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第8話 一九九五年のハガキ

友達とどこかへ行こうとする。友達は自転車で私は歩きだった。友達は不機嫌らしくあまり会話もなく、ぶっきらぼうな返事や発言しかない。しょうがないので家へ帰ってもらった。

私は芝生の所に行った。芝生の向こうには緑の金網が続いている。少し離れた場所で知り合いが話しているのだが、私はそれには構わず金網に掴まった。私は割と身軽なため金網の側面を移動して遊んでいたが、夕暮れ時で空が赤く、そして芝生は黄色く枯れている。私は金網につかまって飛んだり跳ねたりして、また金網に掴まる。

金網の反対側に行くと手紙らしきものが落ちていたので、それを拾うと遠くから作業服を着た人が走って来て手紙を欲しがった。作業服を着た人は私の知り合いの大切なものを持っているらしく、手紙と交換しようと言っている。しかし、いまいち信用できない。無理だとは思ったが、先に友人の大切なものをもらってから、手紙を渡そうと提案しようとした。しかし、意思に反して私は何も言わずに手紙を渡してしまった。まずいと思ったが、手には知り合いの大切なものが手渡され交渉は既に成立していた。

赤い郵便ポストの前では局員と友人が揉めている。
「切手をハガキの裏側に貼るな!」
局員は友人に怒りだした。友人は年賀状を送ろうとしていたらしく、ハガキを全部輪ゴムでまとめていて裏側に一枚だけ切手のシールが貼ってある。もう二〇〇一年だというのに、ハガキには一九九五年と書いてあって、昔私にくれた年賀状と全く同じものをまた送ろうとしていた。

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