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81.社会の課題 ~ふりかえり

日本のGDP(国内総生産)は、長い間、アメリカと中国に次ぐ第3位でしたが、内閣府が発表した2023年の国内総生産の速報値でドイツに抜かれて4位になり、円安がこのまま続けば、2025年にも5位のインドに抜かれるようです。

それでも5位ですからね…。

国民目線からするともっと厳しい状況に立たされているのではないか…と感じている人もいるのではないでしょうか。

まぁ、今の政府とか見てると政治をやっている場合ではなさそうですし、我が身を守ることで精一杯のように見えるので、現政府とは別に日本の国内のことにちゃんと向き合えるような…ちゃんと政治を行える組織があった方が良いのかもしれません。

そんな日本ですが、様々な社会課題を抱えています。

それも、その多くが福祉に纏わる課題です。

社会課題を解決するには、“どんな問題が起きているのか”…を知ることが重要になってきます。

これまで『ふくしのおべんきょう』では80項目のお勉強をしてきましたが、2024年最初のお勉強なので、簡単に ふりかえり をしてみます。

社会課題は、社会の中のいろいろなところで見られる格差や不平等、矛盾などが原因になって発生します。

SDGs(持続可能な開発目標)なんかは、そんな社会課題がなければ、わざわざ採択される必要なんてありません。

人が地球上で生活をすると…それも集団行動を取るようになると社会課題は雑草のように根強く誕生し、そして浸透してまた別の課題へと派生していきます。

SDGsがあることで社会課題に注目が集まりますが、逆に言うとその社会課題がなければSDGsは必要ないということです。

社会課題について考えた時に、気候変動、異常気象、少子高齢社会、貧困の問題、所得格差などたくさん出てきます。

日本の人口は2008年から減少に転じていて、どんどん勢いを増しています。

人口のバランスが崩れることで、様々な社会課題が見えてきました。

まずは少子高齢化ですが、出生率の低下による少子化と高齢者の割合が高まる高齢化が、並行して進行している状態のことを言います。

一般的に、人口に占める65歳以上の高齢者の割合が7%を超えた社会を“高齢化社会”、14%を超えると“高齢社会”、21%を超えると“超高齢社会”と呼びます。

日本の高齢化率は30%の目の前まで来てるので、日本は“超高齢社会”です。

少子高齢化が進むとどうなるか…。

労働力の低下、社会保障費の不足、病院や介護施設の不足など様々な問題が起こります。

これらの問題を解決する為に、子育て支援を拡充したり、高齢者雇用を増やしたりといった対策が取られている訳です。

少子高齢化と関連する社会課題に人口減少があります。

2021年の時点で日本の総人口は1億2522万人で、2020年の人口が1億2573万人だったので、1年で51万人も人口が減少したことになります。

2024年の1月の段階で1億2409万人となっているので、どんどん減っています。

人口が減少することで問題になるのが、労働力の低下や経済規模の縮小です。

高齢化が進んで医療や介護に携わる人がどんどん必要になるのに、その担い手が減って足りなくなっています。

そして国内の経済規模が縮小すると海外からの投資が少なくなり、経済成長に影響を及ぼします。

人口減少の要因の1つとされているのが、日本で進んでいる未婚化又は晩婚化です。

2020年の男性の未婚率は34.6%、女性の未婚率は24.8%で、2015年の調査と比べて男女ともに割合は高くなっています。

昭和の時代の平均婚姻年齢が20代中頃だったのに対して、2009年には夫婦ともに30歳を超えました。

未婚や晩婚が多くなれば、その分だけ子どもを産む機会が減ることになります。

子どもは未来の日本社会の担い手ですから、子どもの数が減ることは人口減少や労働力不足に直結する問題となります。

大都市に人口が集中している日本では、地域ごとに様々な格差が生じています。

人口減少が進む日本では、各地で空き家が増加しています。

2018年の総務省統計局の調査によれば、空き家数は848万9千戸であり過去最多になっています。

全国の住宅の13.6%を占めています。

1983年の空き家の総数が448万戸だったので、その頃より2倍近く増えたことになります。

管理されていない空き家が増えると、防災(倒壊や火災の危険)や防犯(不法侵入)、衛生(ごみの不法投棄)などに関する問題が生じます。

取り壊すにしても費用がかかるので、不要になった空き家や管理できない空き家の解体が進んでいないのが現状です。

買い物難民の問題もあります。

“買い物弱者”とも呼ばれていて、食品や日用品などの買い物をすることが困難な状況に置かれている人を指す言葉です。

農林水産省の調査では…2015年の食料品アクセス困難人口は約825万人と推計されていて、2005年の約678万人、2010年の約733万人と比較しても、年々増加していることがわかります。

買い物難民となってしまう理由として、自動車やバスなどの交通手段がない、大型スーパーの出店により近所の商店が閉店したといったことが挙げられます。

買い物難民が増えると、遠くの店まで買い物に行くことによる事故のリスクの増加、高齢者の外出頻度が下がることによる健康への悪影響といった問題が起こります。

社会を存続する為に必要とされる基本的な施設のことを社会インフラと言います。

具体的には、道路や鉄道、上下水道やダムなどが挙げられます。

現在の日本社会を支えているインフラの中には、1964年の東京オリンピックに合わせて建設されたものが多く、50年以上の時間が経過していることから老朽化しています。

国土交通省によると、日本の道路橋については2023年には約43%、2033年には約67%が建設後50年を経過するとされています。

老朽化した社会インフラは事故に繋がりやすく、既に中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故のような事例も起きています。

補修や修繕が必要になります。

とにかく少子高齢化が急速に進む日本です。

上記のようにその弊害が様々な形で出てきています。

上記の課題はほんの1部です。

そんな日本社会では福祉が重要な要素になります。

福祉の意味を辞書で調べると、“幸せ”、“豊さ”などがあります。

より良く生きる…という感じでしょうか。

金融広報中央委員会の「社会保障制度」によると、“社会福祉”は“障がい者、母子家庭など社会生活を送る上で様々なハンディキャップを負っている人々が、そのハンディキャップを克服して安心して社会生活を営めるよう、公的な支援を行う制度” のこととされています。

日本国憲法の第25条に生存権がありますが、それは “健康で文化的な最低限度の生活を営む権利”のことです。

日本国憲法第25条によって全ての国民に保障されていると同時に、これを保障するのは国の責務だと書かれています。

このように全ての国民は生存権を保障されていて、ハンディキャップを抱えた人の自立した日常生活をサポートする為に“社会福祉”が必要となります。

社会福祉と社会保障は少し違う立ち位置にあります。

社会保障は、生きる上で生じる様々なリスクに対して社会全体で備える為の仕組です。

社会保険、公的扶助、社会福祉、そして公衆衛生から成り立っています。

社会福祉は社会保障の4つの柱のうちの1つです。

更に、対象者の状況、状態、年齢などによって、高齢者福祉、障がい者福祉、児童福祉、母子・寡婦福祉の4領域に分かれます。

今の日本はどちらかと言うと、高齢者福祉に重点を置いてしまっているのかな…とここ20年ぐらいはずっと感じています。

その高齢者福祉は1963年に制定された老人福祉法と2000年に導入された介護保険制度を中心とした法律や制度に基づいて、高齢者の心身の健康の保持や生活の安定をサポートする為に発展してきました。

サポートの手段としては、高齢者を対象とした在宅での支援や福祉施設での支援、地域包括ケアシステムなどがあります。

今話題の地域包括ケアシステムは、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供されるシステムのことです。

何度も言いますが、現在の日本は少子高齢化が進んでいて、今後はますます勢いを増して突き進みます。

2025年問題も既に始まっています。

若い世代の人口や出生率が減少しているのに対して、75歳以上の後期高齢者が国民の4人に1人という超高齢化社会を迎えます。

続きは「社会の課題 ~福祉編」にて…失礼いたします。


写真はいつの日か…芦別市の三段滝を撮影したものです。

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