誕生日プレゼント
四十肩の痛みで6時に目が覚めた。空はうっすらと明るい。冬が終わりつつある。
息子と朝からポケモンカードバトルをした。ポケカは文章理解力と戦略性と暗算が養われるし、なにより親子のコミュニケーションにとてもいい。
息子が小さい頃はトーマスや新幹線が共通の会話だったけど、いまではポケモンが共通の会話になっている。
息子が学校にいき、妻は職場に向かった。お父さんは近所の市場に向かう。撮影ではない。買い出しだ。
市場にはスーパーでは扱っていない食材と活気があっておもしろい。海外の市場もおもしろいけど、日本の市場だっておもしろい。
お昼ごはん用に本マグロを買った。それから夜ごはん用のステーキを買った。どちらも高価な買い物だけど、今日は誕生日だからいいのだ。
自宅に戻り、漬けマグロ丼を作った。鮮度の高い本マグロを漬けにするのはいかがなものなんだろう?と疑問をいだきつつも、マグロのレシピが漬けかアボカドしか見つからなかったので漬けにした。
これまでの人生で2回アボカドを買って、2回とも腐っていたから、アボカドはもう買わないことにしている。アボカドクジ運が無いのだ。
マグロ丼を食べたあとに、部屋とトイレを掃除した。洗い物とテーブルの上にあった書類の山も片付けた。
息子が学校から帰ってきたので、2人でiPadをダラダラとみながらお菓子をたべた。家はたのしんだり遊んだりリラックスする場所にしたい。
恥ずかしい話なのかもしれないけど息子に「勉強をしなさい」といったことがない。
「ポケモンカードやマイクラや漫画を読むことも勉強だぜ!!」みたいな親戚のおじさんポジションがいいそうな軽口をいっている。
それでどうなるかというと、いまのところ息子は自発的に学校の勉強や宿題をしている。覚えた漢字や算数をぼくに教えてくれる。
ぼくは大人になってから勉強がたのしいことに気がついたけど、知らないことを知ること、知識を増やすことはおもしろい。勉強のたのしさはできれば小学生ぐらいで気づいてほしい。
ぼくは学がまったくないので勉強は学校の先生に任せて、息子に教えられることは「勉強はたのしいぞ」ということだけでいいと思っている。
そもそも勉強できなかった親が子どもに勉強しろというのは説得力にかける。
宿題を終えた息子と一緒に夜ごはんをつくった。息子が好きなにんじんのグラッセ、妻が好きなアスパラガスのソテーを作った。それからみんな大好きなステーキを焼いた。
誕生日なのでいつもよりいい肉だ。ごはんはもちろん羽釜で炊いたごはんだ。すべてが感動的に美味しかった。
料理をするのがたのしいけど、お父さんの趣味の料理に息子が付き合ってくれるのがうれしかった。料理だって勉強だ。
3月1日で41歳になった。誕生日プレゼントに中華鍋をもらった。誕生日からもうすぐ1ヶ月たつけど中華鍋料理にはまってる。
焼きそばがとにかく美味しくなった。カレーも美味しい。すごいぞ中華鍋。ただ重い……四十肩にはちとキツい。
中華鍋をふった翌日は電車の吊り革を掴むのはおろか、髪を洗うのもコンタクトレンズをつけるのもキツい。左腕が上がらない。
骨髄腫なので骨に異常も疑ったけどMRI検査を2回、CT検査を1回して「いわゆる四十肩です」と診断されている。たかが四十肩の診断で医療費を圧迫して申し訳ないなと思う。
肩をマッサージするために、アメリカの警官が腰につけてそうなマッサージ機を買った。四十肩の人には中華鍋と筋膜リリースガンをセットで買うのがおすすめだ。
誕生日だからと妻は気遣って自分が料理をしようとしていたけど、料理を趣味にしている人からすると『いつもよりいい食材で料理できる』というのがうれしいプレゼントなのだ。
本マグロの漬け丼もステーキもこの金額で失敗したら洒落にならんわと緊張する。
息子と妻が買ってきてくれた花を誕生日の翌日に写真をとった。写真を撮る人生を選んで良かったなと思った。息子がキーホルダーを作ってくれた。家族がいて良かったなと思った。
来年の誕生日はなにを作ろうかな。来年の誕生日も家族に美味しいものを食べさせたい。四十肩は治っていてほしい。
サポートされた資金で新しい経験をして、それをまたみなさまに共有したいと考えています。