちょっとだけパニックになってしまった。 最近になって、ようやく「書けるものを精一杯書くしかない」というごく当たり前のことに気が付いて、少しずつ書いていこうと執筆を始めた。 今までに書いたものもあるけれど、どうしても手直しをしたくなり、そうするとまた悩む・・・ということになる。でもこちらも少しずつ手を入れて、仕上げたいな

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            とつぜんクリエイター名を変えましたが、それ以外は何も変わりませんので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 自分でも慣れません・・・・。

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            灯油を入れに

            去年の日記を見ていたら、ちょうど一年前の今日に灯油を入れにいっていたらしい。この前までこんな暑さで本当に年末が来るのかと思っていたけれど、ちゃんと季節は帳尻を合わせてくるのだからすごい。 朝、寒い寒いという息子に、 「寒ければ動けばいい」 とわたしは勝ち誇ったように言った。 「夏は動くと汗が出るから嫌やけど、冬はいくらでも動ける。動いたらあったかくなるで」 息子は聞いていないふりをすると決めたらしい。動かずに温まりたいようだ。まぁ、そりゃそうか。 「今日、灯油入れにいくわ。フ

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            セーフだったと思うことにする

            (虫の嫌いな方はみないほうがいいような表現があります、ご注意ください。お食事中の方もご注意ください) 義母から電動のこぎりを借りた。いい加減、買おうかどうか悩んでいたところ、義母が持っているというのでお願いして借りたのだった。 ずっと放置していた木材を切って捨てる、ということをしたかったのに、なかなかできずにいた。 10年以上前に作ったキッチンカウンターが壊れ、分解して裏の物置の横に立てかけておいた。だんだん木が傷んできていて、何とかしなければとずっと気になっていたところで

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            オレンジ色のてつがく

            がんばっているのに結果が出なかったり、空回りしてるなと感じるようなとき、明日は今日とは違う日になるかもしれないのに、永久にこんな日が続くかのように錯覚してしまう。 わたし、あと30年、40年、このまま生きていくのか……遠い目になったりするけれど、人はそんなふうに考えてしまう生き物らしい。 心配しなくてもこのままでいられるわけがないし、良くも悪くも変化はつきものだから、こんなに真面目に絶望する必要もないのはわかっているんだけど。 前に向田邦子さんのエッセイを読んで、感じたことが

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            ゴミの気持ち

            物欲には波があると思っている。ここ最近、前ほど強く欲しいと思わなくなった。 欲しいものはもちろんあるけれど、目を捉えなくなった、という感じに近いかもしれない。 見てもあまり強く惹かれない。今、収入がないのでそう思うのかもしれない。あったらあったでそれに比例して物欲も出てくるのかもしれないと思ったりもするけれど。 目が異常に疲れているようで、たくさんのものが目に入るとしんどいなと感じるようになった。 椎名誠さんの『遺言未満、』を読んだ影響もあるかもしれない。 残すことばかりがい

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            形にしていく

            文学フリマに出してみたいなと思ったのは、去年の末ぐらいだったと思う。 ときどき、形に残しておきたいという衝動に駆られることがあって、理由はわからないけれどそんな時期だったのだと思う。 妹と出店したいと思い、春ごろに話を持ち掛けた。妹もエッセイや写真を溜めていて、いつか形にしたいとずっと言っていたから、おぉやろうということになった。 先日、やっと申し込みのタイミングが来て妹にLINEをしたら、秋は忙しいから書いてる時間がないかも、と歯切れの悪い返事だった。 そうなる予想はしてい

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