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WORK SHIFT ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図

読書日記をつけたいなと考えながらも中々始められずにいましたが、NOTEにあげることで、記録兼皆様への紹介になれば一石二鳥だということで、第一弾です。
かなりのボリュームなので長文ですが、何年も前に読んだ時の衝撃と、近年の働き方の変化をズバッと言い当てているところとから、ずっと忘れられないある意味でのバイブル本なので、興味を持たれている方は是非読んでみて下さい!

【著者名】リンダ・グラットン(Lynda Gratton)

【出版社名】プレジデント社

【初版の日付】2012/7/28


【要点】
2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか?
ロンドン・ビジネススクールを中心とした、「働き方コンソーシアム」による、
世界規模の研究が生々しく描き出す2025年のに働く人の日常。
「漫然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ち受け、
「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。
どちらの人生になるかは、〈ワーク・シフト〉できるか否かにかかっている。

働き方が変わる! 〈5つのトレンド〉
●テクノロジーの発展
●グローバル化
●人口構成の変化と長寿化
●個人、家族、社会の変化
●エネルギーと環境問題

働き方を変える! 〈3つのシフト〉
●ゼネラリスト→連続スペシャリスト
●孤独な競争→みんなでイノベーション
●金儲けと消費→価値ある経験

「食えるだけの仕事」から意味を感じる仕事へ、
忙しいだけの仕事から価値ある経験としての仕事へ、
勝つための仕事からともに生きるための仕事へ。
覚悟を持って選べば、未来は変えられる。

...以上はAmazonの商品概要からの引用です。以下が、本書で提示されている、重要な「働き方を変化させる5つのレドンド」と、「私達が変化させるべき考え方」「3つのシフト」です。


◆何が働き方の未来を変えるのか・・・5つのトレンド
1:テクノロジーの進化
世界の50億人がインターネットで結ばれ、また地球上のいたるところで「クラウド」を利用できるようになる

2:グローバル化の進展
124時間・週7日休まないグローバルな世界が出現した、中国・インドの経済発展が目覚ましく人材輩出国としても台頭してきている、3世界の様々な地域に貧困層が出現する

3:人口構造の変化と長寿化
Y世代の影響力が拡大する、寿命が長くなり、ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える、国境を越えた移民が活発になる

4:社会の変化
家族のあり方が変わり規模が小さくなる、2女性の力が強くなり、またバランス重視の生き方を選ぶ男性が増える

5:エネルギー・環境問題の深刻化
持続可能性を重んじる文化が形成され始める


◆私たちがシフトするべき、働くことに対する考え方
これらの要因が複雑に絡み合い、未来の働き方が「漫然とした孤独な働き方」に作用する可能性もあれば、「主体的な、相互作用による、イノベーティブな働き方」に作用する可能性もある。好ましい道を選び取るために、私たちは自身の固定観念を次のようにシフトしていく必要がある。

1:ゼネラリスト的な技能を貴ぶ常識を問い直す
インターネットが普及して世界中の人々が繋がり、且つAIが進化していく時代に、「浅く広い」知識に対する需要は減っていき、「専門技能の連続的習得」を通じて自身の価値を高めていき、且つ差別化によるセルフマーケティングを行っていかなくてはならない。

2:職業生活とキャリアを成功させる土台が、個人主義と競争原理であるという常識を問い直す
イノベーションを生み出すためには、人と人との結びつき、「協業」が必要であり、個人間の競争で生み出される「成果」以上のものを生み出す。

3:どういう職業人生が幸せかという常識を問い直す
過去のように地震のライフスタイルを犠牲にし、「お金を稼いで消費する」ことが幸せなのか。質の高い「経験」と人生のバランスを重んじる姿勢に転換するほうが幸せなのか。


◆働き方をシフトする為の「3つのシフト」

1:第一のシフト ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ

明るい未来を切り開くためには、これまでの固定観念、知識、技能、固定パターン、慣習などを根本からシフトする必要がある。
未来の仕事の世界で成功できるかどうかは、その時代に価値を生み出せる知的資本を築けるかどうか。とりわけ、広く浅い知識や技能を蓄えるゼネラリストを脱却し、専門技能の連続的習得者への抜本的なシフトが必要だ。終身雇用の契約が崩れ始めたいま、ゼネラリストがキャリアの途中で労働市場に放り出されるケースが増えている。「なんでも屋」はウィキペディアやグーグルアナリティクスなど、知識や分析を手軽に提供するテクノロジーと競わなければならない。ほかの専門技能より高い価値を持つ技能とは、①その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること、②その技能の持ち主の希少性が高いこと、③その技能の模倣が困難であり、機械によっても代用されにくいこと、という条件を兼ね備えている必要がある。

2:第二のシフト:孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
世界中の人々が結びつく時代の恩恵に最大限浴するためには、協力とネットワークとイノベーションについて、根本から発想をシフトする必要がある。昔は人的ネットワークが自然に形成されるのに任せておけばよかったが、今後は意識的・主体的な選択と行動が不可欠となる。関心分野を共有する少人数のブレーン集団である「ポッセ」(同業種の仲間)、多様なアイデアの源となる「ビッグアイディアクラウド」(他(多)業種の仲間)、そして安らぎと活力を与えてくれる「自己再生のコミュニティ」(現実世界・地元の友人や親族)を築くために、意識的に努力しなくてはならない。強固な人間関係をはぐぐむことができれば、大きなエネルギーを得られる。その際に注意すべきは、物質的な豊かさを重んじるあまりに、成長と意義と友情をないがしろにしないことだ。

3:第三のシフト:大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ第三のシフトは未来に向けて求められる三つのシフトのなかで最も難しい。やりがいと情熱を感じられ、前向きで充実した経験を味わえる職業生活への転換を成し遂げ、「仕事の最大の目的はお金を稼ぐこと、人生の目的はそのお金で消費すること」という発想から脱却しなくてはならない。このシフトで目指すのは、すべての時間とエネルギーを仕事に吸い取られる人生ではなく、もっとやりがいを味わえて、バランスの取れた働き方に転換することだ。
シフトを行うとは、覚悟を決めて選択することだ。ボランティア活動や長期休暇を取る代わりに高給を諦める選択をしたり、リスクを承知の上でミニ起業家へ転身したりする。昔は企業が社員の代わりにすべてを決めていたが、今後は自分の働き方を主体的に選ぶケースが増える。自分自身と家族、そして社会全体のために、経済の活力と社会の安定のバランスをどのように取りたいのか。そのバランスを実現するために、どういう選択を行うべきなのか。こうした視野の広い議論をすべき時期に来ている。


【レビュー】
この本が書かれたのが2012年で、当時はまだWi-Fiも普及していなければ、「5G」という言葉も無かったが、このような変化が予測されているのは驚きでした。なぜなら、近年の働き方の急速な変化の中には少なからず本書に書かれている姿があるからです。


これからの時代は、会社に帰属する働き方ではなく、セルフブランディングと自己成長がとても重要になってくると、本書を読んでから今まで意識していましたが、まさにその通りの世の中になろうとしています。その中で重要なのは、①自身のキャリアプランをしっかりイメージしながら自己成長を続けること、②スキルの「深化」と「拡大」、③社内外での協業できる関係と、④異業種の友人。そして、ワークライフバランスを充実させるための、家族や友人との関係性を大切にしなければならない。ということです。

いかがでしょうか。要点をまとめるだけでもかなりの長文になってしまいましたが、これからの働き方と世の中の変わり方について、本当に考えさせられる1冊だと思います。

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