2023年8月読書は個性派7冊~三島由紀夫からヒロスエまで~
月末は読書記録の投稿、今月は7冊(で止めておく)。
例によって多様性豊か?である。
①命売ります(三島由紀夫)
主人公、山田羽仁男は、新聞の活字がゴキブリになって逃げてしまったことをきっかけに自殺...未遂に終わるも、自分の命に価値はないと悟り「命売ります」と新聞広告を出す(今だとSNSか...)
著者が亡くなる2年前に書かれたエンターテインメント性の高い怪作、純文学作品ではないこの小説の中で本音の「死生観」が語られている…と思ったり思わなかったり…
以前購読した「三島由紀夫のレター教室」と同様に、純文学とは異質な世界観で綴られる展開、時代背景のために今となっては不適切な表現があったり古さを感じる部分もあるが、それを差し引いても奇想天外なエンタメ作品として十分に楽しめる。また、三島由紀夫の表現力はここでもセンスが光る。
こんな文章を自然に書いてみたい。
②プロカウンセラーの共感の技術(杉原保史)
以前「キャリアコンサルタントのためのカウンセリング入門」を読んで、著者の「共感力」に関心を持って他の著作を探し、たどり着いた一冊。
カウンセリング業界でいう共感とは、人と人とが関わり合い、互いに影響しあうプロセスと定義する。
今まで自分は受容したことでほぼ共感ができていたように勘違いしていたかもしれない。共感は今まで思っていたよりも深い概念で高度な技術である。
そして技術なき共感は相談者に心を開いてもらえないし、失礼である。
でもまずは「自分は共感ができていない」ということを素直に認め受け入れる、そして穏やかに耳と心を相手に傾ける...今の自分と照らし合わせるとこんな感じだろうか。
やさしい語り口ながらもカウンセラーに求める姿勢は厳しく、真剣に相談者に向き合う、そんな筆者の人間性にまで触れられるような気がした。
③キャリアの悩みを解決する13のシンプルな方法 キャリア・ワークアウト(田中研之輔)
キャリアコンサルタントを志す以前から接していた「プロティアン・キャリア」、その権威である田中研之輔教授による実践書。
キャリアの悩みや不安を抱える34歳の会社員・佐藤さんが「キャリア・ワークアウト」を通してキャリア自律していく成長ストーリーが綴られる。
主人公が34歳という設定の通り、基本的には若い人向けと思うが、あらためて中年のキャリアにもがく自分の刺激にもなった。
そう、いつからでも何歳からでもキャリアはつくれる、から。
タナケン先生のメッセージが深く胸に突き刺さる
働くとは、悦びであり、キャリアとは生きざまである
④ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2(ブレイディみかこ)
Part1を読み半年以上が経過、ようやく続編を読め「地べたのイギリス」に住む親子の成長物語を見届けることができた。
貧困・差別・ジェンダー問題等、世界の縮図のような環境で筆者の息子はたくましく力強く大人の階段を育っていく。
「ライフってそんなものでしょ、後悔する日もあったり後悔しない日もあったり、その繰り返しが続いていくことじゃない?」
13歳の少年のライフは岩崎恭子級に動いているのだ。
⑤ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち(広末涼子)
南国土佐に生まれ育ち、県民性?そのままに楽観的で祭り好き、明朗活発に育った筆者は高校・大学時代から哲学書を持ち歩いていた。
哲学者の言葉を引用しながら、自分の思いがヒロスエ・メッセージとして綴られる。
語られる一言一言に妙に説得力を感じてしまうのは気のせいだろうか..
ちなみに興味本位で読んだことは事実だが、広末涼子に関して報じられていたことに一切興味はない。(広末さんに興味がないというよりは、芸能人のプライベートをここまで報じる意図がわからない)
⑥名医が教える飲酒の科学(兼石かおり)
酒飲みは「酒は百薬の長」と科学的に何の根拠もない言葉を信じて飲む。
コロナ禍の家飲みのために5ℓの業務用ウイスキーを買うほどの酒飲みの筆者が名医へのインタビューを通して科学的・客観的に酒が人間の体に与える影響を調査する。酒は嗜好品ではなく薬物と理解すべし、というフレーズが印象的であった。。。
さあ、正しい知識と理解を持って命がけで酒を飲み、楽しもう。
ということなのだが・・・
実は本書を読む前から、毎日続けていた晩酌を週1~2日程度に変えていた。「酒が弱くなってきた」実感があり、いざアルコール摂取を減らしてみたのが実情であった。結果、何のストレスもなく過ごせたことで今は「今までなぜ毎日飲んでいたんだろう」と思うほどである。
どこか「酒飲み自慢」していた自分がいたような気がする。
今となっては恥ずかしく、バカバカしい限りである。
⑦ひとりずもう(さくらももこ)
「ちびまる子ちゃん」で知られる漫画家の自伝エッセイ。X(Twitter)で紹介されている投稿を見て興味を持ち、図書館で発見。
変化を嫌い男子を避けオシャレにも無縁、妄想に浸りゆるゆるの生活を送る筆者が妄想する中学・高校時代。
そんな筆者が「漫画家になる」夢に向かい覚悟を決める転機を迎え驚く。
「シュールな漫画家」のイメージがあったが、実は夢を叶える情熱を持ち、自分の生きる道(戦略)を冷静に考えることのできるマーケターだったのだ。
8月15日で没後5年、生きておられれば同い年だった彼女に今さらながら思いを馳せる。
私の2023年読書記録を最後まで読んでいただき感謝します。
今月はすべて図書館で借りた本になりました。
共感の技術などはキャリアコンサルタントとして研鑽を積むためののバイブルとして購入した方がいいかもしれないと思いつつ、こうして借りて読むところから始めた方が、買ってから「思ってたとの違った」と思わなくて済むかとも思いました。
9月は前半で資格試験を終了するので、ますます読書の質も量も充実させていきたいと思っています。
なぜなら、私にとって「読書は楽しい」からです。