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o. おはぎ と ぼたもち

こずやのグランドニュー第15段…“こずやの牡丹餅”です。

春と秋の年2回あるお彼岸には、墓参りをするなど、ご先祖様と向き合う人が多いと思います。

お彼岸の語源は、仏教用語にあります。

仏教では、我々が住んでいる煩悩に満ちた現世を“此岸(しがん)”、悟りの境地であるあの世の世界を“彼岸(ひがん)”と言い、“此岸”と“彼岸”の間には川が流れていると考えられており、この川が“三途の川(さんずのかわ)”です。

仏教では、お彼岸はこの世とあの世…、“此岸“”と“彼岸”が1番近くなる期間とされています。

お彼岸は、仏教の“到彼岸(とうひがん)”という教えに由来し、煩悩や迷いの多い現世から悟りの世界であるあの世へと到達すること…、その為の修行のことを言います。

“到彼岸”は古代インドで用いられていたサンスクリット語“paramita(パーラミタ)”の翻訳で、“彼岸(パーラム)”に“到達する(イタ)”という意味です。

これがお経の中に出てくる“波羅蜜多”に繋がります。

人はみんな、過去、現在、未来問わず、仏となろうとするすべての者が成仏することを可能にするのが般若波羅蜜多であるという教えです。

日本のお彼岸には、中国から伝わった浄土信仰も合わさっています。

昼と夜の長さが等しく、太陽が真東から真西へと一直線に沈む春分と秋分の日は、此岸と彼岸が1番近づく日とされて、死者や来世を偲ぶ日としても捉えられるようになりました。

春分は、太陽が春分点を通過することで、その瞬間を含む日を暦上の春分の日と呼びます。

秋分は、太陽が秋分点を通過し、その瞬間が含まれる日が秋分の日と呼ばれています。

これらは太陽の動きによって決まるので、年によって変動があり、日本では3月20日と21日のどちらかが春分になります。

秋分の日はは9月23日になることが多いですが、稀に9月22日が秋分の日になる年もあります。

春のお彼岸とは、この春分を中心とした前後3日を含む合計7日間で、秋のお彼岸は秋分を中心にした3日間を含む合計7日間を指します。

そして、現代に至るまで、お彼岸にご先祖様を供養することで、極楽浄土へ近づけると信じられてきました。

お彼岸に墓参りや法要を行うのは、その風習の名残です。

そこで、お彼岸のお供え物の定番といえば、お餅をあんこで包んだ おはぎ です。

おはぎをお彼岸にお供えするのは、あんこの材料である小豆(赤いもの)に魔除けや不老長寿の願いが込められているからと考えられています。

中国では古くから、赤色には邪気を祓う力があるとされていて、日本でも赤色には特別な力があると考えられてきました。

赤色をした小豆は縁起の良い食べ物として、お彼岸にあんこを使ったお餅がお供えされるようになりました。

おはぎと似た食べ物に、ぼたもちがあります。

どちらもお彼岸にお供えする食べ物ですが、ぼたもちは春のお彼岸に、おはぎは秋のお彼岸にお供えするという違いがあります。

春のお彼岸にお供えするぼたもちの由来になっているのは、春の花…牡丹です。

秋のお彼岸のお供え物であるおはぎの名前は、秋の七草の1つ…萩の花から取られています。

おはぎ は つぶあん で餅を包み、ぼたもち は こしあん を使うという点で作り方にも違いがあります。

小豆の収穫時期は秋なので、秋のお彼岸にお供えされる おはぎ は、収穫したばかりの小豆を使います。

新鮮な小豆は皮が柔らかいので、炊くと皮ごと食べられます。

そのことから、おはぎの あんこ は皮が残っている つぶあん になります。

ぼたもち に使う小豆は収穫から時間が経ち、乾燥して皮が固くなっています。

つぶあん にすると皮が口に残って食べづらいので、ぼたもち は皮を取り除いた こしあん を使うのです。

更に、ぼたもち は大輪の花を咲かせる牡丹に似せて、丸く大きく作ります。

それに対して おはぎ は、細長い花びらを持つ萩の花をイメージして俵形に作ります。

現代の日本では、3月の春彼岸と9月の秋彼岸がありますが、国民の祝日に関する法律では、それぞれ国民の祝日と定められており、春分の日は“自然を讃え、生物を慈しむ”日、秋分の日は“祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ”日とされています。

歴史を踏まえながらご先祖様と向き合いつつ美味しくいただきましょう…あぁ~おいしい♪

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