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イギリスのドラッグ事情。ドラッグキングダム英国。

日本は非常にドラックに厳しい国だと、イギリスに行ってから知った。
学生時代から「ダメ、絶対。」という文言が頭にしみ付き、一度でもドラッグに手を出したら人生が終わるというような教育を受けてきたし、日本でドラッグやってる奴は極悪人のめっちゃやべー奴っていう雰囲気さえ感じていた。

しかしそれがロンドンに住んでみて見事に崩れた。

ロンドンは日本に比べて圧倒的にシェアハウスが多いので、良い意味でも悪い意味でも、見ず知らずの他人と暮らさねばならず、他人の生活が見える。そのせいで自分にとって居心地の良い家を見つけるのは意外にも大変で、私も2年間で4回ほど引っ越した。

そこで色んな国の色んな人達と住んだけれど、マリファナ吸うくらいはもはや普通であった。煙草吸うくらいの感じである。最初はこの事に凄く驚いた。

ロンドンの道を歩いてると、日本では嗅いだ事の無い、独特な匂いがどこからともなくしてくる。独特なのでマリファナの匂いと認識すると、一日数回この匂いを嗅ぐ日もある事に気付いた。

ロンドンのとある地区に、元工場を改築して作った大型のシェアハウス区域がある。ミュージシャンやアーティストが多く住んでいると聞いて、フォトグラファーの身としては同業の知り合いを増やしたいし、怒られずに自由に自分の部屋で撮影をしたいので、うるさいとは聞いていたが住む事にしてみた。(以前日本人のみのシェアハウスで撮影をして追い出されたので。日本人はやっぱりルールに細かいし厳しい。)

ハウスルールは住んでる人達が決めるので、その家に自分が合うかが大事。
その家はかなり自由な雰囲気で、昼間に突然爆音でヒッポホップが流れ出したり、平日週末問わず夜中に友人を呼んでパーティがあったり、プロジェクターで映画を見たり、早朝トイレに起きてリビングを通ったら白装束の人々が広いリビングを埋め尽くすほどいてヨガをやっていたり、ストリッパーのフラットメイトがポールダンスの練習をしていたり、犬や猫がいたり、かなり自由だった。

確かにちょっとうるさいなと思う時もあったけど、どんなに家で撮影しても誰も文句を言わないどころか、素敵ね!と褒めてくれたので、私はそれなりにこの自由な家を楽しんでいた。

しかし、住んで数ヶ月たったある時、おかしさにに気付き始める。

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その日はロンドンも夏に差し掛かり、かなり気温が高かったので、庭にプールを作って遊んでいるフラットメイトがいた。でも様子が少し変だった。
一緒にプール入ろうよ〜と言われたので近づいてみたら、その子達は午前中にも関わらずかなり泥酔しているように見えた。ふにゃふにゃである。呂律も回らず何言ってるかほぼ理解不能。ただでさえ若者のネイディブ英語は聞き取りずらいのに、これでは全く意思疎通が出来無い。

その子は結局音楽を聞きたかったらしく、自分の携帯が手元に無いので私の携帯で曲をかけろと言ってきた。携帯を手渡したが、操作もままならない。私の携帯、プールに落とすなよ。と思いつつ、曲を聞いていたのだが余りの泥酔ぶりにちょっと引いた。バイト行かないといけないから、とそそくさとプールを後にした。
そして準備をしてトイレに行ってからバイトへ出発しようとしたところ、さっき泥酔していたフラットメイトが扉を開けたままオシッコしているのを目撃してしまった。

おお、マジか。

ここから徐々にこんな感じの体験が増えていった。

ウェアハウスと言われるこの家の家賃は結構高い。私が住んでいた部屋は730ポンドで日本円だと10万くらい。12部屋あり、カップルで住んでる子達もいたので総勢14人。シェアハウスにしてはかなり大型である。その代わり設備も広い。アジア人はほんのちょっとしかいなかった。いても生まれがイギリスとかであった。日本人は皆無。

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キッチンやリビングはそれなりに広いが、はっきり言って個々の部屋は家賃の割に狭い。しかも共用部はかなりごちゃごちゃで、綺麗とはお世辞にも言えない。皆んな洗い物などせず、使用済みのお皿やフライパンがそのまま山積み。それでも皆んな引っ越さないのは、この家でドラッグをやれるからなんじゃないか、と後から気付いた。

ある夜の週末、リビングで皆んなが楽しく飲んでいると思ったら、突然フラットメイト二人が白い粉を出してきて鼻から吸い始めた。

え??????まじ?これ映画でしか見た事無いやつなんだけど。

この二人は普段は極めて普通のいい人達である。普段は普通に働いてるし、朝リビングであったら元気?って声かけてくれるし、動物も大事にするし、おしゃれもちゃんとしてるし、本当に普通の人達。

それを見ていた他のフラットメイト達は、ちょっと引いてる人もいたので普通のことでは無いようだが、でも止めもしてなかったので、まあやる人もいるよね。くらいと思われる。

またある時はキッチンに白い粉の入った小さい袋が落ちていて、これ誰の?と聞いたところ、前回トイレの扉を開けて用を足していた子のだった。この時わかったのだが、彼女が使っていたのはケタミンというドラッグだった。ケタミンは馬などの動物の鎮静剤である。何人か使っている人を見たけど、結構強そう。なんかもう泥酔通り越してレロレロである。どんな感じなのって聞いたら、何もかも輝いて美しく見える、または溶けていくようだ、との事。めっちゃ個人差ありそうだけど。。

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またある時、クリスマスパーティ件フラットメイトの誕生日パーティがあり、私は次の日バイトがあったので参加できず、結構うるさくなるよと言われていたので耳栓をして床に入った。そしてやはりその日はクラブ並みに爆音で、重低音の振動を受けながらもなんとか寝た。
朝リビングに行ってみるとテーブルの上がフライドチキンと酒のボトルだらけで、床はこぼしたであろう酒でベトベトバリバリ。そんなカオスなキッチンテーブルでは知らんおっさんがこれまた鼻から白い粉を吸っているところだった。でもおっさん、私になんか飲む?と気を使ってくれて親切だった。

リビングには夜中から踊りまくっていたであろう数名が明け方も残っていて完全にキマってたけど、キマリながらも男子はドア開けてくれたりジェントルマンだった。

フラットメイトの一人に会計士のおじさんがいて、その人は私が越して来てから数ヶ月後、別のウェアハウスに引っ越してしまったのだけど、彼はドラックディーラーだったらしい。副業、ドラッグディーラー笑。
以前彼に、この家の人は半分くらい皆んなマリファナとかドラッグやってるからお前もやったらいいよHAHAHA!と言われたことがあった。

終始ちょっと酔っ払ってる感じのクレイジーなおっさんだったけど、会計で困ったことあったらなんでも俺に聞け。と言ってくれたり、娘の写真見せてくれて今日誕生日なんだ、と教えてくれたり良い人だった。

またある時、私の部屋の隣に女の子が住んでいたんだけど、その子の彼氏が一緒に住むようになった。その彼がかなり強めのマリファナ(ウィードって言ったりする)を吸っていて、しかも1ヶ月ほど転職期間で仕事が無いので、毎日リビングでゲームをしながら強めのマリファナ吸っていた。終始ボーとしている様に見えて、匂いは普通のマリファナよりかなりキツく、他のフラットメイトも窓を全開にするくらいだった。

この子はバイク好きで、川崎忍者ってバイクに乗っててめっちゃそのバイク大事に整備してた。。彼女と一緒に毎日強めのマリファナ吸ってた。二人して毎日ソファで泥のようになっていた。

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とあるフラットメイトにすごく美人でフレンドリーな女の子がいたんだけど、彼女にドラッグは日本ではすごく厳しく取り締まられてるからイギリスでやってる人が多いからちょっとびっくりしてる〜みたいな話したとことろ、

アルコールは取り過ぎたら死んじゃうけど、マリファナはやり過ぎても死なないよ。って言われて教育の差はなんと恐ろしい事かと思った。マリファナは天然の草から作ってるのでケミカルでは無いから。というのが彼女の言い分だった。でも別のポーランド人の友人から、確かにやり過ぎても死なないかもしれないけど、壊れた精神は元に戻らないよって聞かされていたので、最早何が正しいか分からなかった。

以前のフラットでもクラブ好きな女の人がいて、40代くらいだと思うけどたまにクラブ行った時やるって言ってた。MDMAってやつだったと思う。あれ、エクスタシーだったかな?どっちか忘れてしまったけど、とにかくいつまでも踊っていられるらしい。その代わり次の日いつまでも眠ってしまうそうだけど。

またある時、ゲイクラブで友達になったスペイン人の子にモデルをお願いして、私の部屋で撮影をした時のこと。衣装とか色々持って来てくれたんだけど、ピアスを片方無くしたから皆んなで手分けして探して欲しいと言われ、スボンのポケットとかを細かくチェックしていたところ、小さい注射器となんか短めのチューブが出て来た…見なかった事にしたけど。

また最後に住んだ家のフラットメイトにラッパーの女の人がいたんだけど、彼女の部屋からはほぼ毎日マリファナの匂いがしていた。

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これは私の話では無いのだけど、ある友人が住んだ家にこれまたドラッグディーラーがいたらしく、歯が全部無くて怖すぎだったらしい。家賃安いとこだとたまにそういう事あるので気をつけて。

他にもフラットに遊びに来た人に、これ吸うか?と言われて聞いてみるとマッシュ(多分マジックマッシュルームてやつかな?あんまり詳しくないから分からんけど)だと言われたり、他にも細々と色々あったと思う。

と、ざっくりだけど結構この2年間ドラッグをよく見かけた。ロンドンではこんなに身近なものなのかと、とにかく驚いた。もちろんマリファナもドラッグも、イギリスでは違法である。

たまに度が過ぎてドラッグがらみで自殺とか殺人もあったと聞くからトラブルも多そう。友人の友人の彼氏も、ドラッグで逮捕されてた。あと友人の知り合いの家の下の階の人も銃殺されたらしいと聞いた。ドラッグで。

ちなみにオランダではマリファナは合法である。でもロンドンより皆んな秩序守って楽しんでる印象だった。煙草やお酒のように、嗜む感じだと思う。道端でマリファナの匂いはロンドンの方がする。もちろん地域にもよるけど。

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久しぶりに日本帰って来てびっくりしたのは、マリファナで逮捕されてる人がニュースになってる事。もちろんダメなものはダメだけど、イギリスではやってる人が多過ぎてそのくらいでニュースにはならないし、捕まりもしない。多分警察でも休日はやってるんじゃないかってレベル。もちろん人にもよるが。

私個人としてはドラッグや煙草、お酒といった嗜好品に全く興味がないので、誘われても毎回断っているが、副流煙とか、尿からの残留量ってどうなのだろう??って思ってる。知らんところで摂取してしまってたりして。。

とある外国人の友人に、赤ちゃんを抱っこしたままマリファナ吸ってるお母さんを目撃してしまい、注意した方がいいのか凄く迷ったけど、結局注意しなかった。。どうしたらよかったんだろう。と言ってきた友人がいた。

赤ちゃんの時から精神が壊れ始めたら、いくらその子が真っ当に生きたいと思っても正常に育つだろうか?そんな環境で育った子が親になって、正常に子育てできるだろうか?この様な状況が何世代にも積み重なって行くと、壊れかけた人が育っていってしまうのではないかと思う。

日本に比べるとロンドンはクレイジーでどこか壊れているように感じていた。え?嘘でしょ?みたいな事や失礼な事をされたり言われたりする場面も多い。日本で生活していた時からは考えられない怒りを、他人に感じる場面も出てくるし、日本では見た事ないレベルに変な人を、結構な頻度で見かける。郵便もちゃんと届かなかったりサービスがちゃんとしてないのはそのせいもあるのでは無いかと、私は思っている。

2年住んだ結果わかったことは、ん?なんだこいつちょっと変だな?って思う奴は、頻繁ではないかも知れないが過去か現在も、何かしらのドラッグをやっているか経験者ということだった。ロンドンで盗難や物乞いが激しく多いのはドラッグのせいもあると思う。ドラックを買うお金がないから盗む→盗品売てドラッグを買う→また欲しくなる→でも中毒だから働けない→また盗む。負の連鎖から抜け出せない。

英語学校の先生で、頭痛が酷い時これ塗るとすごくいいんだよ、とマリファナと書いてある塗り薬の入れ物を見せてきた。とある外国人の友人も、夜眠れない時だけ吸った事があると言っていた。眠れないよりいいだろう?とのこと。マリファナに関しては、外国人にとっては日本人ほどヤバイものという意識はなさそうだった。

国によってはマリファナは医薬品として認可されていて、使い方と場合によっては良いのかもしれないけど、私個人としては使う気になれない。バイト先のレストラン客に、毎日のように煙草をせびりに入ってくるイかれたお姉さんや、文字も読めなくなっている人を見てきてしまい、壊れた人生を元に戻すのは容易ではないと感じているので。

海外では手に入りやすい国もあるからお気をつけて。

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