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東京/銀杏BOYZ

人は視覚、嗅覚、聴覚に強烈にその時の思い出を保存するのではないかと思う。
例えば景色や、場所を見たり、DOLCE&GABBANAの香水を嗅いだ時、音楽を聴いた時ふとあの時こんなだったなぁ思い出す時ってありませんか?

地元のよくあそんだ公園、夏の雨あがりのなんとも言えない地面の匂い、人生で初めて買った8cmのシングル

今回は銀杏BOYZの東京を聴くと思い出す。あの場面の話をしようと思う。

25歳から3年半ほど付き合っていた彼女がいた。自分は関西に住んでいてその彼女は関東から就職で関西に移住していたが、付き合って半年で仕事の関係で関東に帰ることになった。そこから3年は遠距離恋愛ということになる。
関西に彼女が来た次の月は自分が関東に行くという3年間だった。

出会いがあれば別れもあるのだろう。29歳の初夏にその彼女と別れることになり、最後は自分が関東に行く番だった。

帰りの新幹線音楽を聴いて気を晴らそうと思い、こんな時は自分が落ち着く曲だと思い人生で1番聴いてる銀杏BOYZの「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」のアルバムをiPodで聴いていた。
銀杏BOYZは唯一無二のノイズとぐちゃぐちゃな歌詞があったり、あの娘の事を唄ったストレートな恋愛ソングがあったりする。
このアルバムは序盤から疾走感満載なのだが終盤になると落ち着いた歌い上げるような曲になってくるまるで童貞のセックスのようなアルバムだという僕のイメージ。第三次世界大戦的なのでやがて平和に落ち着いていくというコンセプトなのだろうか?

さて、本題の東京という曲なのだが、このアルバムの最後に収録されていて、恐らくボーカル峯田さんの失恋の話なのだろう。東京で付き合ってた彼女と別れたエピソードの曲だ。




君と別れて僕は石ころになって 蹴っ飛ばされて転がって疲れた
出会えた喜びはいつも一瞬なのに どうして別れの悲しみは永遠なの

恋人フィルターで普段の何気ない風景もキラキラしたものになる


恋人がいることによって普段見ている風景、自分の意識って変わるような気がします。何気ない夕焼けや。満員電車の中もInstagramのフィルター加工みたいに普段より良く思えたりすることあると思います。
恋人と別れたことでそこらへんにある石ころみたいに何気ない日常に戻った。
「出会えた喜び」は付き合えた時の喜び、付き合ってから最初の頃って何しても楽しいですよね。

「どうして別れの悲しみは永遠なの」


恋人と別れると、その人との楽しかった思い出は悲しみの感情に変わり、自分の中で永遠に生き続ける。
人はそれを繰り返して生きて行くんだよな。笑った分、泣いた分だけ人は大きくなっていくんだろう。
峯田さんのこの歌詞は別れた直後ほんとにグッと心に刺さります。




僕と別れて君は仕事を辞めて 新幹線に乗って郡山へ帰った
車窓から眺めた空は何色だっただろう 君の心の色は何色だったろう

フィルター越しに見える車窓から見える空の色


自分は東海道新幹線で関西へ帰っているが、恋人と別れたことにより普段見えている風景とは全く別のものがフィルターを通して見えている気がする。
この歌詞の彼女さんもそんな気持ちだったのだろうか?仕事を辞め、東京に住むこともやめるくらいに別れが彼女にとっての苦痛だったのか?それとも仕事を辞めて地元に帰らなくてはならなくなって別れることになったのか?
どんな理由でも恐らくネガティブな心の色だったんじゃないか?
きっと彼女もフィルターによってくすんだ空の色に見えてるんじゃないか?自分と同じ気持ちなのだろうか?と思い込んでしまう。そんな気持ちになる表現だと思った。




ふたりの夢は空に消えてゆく
ふたりの夢は東京の空に消えてゆく
君はいつも僕の記憶の中で笑っているよ


2人でいた時間は空に消えて行ったけどあなたはいつも自分の記憶に今でも残っていて記憶の中のあなたはいつも笑っている。
このサビを聴いて泣きそうになる自分がいる。失った事実は戻らない。失ってから気付くものがたくさんある。




人生とは旅だという だけど 過去は跡形もなく消えていく だけど
ふたり手をつないで歩いた道のりこそが 僕にとってはそれこそが旅だったよ
蝉が鳴いていた夏の日の午後も 雨に濡れて走ったコンビニの帰り道も
ふたりを通り過ぎたなんでもない景色が 僕にとってはそれこそが映画のようだよ

あなたがいるだけで映画のワンシーン


なんとなく2人で手をつないでデートしてるその時間でさえ、あなたがいるだけで普段の何気ない風景も旅のようにフィルターがかる。人生の中のほんの1部をカメラが切り抜いて映画のワンシーンのようにキラキラしたものになる。あなたの存在は自分の中で大きいものでした。




人を愛するということはきっと 君が君以上に僕を愛してくれたこと
僕は僕以上に君を愛せていたのかな 僕はそんな君以上に君を愛せていたのかな
僕が歌うことは全部君が僕に教えてくれたものさ
ふたりを通り過ぎたなんでもない毎日が 僕にとってはそれこそが歌になるのさ

自分以上に相手の事を愛せるのならそれが愛


自分はここの歌詞がめっちゃ好きなんやけど、この歌詞がこんなに心に刺さることって今この瞬間しかないと思った。
自分の事より相手のことを思うってとても難しい。誰だって自分が1番大事やと思うし、自分以上に愛せるのって血縁関係ある人ぐらいなんじゃないか?それが出来るのが愛するということなんだな。
人によってこの思想は賛否両論あるやろうけど、銀杏BOYZの東京という曲に出会わなければ、こんな気持ちになることもなかった。
この曲を聴くとふとあの帰りの新幹線を思い出す。そして今隣にいる大事な人をもっと大事にしてあげようと考える。
もしかしたらこの東京という曲も自分にとっては恋人のような存在なのかもしれない。

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