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仕事と大航海時代

私は世界史が苦手である。

登場人物の名前が長くて覚えにくいし、
民族間の対立の話はイメージしにくい、
しかも、宗教的な背景が色濃くでるので
なおさらイメージがしにくいからである。

幸いなことに私は高校生から
完全に理系のクラスに進んだので
世界史とは中学生でサヨナラをすることができた。

そんな私が苦手な世界史であるが、
最近ある言葉が頭に引っかかるようになった。

それは”大航海時代”である。

前提として世界史が苦手なことを書いたのは
私の解釈が間違っていても
容赦頂きたいからであるが、
大航海時代とは15~17世紀の欧州の国が
アジアやアフリカ、そしてアメリア大陸に航海をして
その国々と交流をしたり時に侵略をした時代である。

当時の航海は今の船と違い、GPSも無ければ
夜間に発電する仕組みもなかったので
真っ暗な中航海しなければならず、
しかも長期間にわたる航海となるので
常に危険と隣り合わせであった。

そんな大きなリスクを抱えながらも
航海をした人々はどんな気持ちであっただろうか。

まだ見ぬ世界が新大陸には広がっていて
そこにチャンスがあると期待に胸を膨らませて
いたに違いない。

逆にこのぐらいの大きなワクワク感がなければ
こんなにも危険な航海には挑めなかったはずである。

実際、歴史の教科書に載っているように
大航海時代で色んな歴史が動いた。

誰かに指示されて航海が行われていれば
このような結果は決して得られなかったであろう。

今回なぜ突然大航海時代などというワードを
テーマにして書き始めたかというと、
仕事をすることはこの感覚に似ていると
思ったからである。

仕事とひとくくりに言っても、
製造業からサービス業、執筆業や医療職など
非常に幅広い。

しかし、原則としてそこには必ず顧客がいる。

顧客に何らかのベネフィットを提供し、
その対価としてお金をもらうことで
ビジネスが成り立つのはどの職種においても
同じことである。

そうしてビジネスを続けていると
色々な顧客にアプローチをする必要が出てくる。

なぜなら、ビジネスは常に成長することが
求められるものだからである。

ずっと一定の規模でビジネスをし続けている
小売店はどうなのかと思われるかもしれないが、
小売店も一見同じように見えて、
中では色々な策が講じられて、成長する戦略が
ちゃんと練られているのだ。

逆に成長をしない企業は必ず衰退し、滅びてしまう。

つまり、ビジネスが世の中にある限り
いつかどこかで市場が飽和する時が来るのである。

そうなると、後は椅子取りゲームになる。

限られた椅子を一生懸命に取り合いし、
負けたほうは成長ができずにいずれつぶれてしまう。

この負のスパイラルが必ずどこかで
起ってしまうのがビジネスの宿命であるが、
これを解決するための方法が一つある。

それは、他の市場にビジネスを広げることである。

違うフィールドに打って出れば、
新たな成長を遂げることができる。

まさに、ビジネスをすることは
大航海時代と同じなのである。

会社員やフリーランスなど色んな方がいるが
それぞれみんなが航海する船の船長であり
乗組員なのだ。

大航海時代と同じように
新しいフィールドに打って出ることは
大きなリスクを伴うし、労力もかかる。

しかし、それらのリスクも
私たちがその先を楽しみにするからこそ
乗り越えていけるものではないだろうか。

にもかかわらず、多くの人は仕事に対して
驚くほどワクワクしていない。

先ほども書いたように
誰かにやらされただけでは大航海時代に
あれほどの成果は出なかったであろう。

今私たちが仕事にワクワクできないということは
まさにこれと同じなのである。

私はかつて社内の新事業に携わったことがある。

新たなビジネスフィールドに向けて
商品開発担当として商品を提供し、
営業マンと共に顧客の声を聞きながら
できる事を日々改善していった。

そして今ではその事業が会社の一つの柱にまで
成長したのだが、
そのとき私は仕事が楽しくて仕方なかった。

まさに大航海時代の船乗りに
なっていたのである。

もちろん今も仕事を楽しむ姿勢は大事にしているし、
その姿勢を崩すつもりは毛頭ないが、
あの真っ暗な中で突き進んだ時期に比べると
やはり面白みは劣る気がしている。

円安や原材料価格の高騰、
ビジネスにとって向かい風が吹き荒れているが、
そんな中だからこそ
私たちは航海に出るべきではないだろうか。

沈没しそうになればすぐに引き返せばいいし、
仮に沈没したとしても助けてもらう術は
いくらでもあるのだ。

最近心から仕事にワクワクできていない自分に
違う大陸に眠る宝の地図を渡すことができるのは
自分自身だけなのである。

あなたがもしも仕事を楽しめていないならば
宝の地図を手に、航海に出てみてはいかがだろうか。


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