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悩みがちな人に紹介したい、「小さく行動を変える」行動療法②〜回避編〜

うつ病はもはや、一部の人だけが罹る特殊な病気ではなくなってきています。

Kesslerらが2007年に行なった国際共同研究では、日本人が一生の中でうつ病や不安症などの精神疾患に疾病する割合は、18%ほどと出ています。

統合失調症など他の精神疾患も含めると、その割合は「5人に1人」にも登ると言われています。

例えば、満員電車で隣り合う4人と自分のうち、誰か1人は精神疾患に罹ったことがあるか、今後罹る人だというのは「5人に1人」のイメージとなります。

そんな、誰にとっても関係のある「うつ病」や「不安症」。その時、私たちは「回避」と言われる行動パターンを学習して、採用しています。では、回避とはどんなものなのでしょうか?

回避とは?

うつのときには、生活の中でやらなければならない基本的なことさえも圧倒されて、ほとんどできないようなことがあります。ここに、回避を見ることができます。

33歳2児の母親であるHさんはうつ病になり、欠勤や遅刻が増える中で上司と関係不和となります。次第に、上司に怒られること・嫌われているのではないかという思いが増していきます。また、家事も大きなプレッシャーになっていき、職場にいくことと家事をすることを避けるようになっていきました。Hさんは、皿洗いを始めるとすぐに洗濯のことが気にかかり見にいくと、その洗濯物の多さに圧倒され疲労を感じます。どうしていいかわからずぐったりし、結局終日眠って過ごします。

Hさんの例は、典型的な不安が強くなる・気分が下がる対象から逃げる(逃避)ことを繰り返す中で、不安が強くなる・気分が下がる対象に近づかない(回避)がパターン化されています

わかりにくい回避

Hさんの例はわかりやすいですが、中には一見ふさわしい行動に見えて実は回避行動であるパターンもあります。

例えばNetflixで動画を観ることは一見趣味の一貫に見えますが、実は家事や支払い、明日の仕事に向けた準備など、不安や不快を避けるロジックが働いているかもしれません。

このように適応的に見える行動、読書や編み物でさえ、背景を観察してみると回避行動であり得ます。うつ病かどうかに関わらず、回避は誰しもが取っている行動パターンです。

回避はダメなこと?

回避は、危険な状況から逃れるためにとても役に立つ、自然な反応です。それ自体が悪いものではありません。

ただ、うつ病や不安症、それに近い抑うつっぽい状況における回避行動は、問題と不安を山積みにさせ、かえって健やかな日々から離れて行ってしまうという点で問題なのです。

回避は必ずしも「気付いて」やっているわけではない

「不快と不安を避けるために、Netflixを観よう」と宣言する人はほとんどいないでしょう。

回避は、気づくことの難しい、自動的な思考過程です。

回避かどうかを判断するには?

回避行動とは、一時的には困難な状況や感情を避けられても、長期的にはうつや不安を改善せず、むしろ悪化させる行動です。

先にあげたHさんは、皿洗いや洗濯に取り組まねばなりませんでした。しかし、セーターを編んでいたのです。

これは、子どもにプレゼントするために編んでいるのなら相応しいかもしれませんが、家事をやらなければならない状況では目の前の不快な問題からの回避や気晴らしになっています

回避行動を確かめる方法

回避行動かどうかを確かめる方法の1つは、状況と結果を検討することだと言われています。

状況:その行動はどのような状況で生じていますか?いつ、どこで、誰といるときに、その状況に困難を間いますか?その状況に対してどのように反応していますか?

結果:その行動によってどのような結果になりましたか?気分が良くなりますか?問題を解決できましたか?自体は変わらないままでしたか、それとも悪化しましたか?

終わりに

いかがでしたでしょうか?実は、前の記事で紹介した反すうもこの回避行動の一部と解釈することができます。

目の前の不快さ・困難さから逃避すること、そしてそれに近づかずに回避行動を選択すること。

回避のパターンに気づき、目の前の課題に向き合えるようになると、気分も良くなるのではないでしょうか?

出典:創元社,マイケル・E・アディス他,うつを克服するための行動活性化練習帳

書いた人

山田瑠人(Twitter:@ryujin_edu)

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