見出し画像

短文5. ミッション・ホルダー

生まれてきてからの時間軸で、ああ随分歩いて来たなと感じ、だいぶ自分も傷んで来たなと思うのが普通だが、別の考え方にも気づいた。ある時点で、自分は大空から雪のように降ってくるミッションを手のひらに受け、そっと眉間にあてたよな。これからこの世界に起きる何かに対して、俺はひと働きしなければならない。ノルマンディー上陸作戦に備えて密かに落下傘降下した工作員みたいな。とにかく残された時間で、その時なすべきミッションを準備しよう。つまり最期の時が任務完了の時になる。暗い前方が栄光への脱出路になる。あっちに帰ったら、またレミーマルタン飲めるしな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?