79.公共交通機関の優先席の事
日本の公共交通機関では日々、椅子取りゲームが繰り広げられています。
順番に並んで待っていっても、いざ車両が目の前に来ると、順番など関係なく我先にと猛進する人が大勢います。
私は多くの国を見たわけではないので何とも言えませんが、これは、かなりインパクトがある日本特有の文化だと思います。
そういう国ですから、日本の公共交通機関には優先席が設置されています。
多くの人は電車やバス、地下鉄といった公共交通機関を利用する時に、座席に座ることで体への負担が軽減します。
空いている席が優先席の場合はどうでしょうか…。
座って良いのか迷う人も多いようです。
そんな人には朗報です。
運賃は同じだけ払っているわけですから、座っても問題ありません。
優先席はほとんどの場合、“ご高齢の方、お身体の不自由な方、内部障がいのある方、乳幼児をお連れの方、妊娠している方に席をお譲りください”と案内されています。
外見からは分かりにくい内部障がいのある方が着けているヘルプマークや、妊婦さんが着けているマタニティマークを覚えておくと、必要な方に席をお譲りする時に役立ちます。
このように、以前の“シルバーシート”から“優先席”に名称変更することで、妊娠中の女性や小さい子ども連れの人など…利用者の対象を広げることになりました。
優先席は利用者同士の“ゆずり合い”の精神を高めるなどの心のバリアフリー化の一端を担う取組として期待されています。
座席が空いている時は、優先席以外に座る人が多いはずです。
座席に余裕があるので、あえて優先席を使わなくても良いからです。
満席状態では、空席を探しているうちに優先席も目に入り、空いていたら座る人が出てきます。
実際、満員電車の中で優先席だけが空いていると、車内の混雑に拍車をかけてしまうかもしれません。
“優先席”は“専用席”ではないので、健康な人が座っても問題ありません。
“指定席”のように別途料金が発生しないので、正規の運賃を払っている限り優先席に座っても問題ないということです。
むしろ、優先席からの立ち退きを無理強いすると強要罪(刑法第223条)になる恐れがあります。
優先席に座っている人に譲ってほしいと頼む時や、第三者が声掛けする時は注意が必要です。
健康な人が優先席を利用しても大丈夫とは言っても、優先席を望む人がいれば、いつでも譲れるような心構えが必要です。
中には譲られて困惑する人がいます。
高齢者扱いされて憤慨したり、妊娠中と間違われたりする…といったこともあります。
自分が勧めた優先席を断られたとしても、相手に着席を強要しないようにする必要があります。
内臓疾患など…外からはわかりにくい病気や障がいを持っている人もいます。
しかし、席を譲ってほしくても自分からは言い出しにくい人もいると思います。
その為、電車の優先席を利用する時は周囲の人を思いやる気持ちを持つと同時に、断られても落ち込まないことが重要です。
このように、優先席は席に余裕がある場合は健康な人が利用しても差し支えありません。
ただし、電車の優先席に座る時は、常に周囲の状況を確認することが大切です。
その上で優先席が必要な人がいたら譲る気持ちを持つことが求められます。
優先席は上記した通り、お年寄りや障がいのある方、妊娠をされている方などに対して、優先的に譲りましょうと表示がされている座席です。
譲り合いましょうという市民の意識啓発を行っているものであって、国民ひとりひとりにその意識がしっかりと定着すれば、すべての席が優先席になっても良いとも言えます。
要するに優先席なんて必要のない社会がより良い社会なのだと思います。
本来は、優先席ではなくても席を譲れるようになることが理想です。
残念なのは、暗黙の了解で多くの人たちが優先席で無ければ席を譲る必要がないと考えてしまいがちなことです。
みんなが“誰かが席を譲るだろう”と考えて、自分は何もしません。
スマートフォンを見て赤ちゃんを抱っこしたお母さんが来ても気づかないフリをしたりする人が増えてしまいます。
一番重要なのは、必要とする人に席を譲ること…という社会の助け合いの意識がしっかりと啓発されることです。
優先席があることによって人が席を譲らなくなったり、譲らないと不満を持ったりする…そういう世の中になるのであれば、私は優先席など必要ないと思います。
このようなマナーは、決められていることというのではなく、乗客同士が安全に気持ち良く過ごす為の目安として示されていることだと思います。
ひとりひとりがお互いに譲り合う気持ちを持って、臨機応変に対処できるようにしたいものです…ということで、今日のお勉強を終了します。
写真はいつの日か…、俱知安町から眺めた羊蹄山です。
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