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急ではない泊まり

今回は、計画的に妹の住む山へ。子どもたちも連れて一泊二日の予定だった。普段、ユーチューブやスマホにまみれている子どもらに、とにかく一回日常から離れてもらおうと思い計画したのだった。
たまたまだったのかもしれないけれど、かなり涼しかった。朝は半袖では寒いくらいで、クーラーはないけど扇風機だって一度もつけなかった。
子どもらは宿題を、わたしは万年筆1本と旅に行くとき用のノートだけ持参して、日記を書いた。

ーー善悪で考えると答えはきっと出ない。それは円錐を横からみたときは三角になるし、上からみると円に見えるのに似ている。見る角度によって変わるものだと思うから。
でも違和感や息苦しさ、体の反応は正直だ。心地いいか、そうでないか。
風の通る部屋でそんなことを考える。

前のページは去年、宮古島に行ったときのものだった。航空券の控えやメモがたくさん貼ってある。
次に旅に行けるのはいつになるだろう。
バイトがクビ寸前で見通しが立たないのでしばらく無理だろうけども。
こんな歳になって社会に差し出せるものがひとつもないという情けなさ。

夏は爪が伸びるのが早いとどこかで読んだ。爪を伸ばすのが嫌なので爪ばかり切っている。生きている、と思う。でも別にほっとするわけではない。
時間が過ぎているのだなと思うだけ。
過ぎたぶんだけ、言葉がほしい。誰にわかってもらえなくてもいいので。
自分をなぐさめるためだけにでも、あればいいのにと思ったりする。
蝉の声ですら、やさしみを持って聞こえてくる。

何を書いても暗いな。うん。

#エッセイ #山 #古民家

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