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パリ軟禁日記 13日目 各国文化に見る「本当に必要なもの」

2020/3/29(日)

生きていく上で、本当になくてはならないものは何だろう?
都市封鎖や外出禁止の世の中は、僕たちに実存的な質問を投げかける。

アメリカの師匠が共有してくれた記事で、この問題について考察した興味深い記事があった。現代人が生きる上で、どこの文化圏であっても必要不可欠なものはある一方で、習慣・価値観によって違いが現れる部分があるといった内容だ。例えば、医療機関、警察機関、電気・水道・ガス・通信などのインフラ、農業ほか食料を生産・提供するサービスは誰であっても必要とするものだろう。差が出る部分にはどういったものがあるだろうか。

ペンシルヴェニア州では銃の販売店の営業が許可されている。「社会が崩壊するとしたら一番最初に守るべきは自分自身であり、そのために武器があることは重要である」とのこと。アメリカの場合はロビイストたちの活動がとりわけ活発なので、これらは必ずしもその州民の価値観に一致しているわけではないだろう。コネティカット州、アリゾナ州ではゴルフコースを閉鎖させない動きがある、と紹介してあった。確かに1人でもできるし、プレーヤー間の距離が保てるスポーツではあるよね…。また、大麻が合法化されているカリフォルニア州、ワシントン州では大麻栽培に関わる人及び販売店は「必要不可欠」リストに入っている。痛みを和らげたり、医療用に使用する人も多いから当然…なのだろう。

イスラエルでは宗教上の理由もあり、屋外でのお祈りは最大10人まで、各人間に2メートル開けることで許可されているらしい。デモをする権利を保障されているらしく、実際に国会や裁判所まで起こっているらしい。当然ながら参加者間に2メートルの社会的距離(social distance)を取った上で。

デモの国といえばフランス!!であるが、まことに遺憾なことに、現在デモをすることは許可されていない。流石にそれどころではない、ということをみんな分かっているのだろう。一方、フランスでは必要不可欠なサービスとして、ワインショップ、パン屋さん、チーズ屋さん、ケーキ屋さん、タバコ屋さんは営業中である。おかげさまで食べることに関しては充実した毎日を送らせて頂いている。

今日は僕のランニングコース上にある、日本人がやっているケーキ屋さんに行った。感じのいい日本人の店員さんと会話する。「お客さんは普段より少ないけれど、なんとかやっていけてます。」こんな時だからこそ、好きな店が営業を続けてくれているのは嬉しい。お礼を言って立ち去った。不便はあれど、幸いなことに周りでウイルスに罹患する人もいなく、なんとかやっていけている。僕にできることは僕の日常を丁寧に続けることだ。

今日から夏時間。時計の針を1時間進めた。冬に戻ったような、風が強い日だった。

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