幡野広志

写真家、元狩猟家、血液がん患者。 お仕事のご相談はこちらに hatanohiroshi…

幡野広志

写真家、元狩猟家、血液がん患者。 お仕事のご相談はこちらに hatanohiroshi0301@gmail.com

マガジン

  • 明日の写真

    「うまくてヘタな写真とヘタだけどいい写真」には書けなかった話を書きます。 明日から写真がちょっと良くなるようなマガジンです。 自分の写真も良くなって、誰かの写真を見る目もすこし変わるかもしれないです。 読者の方の写真を現像もしてコメントもします。

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お仕事の依頼

幡野です。写真家をしています。写真学校をあっさり中退して、広告系の撮影スタジオで勉強しました。物撮りがメインの広告写真家に師事して2011年に独立しました。 27歳の…

幡野広志
11か月前
920

たくさん撮るから嫌でも当たる

日本骨髄バンクのドナー登録者向けの冊子『骨髄バンクNEWS』の撮影をした。文章も書いている。ドナー登録している方には郵送されると思う。 白血病は血液のがんの一種だ。…

幡野広志
5日前
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肉を焼く前に鉄板をキレイにしよう

タイムラインに料理人の東山広樹さんの投稿がたまたま流れてきた。この写真にやられた。東山さんが旅行先の中国で食べた料理の写真なんだけど、めちゃくちゃいい。 投稿の…

幡野広志
2週間前
182

見たものを撮ればいい

山梨県バカンス村でキャンプをしてきた。村に行く前に八王子村の市場で食材を買った。市場っておもしろいよね。八王子の市場はローカルすぎて観光客がほぼいないから、イン…

幡野広志
1か月前
400

写真の才能

写真のワークショップをやっていると、驚くほど写真がうまい参加者さんがたまにいる。 ここでの「うまい」は技術的なことではまったくない。知識も経験年数もまったく関係…

幡野広志
1か月前
324

自然な表情を撮りたいってよくいうけどさ

近畿大学医学部の皮ふ科のウェブサイトを毎年撮影している。ついこないだは皮ふ外科の撮影をした。 コルクボードに鶏の皮をはりつけて、皮膚がんを想定した部分をメスで切…

幡野広志
2か月前
304

スイカとレンズは中心が美味しい

“スイカとレンズは中心が美味しい”今日はこれだけを覚えて帰ってほしい。 スイカは三角に切った頂点がいちばん美味しくて、皮側に向かうと味が落ちる。つまり丸いスイカ…

幡野広志
2か月前
233

誕生日プレゼント

四十肩の痛みで6時に目が覚めた。空はうっすらと明るい。冬が終わりつつある。 息子と朝からポケモンカードバトルをした。ポケカは文章理解力と戦略性と暗算が養われるし…

幡野広志
3か月前
886

平山は夢の中にいる

10月の試写会で鑑賞したので少し時間がたっているから、記憶があいまいなところがあるけど『PERFECT DAYS』の考察を書きたい。 ネタバレがあるから……というよりも映画を…

幡野広志
6か月前
570

2023年の写真

2023年もあっという間におわった。日々写真を撮っていると、あっという間の出来事に句読点をうつことができる。 見返したときに、あぁこんなことがあったなと思える。きっ…

幡野広志
6か月前
594

うまいけどダメな写真とヘタだけどいい写真

美術館の白い壁をイメージするとわかりやすいけど、撮影スタジオにはホリゾントという白い壁がある。 スタジオではこの白ホリをペンキで塗る作業がある。スタジオで働いて…

幡野広志
9か月前
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「カニたべたい」

一年前のちょうどいまごろ、息子が「カニたべたい」といいはじめた。 「カニはいいよね。美味しそうだし、カッコいいよね」と返事をした。 本当のことをいうとぼくはカニ…

幡野広志
11か月前
774

夏のお花見

暑い。暑すぎる。夏に日傘をさすと太陽光で発電ができる理由を体感できる。日傘がないと日光に押される感じがある。日傘は便利だ。男性にもどんどん広まってほしい。ぼくは…

幡野広志
11か月前
620

6月のホタル

近所の公園でホタルを見てきた。田舎に住んでてよかったなと思うのはこういうときだったりする。 6月って祝日がないし梅雨でジメジメして、いいイメージがあまりない。夏…

幡野広志
1年前
355

GWの恥ずかしさ

GWから一ヶ月がたった。写真を見返したらいろんなところに行って、いろんな人と会って、いろんなものを食べてしっかり遊んでいた。優秀ながん患者だ。合間にしっかりと治療…

幡野広志
1年前
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ラピートに飛び乗って

大阪のホテルで朝から優雅にグラスにお茶を注いで、粒もちピーナッツを食べていた。柿ピーじゃなくて粒ピーだ。 ホテルをチェックアウトして電車に乗ってお昼ごはんを検索…

幡野広志
1年前
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お仕事の依頼

お仕事の依頼

幡野です。写真家をしています。写真学校をあっさり中退して、広告系の撮影スタジオで勉強しました。物撮りがメインの広告写真家に師事して2011年に独立しました。

27歳のときにガッチガチに肩に力がはいった作品ではじめて個展をしました。これまでにメーカーギャラリーでの個展は3回。ほかにも5回ぐらい個展をやってます。

妻と子どもがいて家族が好きです。旅が好きだけど旅先でホームシックになります。趣味は渓

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たくさん撮るから嫌でも当たる

たくさん撮るから嫌でも当たる

日本骨髄バンクのドナー登録者向けの冊子『骨髄バンクNEWS』の撮影をした。文章も書いている。ドナー登録している方には郵送されると思う。

白血病は血液のがんの一種だ。若い患者さんが多く、競泳の池江璃花子選手が罹患したことで知った方もいるだろう。白血病は若い患者さんが罹患する割合が最も高い。

40年前は未成年の白血病患者の5年生存率は10-20%と低く、ほとんどの子どもが亡くなっていた。

現在は

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肉を焼く前に鉄板をキレイにしよう

肉を焼く前に鉄板をキレイにしよう

タイムラインに料理人の東山広樹さんの投稿がたまたま流れてきた。この写真にやられた。東山さんが旅行先の中国で食べた料理の写真なんだけど、めちゃくちゃいい。

投稿の内容を含めてすごく楽しそう。こういう投稿に巡り会えるのがSNSの魅力だと思う。

写真が上手いってわけじゃないんだけど、とにかく写真が良い。上手い写真=いい写真じゃないんだよね。

料理と料理人にたいするリスペクトもある。撮ってるときに邪

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見たものを撮ればいい

見たものを撮ればいい

山梨県バカンス村でキャンプをしてきた。村に行く前に八王子村の市場で食材を買った。市場っておもしろいよね。八王子の市場はローカルすぎて観光客がほぼいないから、インバウンドしていないのでありがたい。

カメラはリコーのGR3xを持って行った。ペグをハンマーで叩くし、薪を割って焚き火もするし、料理だってするからジャマにならない軽くてコンパクトなカメラというのが理由だ。

GR3xはなにかと便利なんだけど

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写真の才能

写真の才能

写真のワークショップをやっていると、驚くほど写真がうまい参加者さんがたまにいる。

ここでの「うまい」は技術的なことではまったくない。知識も経験年数もまったく関係ない。カメラ愛や写真愛みたいな情熱も関係ない。

決定的瞬間の写真を撮るわけでも、バエバエにバエった写真を撮るわけでもなく、バズバズにバズった写真のマネをするわけでもない。

うまく撮ろうと意識せずに、無意識でいい写真が撮れてしまうのだ。

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自然な表情を撮りたいってよくいうけどさ

自然な表情を撮りたいってよくいうけどさ

近畿大学医学部の皮ふ科のウェブサイトを毎年撮影している。ついこないだは皮ふ外科の撮影をした。

コルクボードに鶏の皮をはりつけて、皮膚がんを想定した部分をメスで切除して綺麗に縫い合わせる皮弁(ひべん)という縫合の技法なのだけど、これがすごい!

切除してぽっかりとあいた穴を塞ぐために、穴からさらにひと回りぐるっと大きく切ってから縫い合わせる。

ズブの素人には関係ないところを切っているように見える

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スイカとレンズは中心が美味しい

スイカとレンズは中心が美味しい

“スイカとレンズは中心が美味しい”今日はこれだけを覚えて帰ってほしい。

スイカは三角に切った頂点がいちばん美味しくて、皮側に向かうと味が落ちる。つまり丸いスイカの中心部分が美味しいことになる。

スーパーで売っているカットフルーツのスイカは中心部分だけを使っているそうだ。スイカがフルーツかどうかはまた別の議論なんだけど、とにかくスイカは中心が美味しい。

レンズもスイカとおなじだ。画面の中心がキ

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誕生日プレゼント

誕生日プレゼント

四十肩の痛みで6時に目が覚めた。空はうっすらと明るい。冬が終わりつつある。

息子と朝からポケモンカードバトルをした。ポケカは文章理解力と戦略性と暗算が養われるし、なにより親子のコミュニケーションにとてもいい。

息子が小さい頃はトーマスや新幹線が共通の会話だったけど、いまではポケモンが共通の会話になっている。

息子が学校にいき、妻は職場に向かった。お父さんは近所の市場に向かう。撮影ではない。買

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平山は夢の中にいる

平山は夢の中にいる

10月の試写会で鑑賞したので少し時間がたっているから、記憶があいまいなところがあるけど『PERFECT DAYS』の考察を書きたい。

ネタバレがあるから……というよりも映画を観た人にしかわからない話ばかりだと思うので映画を観た人にこの先を読んでもらいたい。

トイレの清掃員をしている平山は御曹司ということが平山の妹との会話でわかる。平山が現実社会にいたらTwitterは「実家極太じゃん」とルサン

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2023年の写真

2023年の写真

2023年もあっという間におわった。日々写真を撮っていると、あっという間の出来事に句読点をうつことができる。

見返したときに、あぁこんなことがあったなと思える。きっと2024年もあっという間におわる。

写真を撮るのおすすめですよ。2024年写真をはじめてみませんか。カメラはなんでも大丈夫。スマホでもなんとか……まぁ大丈夫。でもカメラのほうが絶対いいですよ。

カメラを使うとそれだけで特別になる

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うまいけどダメな写真とヘタだけどいい写真

うまいけどダメな写真とヘタだけどいい写真

美術館の白い壁をイメージするとわかりやすいけど、撮影スタジオにはホリゾントという白い壁がある。

スタジオではこの白ホリをペンキで塗る作業がある。スタジオで働いていると間違いなく上手くなる技術のひとつがペンキ塗りで、スタジオの仕事ではめずらしく長時間の単調な作業になる。

いい写真ってなんだろうな?と考えたり、将来フォトグラファーになれるのかな?みたいな不安にのまれながらペンキを塗る。無音のスタジ

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「カニたべたい」

「カニたべたい」

一年前のちょうどいまごろ、息子が「カニたべたい」といいはじめた。

「カニはいいよね。美味しそうだし、カッコいいよね」と返事をした。

本当のことをいうとぼくはカニをたくさん食べるとお腹の調子が悪くなる体質だ。だけどそんなネガティブな情報は息子には必要ない。息子のカニ熱に水をさすの無粋だ。

なにかに影響を受けたのか、それから一ヶ月ぐらい毎日のように息子がカニ話をしてくる。かといってスーパーのちい

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夏のお花見

夏のお花見

暑い。暑すぎる。夏に日傘をさすと太陽光で発電ができる理由を体感できる。日傘がないと日光に押される感じがある。日傘は便利だ。男性にもどんどん広まってほしい。ぼくはここ3年ぐらい日傘を使っていた。

「恥ずかしい」という感覚はまったくない。それよりも日傘で問題なのは、晴れているのに傘をさすもんだから高確率で無くすということだ。電車やカフェで無くす。デパートで買ったちょっといい日傘を4時間後には無くした

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6月のホタル

6月のホタル

近所の公園でホタルを見てきた。田舎に住んでてよかったなと思うのはこういうときだったりする。

6月って祝日がないし梅雨でジメジメして、いいイメージがあまりない。夏至のお祭りはヨーロッパだし『ミッドサマー』を観てから夏至のお祭りがちょっと怖くなった。ジューンブライドにいたってはブライダル業界の経営戦略だし。

6月のたのしいものをなにか見つけたい。そこでホタルだ。あとアジが旨い。ホタルの味が旨いって

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GWの恥ずかしさ

GWの恥ずかしさ

GWから一ヶ月がたった。写真を見返したらいろんなところに行って、いろんな人と会って、いろんなものを食べてしっかり遊んでいた。優秀ながん患者だ。合間にしっかりと治療をしている。好きなことできるのは間違いなく標準治療のおかげだ。ありがたい。

どんなときでも写真を撮ることは大切だ。何をしていたか忘れていても、写真を見返すとその日の風の気持ち良さまで思い出す。それが1ヶ月後でも1年後でも10年後でもだ。

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ラピートに飛び乗って

ラピートに飛び乗って

大阪のホテルで朝から優雅にグラスにお茶を注いで、粒もちピーナッツを食べていた。柿ピーじゃなくて粒ピーだ。

ホテルをチェックアウトして電車に乗ってお昼ごはんを検索していると、向かいのホームにかっこいい電車が到着した。

窓のデザインも数字のフォントも塗装も洗練されている。動き出した車体には「rapi:t」と書いてある。電車好きな子どもの親ならだいたい知っているであろうラピートとすぐにわかった。

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