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「私の家政夫ナギサさん」を見て働き方や平等について勝手にイチャモンをつける【わたナギ】

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TBSドラマが熱いと言われてから、それなりに期間が経ったが、逃げ恥や半沢直樹という話題のドラマを生んできた。

そして新たに「私の家政婦ナギサさん」が話題になっている。感覚的には上記2つよりはブチ上げている感じはないが、テレビや広告の感覚だと、それなりに人気じゃないのかなという印象がある。

私はなぜか1クール1つはドラマを見ようと課しており、そのドラマがナギサさんということになっている。漫画原作で原作は読んだこと無いが、ドラマは毎週TVerで見ている。

仕事が多忙で家事が苦手なゴミ屋敷の住人であった主人公の元に、妹の働く家事代行サービスの会社からナギサさんが主人公のもとへ派遣されて、彼女の日常がナギサさんとともに変わっていくストーリーである。

【この先、6話までのネタバレあります。】

見てる人はなんとなくわかるが、大森南朋さん演じるナギサさんがまぁ良い人で、家事代行サービスというよりは執事的な立ち位置に近い。

これは漫画原作なので出版から時差があるだろうし、漫画に忠実なのか原作を読んでいないのでわからないが、ドラマの内容を見た限り男性でも家事代行をやっていることや、女性だからといって家事が得意じゃないということの表現は、男女の男性性と女性性のアンバランスさの表現みたいなものは多少は入っている。

漫画なので仕方ないのだが、ドラマにすると人が演じるので、どうも現実ではありえないなぁと思ってしまう。

最初は主人公の多部未華子さん演じるメイは、オジサンの家政婦をすごい嫌がるけども、料理の腕や仕事の遂行能力が高いので、定期契約して家事や料理を作ってもらうようになる。

そこから仕事の悩みや家族の悩みなどをナギサさんに協力してもらいながら解決するのだが、6話ではナギサさんの素性を知るために尾行して、最終的に家にお邪魔して労働時間外に料理を振る舞ってもらうのだが、気になる手帳を見つけて、それについてメイが聞いた所、地雷を踏んで変な感じになるシーンがある。

これは多部未華子さんが可愛いからなんとかなっているものの、立場が入れ替われば完全に逮捕案件であると思う。

その後、なんか地雷踏んじゃったな~的な感傷に浸りながらも、ハードな新プロジェクトに邁進して徹夜していると、その様子を心配したナギサさんが時間外でも健康に気をつけてください的なメッセージをメイに送る。

そのメッセージを確認するも、メイは気持ち悪がってシカトする。その事を余計に心配したナギサさんは、翌日深夜の時間外でもメイにしっかり晩ごはんを食べて睡眠をとるよう警告する。そしてなぜかその事に納得がいかなかったメイはキレてナギサさんを追い出す。

そして大事な新プロジェクトのプレゼンの日。メイは資料が入ったタブレットを家に忘れる。自宅に取りに帰ると間に合わないという理由で、家の鍵を持っているナギサさん(労働時間外・サービス対象外)に届けてもらうよう連絡する。

その後、ナギサさんがめっちゃダッシュでタブレットをメイのもとへ届ける。そしてなぜか昨日、メイの健康について警告したことを紳士的に謝る。メイもそのことを許す。

もちろんドラマにすると面白いのだが、活字にするとどうもシリアスではある。傍から見ている分には良いが、いざ自分の身に降りかかるとブチギレそうである。

メイ…こいつ、クズじゃね?と思ってしまうのは私がおかしいんだろうか。

あいみょんの「みのぉりぃますぅよにぃぃ」のBGMと、大森さんの良いおじさん感と、多部さんの可愛さが無かったら多分乗り越えられない感じはある。

労働時間外に飯を作ってもらって、プライベートな地雷を踏んだことをまず人としてメッセージで丁重にお礼と謝罪してほしい。

家事代行サービスの人間をここまで私的利用してしまうのは問題だろうし、お客様である以上、頼まれたら断りづらいというのもあるだろう。

多分、メイとナギサさんの男女の立場が逆だったとしたら、普通に見てられないし、女性を家事の奴隷扱いするな!とか、ドラマとして成立しないと思う。ただのカスタマーハラスメントのドラマになる可能性がある。

その他にはドラマ中で、ナギサさんが「わたしお母さんになりたかったんです。」という発言がある。それに疑問を持ったメイは「お母さんですか?男なら普通お父さんに憧れるものじゃないですか?」という発言がある。

これも正直微妙な発言である。「男なら普通○○じゃないですか?」との発言はメイのステレオタイプだし、ジェンダーへの配慮を欠いて想像力に欠けている気がする。

おそらく男性から女性へ「女なら普通…○○じゃないですか?」という発言をしたら、人の受取り方によってはセクハラ問題になると思う。

もちろん現実でそう言われたとしても、私はそんなこといちいち気にしないし、ドラマの扱うテーマ上、わざとそのようなセリフ選びをしているのかもしれないが、わざわざイチャモンをつけるとしたら、気に障る人がいるのかな、と考えたりもした。

白馬の王子様症候群の女性に刺さるような、若いイケメンじゃなくて、渋いオジサンという面白い設定でかなりドラマとしては面白いのは間違いない。

世の中に完全な平等が存在しないように、おそらく男女平等も存在しない。男性と女性を同等には扱えない。多くの女性が被害を被ることになって失敗することが目に見えているからだろう。おそらくそれが長年続いてきた日本の文化かもしれない。

もちろんドラマとしては面白い。だが、なんか、「これって大丈夫なのかな?普通なのかな?」と疑問に思ってしまう。

仕事において、それぞれの家庭環境や仕事内容が違うのなら、それぞれが働きやすいように特別扱いするというのは良いと思う。それは男女平等以上に、大きく見て人々が働きやすい環境を実現するという意味である。

そういう意味で、おそらくドラマの本筋である女性なのに家事が苦手とか家事代行サービスを頼んでいることに対する劣等感みたいなものは、正直なにも気にならない。

ただ、ナギサさんからの、健康を労うメッセージをリアルタイムで見てたのに関わらずシカトしたのは個人的にはよくわからない。

「わかりました。ありがとうございます。」の5秒で済む話をシカトするのが、別に男女とかではなく、普通の人間の感性として、お世話になっている人からのメッセージをシカトする感覚に至ったことがないので、どういうことなのか、シンプルに疑問だった。

その後、メッセージをシカトしたのに、自分がピンチになったら労働時間外の家事代行サービスの人に忘れ物を届けさせるというのも、どうなんだろうな。とは思う。自分の都合のいいときに言う通りになる人間が欲しいような心理が見えた気がして、少し可哀想な感覚になった。

私に感覚の中では、労働時間外サービスを強要して快く受けてくれる人への態度ではないように思える。

自分だったら、「コイツなんかめちゃくちゃシカトしてたくせに、いきなり忘れ物とどけるように連絡して来たなぁ…客だから届けたけど…今日現場近くだったから良かったけど、次あったらどうしようかなぁ…」と思わざるを得ない。

もちろんナギサさんは完璧なので、そんな事を気にしないのだが、普通の男性だったら、これはブチ切れないのかなぁと思ったりもしてしまう。

よくLINEなどのメッセージアプリのせいで、コミュニケーションが希薄化しているという議論は前からされてきた。

個人的にはそんなことないと思っているが、シンプルに人に感謝したり思いやったりする心が欠落してきている事が原因なんじゃないかと実感する。メッセージアプリどうこうの以前に、人間としての他者を考える思考力が低下している気がする。そういう意味ではLINEなどが、そういう人間の感情を表出させたとは思う。対面ではやらないことをLINEならやるということだろう。

普通に自分が何かして貰ったことに感謝したり、その分相手に返したいというモチベーションが湧いたりする感覚が薄れているんだと思う。

簡単に言えば、やってもらって当たり前の人が増えて、やってもらう為のコミュニケーション以外は必要ないということかもしれない。そのために金に頼るし、自分では何もしたくないので、やってくれる人に任せるし、やってくれる人を自分の立場とは違うような見方が進んでいるかもしれない。

とりあえず6話までしかまだ放送されてないので、この先なにかメイがすごいナギサさんの時間外労働に見合う感謝を述べるのかもしれないが、現状のまま最終回を迎えたら、自分の感覚としては、メイみたいな奴が世の中に増えたら嫌だなという感じではある。

金を払ったら鬼の首取ったように好き勝手振る舞う客とか、やってほしいことばかり人に要求して、金利乗せるどころか元本も返してこない債務不履行人間を巷に溢れさせるわけにはいかない。

堂々と人に要求できる人間というのは、何の自信があるのか知らないが、正直理解に苦しむ。もちろん仲のいい友達になるほどそういう機会も増えるだろうが、その分返すというのは当然だと思う。それこそ倍返しでハッピーにさせるのが基本だろう。

平等の制度を整えるとか、仕組みをいじる前に、シンプルに人がやっていることに感謝したり、このラインが普通だけど、この人はここまでやってくれたからお礼言わないとダメだな。とか、そういう意識が必要な気はする。

むしろそれがないと仕組みを整えても、「それじゃ平等じゃない」「全然足りない」と要求がエスカレートして制度が際限なくなってしまう。

ある程度のモラルで、人にやってもらうことが当たり前じゃないんだという意識の上に成り立ってないと、制度を変えただけで解決するほど甘くはない。

現代の問題として、要求するバカの声がでかいから、それが通ってしまうということだと思う。

自分にもこんなドラえもんのような家政婦がいたら最高だなと思ってしまうが、これからどういう展開になるのか楽しみではある。






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