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【Henry導入事例】紙カルテによる煩雑化・属人化した業務を改善 ー そのべ病院 ー

こんにちは!中小病院向けクラウド型電子カルテ・レセプトシステム「Henry」を開発している 株式会社ヘンリー 広報チームです。

今回は、そのべ病院 様の導入事例をご紹介します。医療法人社団 三光会 そのべ病院は、埼玉県本庄市にある主に地域の高齢者医療を支えている病院です。これまで紙カルテを使って業務を行ってきていましたが、2023年6月にHenryを導入されています。

そのべ病院の事務長で診療放射線技師でもある薗部将汰さんにお話を伺いました。


紙は業務を煩雑化・属人化させる

まずはじめに、紙カルテの課題についてオペレーション例を用いて説明します。

医師は患者さんを診察したあと、カルテを記載し、カルテの情報を元に看護師や薬剤師、栄養士などに必要な指示を出します。紙カルテの場合、医師からの指示を看護師が「注射の指示台帳」「検査の指示台帳」「カレンダー」など、指示の種類ごとに情報を書き移して担当の看護師や他の専門職に共有します。

また、医療現場では患者さんの状態に合わせて予定や内容が変更になることも多く、情報が正しくタイムリーに関係者に伝わることが重要です。情報が紙で管理されていると物理的な制約が生まれてしまい、カルテを別の人が使用していると情報が確認できない、変更がある場合に情報をいっぺんに更新しづらい、といった課題が生まれます。

イレギュラーな業務が多い環境で紙での情報管理は、情報伝達や確認にかかる工数を増やし、業務が煩雑化してしまいます。また、業務の手順や優先順位といったフローが標準化されにくいため、変更があった際の情報伝達の仕方などが統一されず属人化も進みやすくなります。

紙カルテのオペレーション例

そのべ病院でも、

「紙カルテの場合、たとえば患者さんの検査の指示が入っている際、一度看護師が個人のタスク管理のメモに記載した内容を看護部全体で検査を共有する紙に書き移し、決まった検査日をカレンダーにも記載する、といった具合に転記の業務が多く発生していました。

検査以外にも注射や食事、投薬など共有する情報の種類ごとに情報を書き移す作業が発生するため、患者さんごとに5〜10分程度、多い時で1人の看護師あたり1日30分くらい転記に時間を取られてしまいます。

また、情報が各場所に分散してしまうため変更がある際は内線など口頭でいったん伝え、各所で手書きの内容を修正していました。転記の回数が多くなるほどミスも発生しやすくなるというスタッフからの声もあり、工数管理の必要性を感じていました」

紙カルテでのオペレーションで業務が煩雑化・属人化してしまっていたと言います。

他にもどのような課題があったかを聞いてみると、

「新卒採用含め、新しいスタッフが定期的に入る中で、紙カルテのオペレーションは複雑すぎて病院全体の業務フローを覚えるのに年単位で時間がかかってしまう印象でした。

実際に、請求業務が立て込む時期は残業が発生し、一部のスタッフに負荷がかかってしまっているのを把握していましたが、中々改善できずにいました」

業務改善が進まないことで採用を含む組織運営への影響も懸念されていました。

ちなみに、先日公開した「電子カルテ意識調査」でも、紙カルテを使用している層の方が業務改善への意識が低くなるという結果が出ています。

なぜHenryを選んだのか

「電子カルテを導入することで、病院全体の業務を半年ほどで理解できるようにし、業務改善・効率化を推進する体制をつくっていきたい」

と電子カルテ導入の目的を話していただきましたが、数ある電子カルテの中でなぜHenryを選ばれたのでしょうか。

「YouTubeなどで最新のITシステムについて勉強していた中で、他のITサービスのようにクラウドネイティブな電子カルテを探していました。院長、そして医師である兄も完全クラウド型の電子カルテを希望しており、インターネットで調べていた際にHenryを見つけてすぐに問い合わせました」

病院向けの電子カルテの多くはまだオンプレミス型が多く、実際にそのべ病院でも7社ほど問い合わせ、機能や見積もりを比較されたと言います。オンプレミス型の場合、サーバーを病院に置き、5年〜7年ごとの入れ替えの度に500万〜1000万円ほどのランニングコストがかかります。(金額は病院の規模によって変わります)システムの入れ替えや保守のコスト、汎用性を考えるとオンプレミス型の電子カルテの導入メリットは少ないと感じられていました。

「また、新しいシステムを導入する上で極力教育コストが少なくて済む、誰でも使いやすいものであることが重要であると考えていました。その点、Henryは画面上のボタンの数も少なく他のカルテよりも見た目がすっきりしていて使いやすそうだと感じました。

更に、Henryはレセプト一体型で、医療事務がレセプトと電子カルテそれぞれの操作を覚える必要がないというのも大きなポイントでした。システム管理者の視点からも、電子カルテとレセプトのベンダーが異なると、エラーが出た際に責任の転換が生じてしまうなどのリスクを危惧していました」

新卒採用はじめデジタルネイティブ世代を採用するシーンも増えている中で、電子カルテの操作性を重視されていたそのべ病院。

ヘンリーは、医師や看護師、医療事務などの職種に関わらず誰にでも使いやすい電子カルテをつくることを目指しており、そのためにはそれぞれの職務に応じた個別最適と、行われた医療行為を正しく会計に反映させるための全体最適を同時に実現する必要があると考え、レセコンを一から開発したという経緯があります。クラウドネイティブで、レセコン一体型、モダンな技術で開発しUI(ユーザーインターフェイス)に力を入れることでユーザーの良い体験をつくっていきたい、という開発の思いを汲んでいただきました。

入力のしやすさにこだわりゼロベースで開発を行っているHenryの画面

Henryを導入して

「Henryの導入を決め、3ヶ月ほど導入プロジェクトが走り、導入に至りました。導入プロジェクトは事務長メインで進め、他の業務もある中でかなり大変でしたが、ヘンリーの担当が並走してくれたことで乗り切ることができました」

紙カルテから電子カルテに切り替える際、一度業務を棚卸した上で業務オペレーションを組み直す必要があり、看護、薬剤、栄養、内視鏡検査など部署ごとの業務のフローを確認します。ヘンリーでは、病院の本質的な業務改善を行いたいと思っており、導入担当が病院の導入プロジェクトに参加し、各部署からヒアリングした内容をもとにHenryでどのように再現していくかを組み立て、病院全体のオペレーション再構築を一緒に考えるようにしています。

「新しい業務フローを作成後、ヘンリーの導入担当と一緒に各部署で勉強会を行いました。紙カルテしか使ったことがないスタッフから不安や導入時期を遅らせるべきといった声もありましたが、実際に使ってみないとイメージが湧ききらないことも多いので、最終的に計画通りに進めることを優先しました」

そのべ病院は2023年4月よりHenry導入プロジェクトを開始し、2023年6月に利用を開始されました。

「Henry導入初日、パソコンや電子カルテに慣れていないスタッフも大きなトラブルなく使えていて驚きました。まだ紙カルテと併用しながら運用している部分はあるものの、大きな混乱はなく、2週間から1ヶ月ほどで病院全体が新しい業務フローに適応することができました」

導入いただいて数ヶ月、もともと感じられていた課題についてお聞きすると、

「レセコン一体型であることで、医師のカルテ入力後すぐに会計画面に情報が反映され、情報伝達が円滑になったことで外来の会計業務がスムーズになりました。これまでは常時会計のファイルが4〜6冊溜まっていたのが、今では1〜2冊ほどになり、2〜3倍のスピードで回せるようになったことで患者さんの会計時の待ち時間短縮になっています。

また、これまで請求業務が忙しくなる時期に発生していた残業も、Henryに切り替えてからは半分程度に減っています」

他にも、

「パソコンで情報を検索できるようになったことで、カルテが使用されていて物理的に確認ができない、手書きの内容だと不明な点があるなどの場合に発生していた確認のコミュニケーションが減り、情報伝達にかかる工数が1/3程度になりました。

患者さんからの電話での問い合わせ対応もスムーズになり、患者さんをお待たせする時間が減っています」

と事務業務で既にHenry導入の効果を感じられていました。

そのべ病院でHenryが使用されている様子

医師や看護師について聞くと、

「医師はいつでもどこでもカルテを使用できるようになったことで、回診の際にその場でカルテを入力したり、合間でオーダーを出すことが可能になりました。カルテの記載から各署への依頼、そして各処置の点数計算から会計まで、医療現場の業務フローが一貫して描けるようになったことで各専門職が連携しやすくなっています。

食事や処方など、医師からのオーダーを看護師が転記した情報ではなく、直接各部署が確認できるようになったことで、転記の手間や記入漏れなどによって発生していた情報伝達のミスも無くなり、時間短縮になっています。

また、紙カルテで発生していた、医師がカルテを持っていってしまうと看護師が情報を確認・入力したい時にできないといったトラブルも無くなり、入院・外来のカルテを運ぶための移動時間も短縮されたことで、感覚値ですが1人のスタッフあたり1日30分以上の業務効率化につながっていると感じています」

それぞれの部署にあった課題の解決にもつながっていることが伺えました。

「Henryを導入してから短期間で業務改善が進んでおり、スタッフも仕事がしやすくなったと喜んでいます」

医療現場の業務改善の先には患者さんへのケアの質向上があります。

「MRIやCTを撮る際、紙ベースだと検査の依頼表だけが来てカルテの内容が確認できず、より質の高い画像診断を行うには患者さんの情報を網羅的に把握することが必要だと診療放射線技師としても思っていました。

Henryを導入したことで、他部署からの情報がリアルタイムで正確に共有されるため、以前より患者さんの訴えにすぐに対応できケアの質向上に繋がっている、という声がすでに看護師から挙がっています。

情報をしっかりと共有しながら業務改善を進めることで、より患者さんと向き合うことを大切にする病院を目指していきます」


ヘンリーは、医療費の高騰が大きな問題とされる超高齢化社会にあっても、医療機関が健全な経営を続け、医療が社会のインフラとして提供され続けることを担保したいと考え、クラウド型電子カルテ・レセコンシステム「Henry」を提供しています。

特に電子化が進んでいない中小病院向けに導入が容易で、業務の中心となりうる現代的なシステムを提供すべく、診療報酬のルールが複雑で20年以上新たなシステムが生まれていなかった中でゼロから新しいレセプトコンピューター(医事会計システム、通称レセコン)を開発し、使いやすさにこだわったプロダクトづくりを大切にしています。

「Henry」を広めることで、医療機関のオペレーション効率を底上げし、医療サービスの持続可能性に大きなインパクトをもたらすことを目指していきます。